ファビアン・カンチェラーラ(Fabian Cancellara)とは、スイス出身の熊、宇宙人、電動モーター、背筋、元ロードレース選手である。
昔はよく「カンセララ」とか書かれたけど、今は「カンチェラーラ」が一般的。たまーにスイス・ドイツ語かイタリア語の発音に近づけて「ファービアン・カンチェッラーラ」とも書かれるけど、日本人には発音が面倒なので結局「ファビアン・カンチェラーラ」か更に縮めて「カンチェ」。というわけで以下カンチェ。
海外では「スパルタクス」(Spartacus)の異名を持つ。
日本では、その異次元な速さ・ガチムチな体格から「化け物」「サクソの白い悪魔」「スペシャに乗った鬼」とか色々言われていたが、2014年時点で取って代わって「宇宙人」というあだ名が定着している。
概要
1981年3月18日にスイスのベルン州ヴォーレン・バイ・ベルンで産まれる。両親はイタリア人。
愛車はアウディQ7。好物はイタリア料理と赤ワイン、水。オフにはMTBとスノーボードを楽しむ。
奥さんのステファニー氏は美容師で、娘のジュリアナと一緒に、よくカンチェの出場しているレースを観戦しにきている(特にスイスのレースでは、カンチェがステージ勝利→ゴール後に家族と抱擁 の絵がお約束となっている)。
電気工事士の資格を取りつつロードレースにも専念し、2001年にマペイ・クイックステップでプロデビュー。ファッサボルトロ、チームCSC、チームサクソバンク(正確にはチームCSC→CSC・サクソバンク→チームサクソバンクと名前が変わっていっただけで同じチームだが)など一流チームを渡り歩き、2014年現在はシュレク兄弟が中心となり立ち上げたレオパードトレックの後継チーム「トレックファクトリーレーシング」に在籍。
カンチェかわいいよカンチェ
タイムトライアルと平地での高速巡航、圧倒的な脚力、その脚力を支えるブレないペダリングフォーム、見てるこっちがヒヤヒヤする勢いでコーナーに突っ込んでいくマシンコントロール、美人妻、かわいいお子さん、献身的なボトル運び、KOSHI!無精髭、背筋、一度開くと大声でしゃべり続ける口に定評がある。
一方で登りを苦手としていたが、最近では割と登りもこなせるようになってきているようで、グランツールなどの山岳ステージでは『登りでクライマーをふるい落とすタイムトライアルスペシャリスト』という珍妙な光景を見ることができる。
また、ツール・ド・フランスの最終ステージでは漕ぎながらシャンパンを一気飲みした後、デジカメ片手に走りながら写真を撮りまくる(写真を撮っている最中にメカトラブルが起きたが、これもニヤニヤしながら撮影。また、自分を撮影していたバイクカメラのレンズに向けてパチリ)、お茶目な姿も見られた。本人曰く「(写真は)家族へのお土産」だそうである。
この年のTT世界選手権は語り草になるレベルのぶっ飛び具合であった。2位以下に2分30秒もの大差をつけて、しかも最後は両手を上げながら超笑顔でガッツポーズしながらゴールするという余裕っぷり。なんなんすかこれ
それまで2位以下が数秒差で順位を競っていたことを考えると、このカンチェのタイムが以下に尋常でないかお解りいただけるであろう。
当然世界選手権なので全世界からTTがバケモノレベルで早い選手たちが集結するのだが、それでもこのタイム差。
もう一度言うが周りは決して遅くない、カンチェがあり得ないレベルで速いのである。
カンチェやばいよカンチェ
2010年には春のパヴェ系クラシック3連勝、ツールもタイムトライアルで問答無用の勝利を勝ち取るなど脚力は衰えず、さらには世界選手権個人タイムトライアルでも優勝、通算4枚目のアルカンシェル戴冠は世界初(ただしロード界での話、トラックを含めるとアルノー・トゥルナンが14回、中野浩一が10回戴冠している)。
