ファンドとは以下のことを表す。
- 石粉粘土のこと。フィギュア等の造形に用いられる。
- VOCALOIDのプロデューサー → ぐへへP(fund.:ファンド)を参照。
- 資本。基金。投資を行うにあたり資金を一般投資家から募り、利益を分配する仕組みのこと。
当記事では3について説明する。
概要
歴史
その発祥は古く13世紀頃のイギリスまでさかのぼると言われる。当時のイギリスには没収法という法律が存在していた。キリスト教国家であるイギリスでは、国民が死亡すると自らの財産を教会に寄進するという習慣があった。そのため、領主が年貢を取るのが難しくなるという側面があり、この問題を解決する為、まず人々の所有する所有地などの財産を第三者に譲渡し、その第三者が管理を行いながら、生まれた収益を教会のものとする制度が生み出された。
これが後にトラスト(信託)と呼ばれるようになる、信託の誕生である。
そして19世紀中ごろになるとこの仕組みを発展させた「投資信託」という仕組みが確立する。
当時、イギリスは産業革命により一部の富裕層は好景気に沸き自らの資産を海外に投資することで資産を増やしていたが、一般庶民は海外投資を行う為の資産もなく、情報や知識も乏しかった為その恩恵に預かることができずにいた。
そこで、一般の人々にも投資が可能になるよう「フォーリン・アンド・コロニアル・ガバメント・トラスト」というファンド(投資信託)が設立された。これが歴史上最初のファンドである。
この仕組みにより小口の資金を多くの人々から集めるファンドが誕生し、小額投資でも海外投資のメリットにあずかることが可能になった。その後イギリスで発祥したファンドの仕組みが、日本にも戦後(1950年頃)を境に入ってきた。
1961年に公社債投資信託が開始されるのをきっかけに発展を速め、現在に至っている。
近年においては銀行や信用組合といった間接金融機関がファンドを形成する動きもみられる。
なお、投資信託大国の米国でも同じであるが、ほとんどの投資信託は儲からない(プラマイゼロに収斂する)という研究結果も出ている。これは手数料まで勘案すると、継続的に個人投資家にプラスのリターンをもたらし続ける投資信託(ファンド)は、一つもないという実証研究である。これにはおおよそ二つの理由があり、継続的に、毎年プラスのリターンを上げる投資信託はほとんどない、ということが一つ。勝つ年もあれば負ける年もあるということである。もうひとつはファンドマネージャーが一年の間に意味の薄い売買を繰り返すことが多いという事実。これは仕事をしていないと見られることを嫌うファンドマネージャーが薄利でも売買を行い結果として実損を広げることがあるということである。
逆を言えば長い年数を通してプラマイゼロを維持できる、つまり投資先をきちんと熟考した上で複数組み合わせれば資産劣化しにくい金融商品であるともいえる。この為、多くの金融商品でバランスをとるために株式、債券と合わせファンドも一部に組み込んで運用がなされているのである。
ご利用はご計画的に。
ファンドの個別解説
大きく分けると伝統的運用ファンドとヘッジファンド、もしくはオルタナティブアセット投資ファンドに分かれる
伝統的運用ファンド
公開株式や公社債に投資するファンド。ひねりも何もない普通のファンドである。
ヘッジファンド
リスクヘッジをすることと最大効率を目指すため伝統的運用ファンドと違い積極的売買を行う特徴がある。 その売買の荒さから禿鷹とも呼ばれたが実際は文字通りの意味で禿鷹に近いのは下記にあるディストレスファンドである。
オルタナティブアセット投資ファンド
1990年代後半から拡大してきたもの。プライベートエクイティ(PE)・ファンドや不動産ファンドなど多岐に及ぶ
プライベートエクイティ(PE)・ファンド
複数の機関投資家や個人投資家から集めた資金を事業会社や金融機関に投資し、同時にその企業の経営に深く関与して「企業価値を高めた後に売却」することで高いIRR(内部収益率)を獲得することを目的とした投資ファンド。市場型の運営に適応できない企業や、市場がまだ受け入れられないような事業を市場とは異なる視点を持ってファイナンスするもの。市場に受け入れられないものを取り扱ったりする。
- ベンチャーキャピタル
創業期の会社(ベンチャー企業)や事業に投資する。
広義のPEとされる。エグジット(投資資金回収手段、又は戦略)が実現しないものの方が多く、実現するものに対する期待リターンは数十倍となる。エンジェル投資家と呼ばれる人達がベンチャーキャピタルを購入することが良く見受けられる。日本ではこのベンチャーキャピタルの活動が弱く、銀行もこの役割を果たしていないため他国と比べて新規企業が成長しづらいといわれる。 - バイアウトファンド
成熟期以降の会社や事業に投資する。
狭義のPEとされる。マジョリティーを取得。対象は大企業の一部門や子会社などの優良企業のほか、再建中企業など。最近は非公開化手段として使われることもある。
形式的にはファンド形式をとっていないが実質は変わりなくわかりやすい事例を以下に記載する。
日本国においてはソフトバンクが電話会社を買収して電話会社「ソフトバンク」した際の手法もLBO(レバレッジバイアウト)の一種とされる。この場合、お金を貸し付けた金融機関たちは買収先の企業の価値を担保に融資を行っているのである。 - 再生ファンド
マジョリティーにはこだわらず、再生可能性が中程度の企業に投資する。
狭義のPEとされる。経営不振会社に投資投資対象は債権(エクイティに変換)、および株式などである。
かつては日本にこのファンドに該当する組織が少なかった(ほぼなかった)こともあり、日本国政府が産業再生機構(2007年清算)を構築して自ら企業再生に当たった。その後、産業再生機構に関わった人達が多くの和製再生ファンドを構築している。複雑化した現代において再生ファンドは一定の役割を果たしているのである。 - ディストレスファンド
バルクセールなどによる不良債権の買取、社債の買取。
破綻企業に投資するもの。広義のPEとされる。
法的/私的整理後に影響力を行使。安価購入が重要。再生可能性は低い。
不動産ファンド
不動産資産に投資しその運用益を回収するファンド。不動産へのLBO(レバレッジバイアウト)なども広い意味ではここに属するものもある。
クラウドファンディング
主にネットを使用した小口ファンド。詳細はクラウドファンディングを参照
関連動画
関連商品
関連項目
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