ファラリスの雄牛とは、古代ギリシアおよびローマの拷問(処刑)器具である。
別名、灼熱の雄牛、青銅の雄牛、ペリロスの雄牛、シチリアの雄牛、吠える雄牛など。
概要
紀元前6世紀頃の古代ギリシア、シチリア島アクラガス[1]の僭主(せんしゅ)[2] ファラリス(Φάλαρις Phalaris)が、アテネの芸術家ペリロス(Περιλλος Perillos)に命じて製作させたと言われる、非常に残虐な拷問および処刑道具。
名前の通り雄牛の形をしていて、全体が青銅(真鍮であったとも)で出来ており、内部は空洞となっている。
背中(あるいは脇)の扉から人が一人分だけ中に入れるようになっており、扉から犠牲者を中へ入れて鍵をかけ、閉じ込めて恐怖心とストレスを与え、さらに雄牛を下から火で炙る事で、雄牛が黄金色に輝くとともに内部は450℃を超える高温となり、内部の人間に地獄のような苦しみを与えて焼き殺す。
通常、火事などの焼死の場合は煙により意識を失うため、焼ける苦しみは少ないとされるが、ファラリスの雄牛の場合は内部に牛の口へと伝わる真鍮の管が存在し、そこから呼吸が可能となっている為、意識を失うことなく青銅の伝導加熱により「焼け死ぬのを待つ」ということになる。
また内部の管はまるでトロンボーンのような形をしており、犠牲者の呼吸と共に叫び声や悲鳴が発せられると、音漏れのしない内部での反響でその音はまさに「牛が吠えるように」聞こえたと言われる。
また、犠牲者の骨は宝石のように輝いたので、それでブレスレットが作られたという伝承もある。
もっと分かりやすい説明は関連動画を参照。
余談とか犠牲者とか
最初の犠牲者は作成者ペリロス自身で、実験と称して牛の中に入れられ焼かれた(死ぬ寸前に出されたものの、褒美を貰えるどころか崖から落とされて死んだ)とされる。
その後16年もの間、自身に抗う者達をこの拷問で処刑し続けたファラリスもまた、テーレマコス(Τηλέμαχος Thelemakhos、後の僭主テーローン(Θήρων Theron)の先祖)率いる民衆によりこの処刑を受けたのではと伝えられている。
その後も2世紀に渡ってファラリスの雄牛は用いられたとされ、幾多の人間がこの装置にとって炙られていったという。
また一説では晩餐会にも用いられたとされ、人肉の焼ける匂いをハーブで誤魔化し参加者を楽しませたともされており、拷問専用ではなく娯楽の道具であった可能性もある。
以上のようにさまざまな言い伝えも残っているが、使用された証拠の記録が乏しく、真偽もハッキリしない物が多いため、実際は主に対象者への威圧や脅迫の目的で使われたのではないか、とも言われている。
さらに分かりやすい概要
- 「牛」、牛を使う。
- 王の命令で、なんかね、鍵が付いてるの。閉じ込めるの。
- なんかね、あんね、外できっと聞いたら、牛みたいな声するはず。
- なんかね、中が熱いからね、あまりペリロスの好みじゃない!!
- あのねぇ、なんか、イメージ的には恐怖心とストレスで、なんか、炙る様な感じでね。
- 匂うのはきっとハーブと思われる。
- なんかきっと晩餐会とかにも使って……。
- あのさ、よくさ、トロンボーンとかの管とか入ってるかもしんないなって感じ。
- わかんない、あっ、でもあれかも、拷問っぽいかも。
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( (iミ//illi))) < 絶対こんな説明じゃわかんないよ!
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「ファラリスの雄牛」を扱った作品
- Devil May Cry 2 - この拷問器具が悪魔化した「フュリアタウルス」というボス敵が登場する。
- 嘘喰い - 作中の「ゲーム」の1つ。
- C3 -シーキューブ- - フィアの32の形態の1つ「二十四番機構・焼式彫像態《良く啼く鋼鉄の牡牛("The red-hot bull voices")》」
- 新テニスの王子様 - 遠野篤京の必殺ショット「処刑法」の1つ。処刑法其ノ七。
- Amnesia: The Dark Descent - この拷問器具が設置された部屋が存在する。触れることで、この器具で拷問を受けた者の情報を垣間見ることが可能。火を点ける事も出来るようだが・・・?
- 影牢~ダークサイドプリンセス~ - この拷問器具が設置された部屋が存在し、トラップで投げ込むと起動。対象にダメージを与えることができる。
- saw - 7作目『ソウ ザ・ファイナル 3D』に登場。ゲームに失敗した人物へのペナルティとして、彼の妻が焼かれた。
関連動画
関連項目
脚注
- *現在のシチリア島南西部の都市アグリジェント(Agrigento, シチリア語名ジルジェンティ Girgenti)。四元素説の哲学者エンペドクレースの出身地。
- *古典ギリシア語のテュランノス(τυραννος tyrannos)はタイラント(tyrant 「暴君」)やティラノサウルス(暴君竜)の語源でもある。古代の王族や貴族のように君主としての血統上の正当性を持たないが、富裕化した市民層の絶大な支持によって擁立された有力な支配者のこと。
僭主は一過性の脆弱な政治基盤ゆえに、その多くは合議を廃して独裁君主化し支配を強化したものの短命政権に終わった。そして、追放した王侯貴族たちが政治に返り咲く→市民層の不満が募る→新たな僭主出現→・・・と、このような試行錯誤の繰り返しを経て、古代ギリシアの諸都市は古代民主制(デモクラティア)を確立していく。
なお、中国史の「覇王」と共通点がありそうにも見えるが、覇王は儒学の徳治主義(武力や知力に関わらず、徳という天与の才能を持つものが天下を治めるべしとする思想)に基づくものであり、実は根本から異なる概念。
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