2012年シーズンは前年度の不調を払拭するかのような勢いで北のクラシックから飛ばしていたが、ロンド・ファン・フラーンデレンにおいて落車に巻き込まれ鎖骨を骨折。これによりシーズン前半は戦線から離脱していた(なおこの際、自身のTwitterに骨折した鎖骨のレントゲン写真をアップロードするファンサービス(?)っぷり)。
\カーンチェ!接骨しよ!/
が、ツール・ド・フランス前にはなんとか復帰。ツール恒例の「上りステージまでマイヨジョーヌを着るだけの簡単なお仕事」を完遂する(なお今年でプロローグTTは5連覇、あのベルナール・イノー氏の記録に並ぶ)。
そしてツール総合優勝してないのにマイヨジョーヌを一番長く着るという面妖な記録を更新した。
その後第11ステージを前にして『第2子が誕生したので実家に帰らせて頂きますっ!』とツールを途中帰宅した。
なお事前に\カーンチェ!セックスしよっ!/という奥さんとのやり取りがあったかは不明である
Twitterでの発言から名前はエリーナちゃんと確認された。第2子も女の子のようだ。 イケメン宇宙人の夫+美人美容師の奥様+可愛い娘さんが2人とかなんとも羨ましい家族である。カンチェ爆発しろ! → 爆発してしまいました
ロンドンオリンピックでは残念ながらロードレース部門でゴール前に落車、TTに至っては前述の落車による怪我(+メンタル的なダメージ)で出走自体が危ぶまれていたがなんとか出走。
しかしながらやはり落車で調子が出ず、カンチェの金メダルにwktkしていた全世界のカンチェファン(記事主含む)は肩を落とすこととなった。おまけに世界選TTは鎖骨骨折治療のために埋めたピンを取り除く手術のために欠席。また宇宙人劇場が見られると信じていた俺らを絶望にたたき込む事に…。
2013年ツール・デ・フランドルは宿敵ボーネンが早々にリタイヤ。終盤まで勝負が縺れるかと思われたが最後の上りでアタック、2位の怪童ことピーター・サガンに1分半の差をつけて優勝。
また、翌週のパリ~ルーベでも優勝を飾った。
ツール・ド・フランスはプロローグTTが無かったためか不出場(なおカンチェラーラとは無関係な話になるがこの年のツールはカンチェが居ない代わりにナイロ・キンタマナ旋風が巻き起こって違う意味で盛り上がった。通称キンタナの大冒険)。
TT世界選手権3位。
2014年ミラノ~サンレモ2位。2011、2012に次ぐ3度目の2位。某ツァベルおじさんもびっくりの2ゲト率(ちゃんと2008年に優勝もしているが)。
ツール・デ・フランドルはゴール前でベルギー勢3人に囲まれたが難なくこれをかわし自身3度目の優勝。
6月11日、映像出演という形ではあるが恐らく日本で初めて「地上波のバラエティー番組でロードレース選手が特集を組まれる」という快挙を成し遂げる。ツイッターでは”カンチェラーラ”がトレンド1位を飾り、ネット上ではカンチェ祭りが開催されたのだった。
2015年、ツール・ド・フランス第2ステージにてマイヨ・ジョーヌを獲得する……が、第3レースで落車に巻き込まれ、脊椎骨横突起を骨折してリタイア。
2016年、リオオリンピックに出場、個人タイムトライアルで見事金メダルを獲得。
その後、25回記念を迎えたジャパンカップサイクルロードレース・クリテリウム(10月22~23日開催)に出場。これを引退レースとする旨を発表した。
レースではジャパンカップ仕様の蛍光イエローのジャージを着用。レース開始前にはチームメイトと共にファンにキーホルダーを配るなど交流を楽しんでいた。レースでは圧倒的な強さで終始他チームのアタックを寄せつけないまま、トレック・セガフレードは2連覇を達成。本レースを持って、選手活動から引退した。
現在は事業家として活動。
カンチェと一緒に走るイベント「CHASING CANCELLARA」を立ち上げ、ヨーロッパ各地を走っているほか、スイスのロードレース製品メーカーと提携。商品開発やマーケティング、広告塔としての役割も果たしている。
なお時折クラシックレース系の動画で「カンチェってツールのTTだけじゃなくてクラシックも速いんだ」というコメントが見られるが、むしろカンチェ的にはこちらのほうが本職である。
主要レース勝利
- 世界選手権・個人タイムトライアル(2006-2007,2009-2010)
- 北京オリンピック・個人タイムトライアル金メダル(2008)
- ツール・ド・フランス通算8勝
- ブエルタ・ア・エスパーニャ通算2勝
- ティレーノ~アドリアティコ 総合優勝(2008)
- ツール・ド・スイス 総合優勝(2009)
- パリ~ルーベ(2006,2010,2013)
- ミラノ~サンレモ(2008)
- E3プライス・フラーンデレン(2010-2011,2013)
- ロンド・ファン・フラーンデレン(2010,2013-2014)
- スイス選手権・ロード(2009)
- スイス選手権・個人TT(2002,2004-2008)
- ストラーデ・ビアンケ(2008,2012)
- リオオリンピック・個人タイムトライアル金メダル(2016)
全盛期のカンチェラーラ伝説
- あまりの脚力にカーボンクランクではしなりすぎてしまうため、一時期敢えてアルミのクランクを使っていた
- 速すぎて宇宙人説が出た
- 他の選手では(重くて)使いこなせない超ディープリムのホイールを楽々と使いこなす
- マイヨジョーヌを着て集団スプリント直前にアタック → スプリンターを振りきって勝利
(通常平坦ステージでスプリンターやパンチャー以外のマイヨジョーヌがゴール前で単独アタックを掛けてそのままステージ優勝を飾るのは通常では考えられない。これの凄さをサッカーで例えるとボールを受け取ったゴールキーパーがそのまま相手チームを11人抜きしてそのままゴールを決めるようなもの) - 世界中からバケモノ中のバケモノを集めて競われるTT世界選手権で、通常は数秒差を競い合うトップ争いで2位に2分半の差をつけ圧勝
- 平坦ステージの残り5kmで飛び出し単独で70km/h巡航、勝利(ツール・ド・スイス2008)
- チームタイムトライアルで一番前を走っていたら何故か後続がバテていて、先頭のカンチェは余裕の顔
- 少し加速してそのまま普通に走っていたらいつの間にか後続の選手をぶっちぎってしまいアタック扱いされた(パリ・ルーベ2010)
- ボーネンが顔真っ赤になって足攣りながら、後続が蛇行しながらダンシングで登っていたカペルミュールをシッティングでスイスイ(ツール・デ・フランドル2010)→爆発してしまいました
- パンチラーラ
- パリ~ルーベで残り46kmから個人TTで勝利
- TTで2分前に出た選手というのは抜いて当たり前(09ツール・ド・スイス、09ツール、09世界戦など)
- 1秒を争うTTなのに余裕でガッツポーズかます
- 本気で踏むと電気式卓上コンロが動く(MAX1450Wだとかなんとか)
- あまりにも平然と高い出力を出すので自転車の中に電池とモーターを埋め込んでるのではないかと疑われた
- ちなみにこれらの指摘や検証動画に対し、当時自転車を供給していたスペシャライズドが巨大乾電池型バッテリーを搭載したバイクを(ジョークで)展示会に出すなど、関係者はネタにして楽しんでいた
- 4カ国語(英語、フランス語、スイス・ドイツ語、イタリア語)を流暢に操ってインタビューを受け、ベルギー語も勉強していた
- あまりにも(いい意味で)破天荒な走り方・戦術を取るため実況が絶句して黙りこんでしまう
- Di2やEPS等の電動コンポーネントがスタンダードと化しつつあるUCIプロチーム界において唯一のワイヤー変速式コンポーネント派。ワイヤー式に拘る理由は ”使ってて楽しいから(意訳)” 。なお、一般の選手ではこのような個人の趣向は普通は受け入れられない。カンチェの実力と実績を持ってしてこそ通った要望だったのであろう
関連動画
関連項目
- 11
- 0pt