フィエールマン(Fierement)とは、2015年生まれの日本の競走馬である。
馬名は音楽用語として使われるフランス語で、「気高く、勇ましく」という意味。
主な勝ち鞍
2018年:菊花賞(GI)
2019年:天皇賞(春)(GI)
2020年:天皇賞(春)(GI)
来歴
フィエールマン Fierement |
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生年月日 | 2015年1月20日 |
馬種 | サラブレッド |
性・毛色 | 牡・鹿毛 |
生産国 | 日本 |
生産者 | ノーザンファーム (北海道安平町) |
馬主 | (有)サンデーレーシング |
調教師 | 手塚貴久(美浦) |
主戦騎手 | クリストフ・ルメール |
馬名意味 | 気高く、勇ましく (音楽用語/フランス語) |
初出走 | 2018年1月28日 |
抹消日 | 2021年1月8日 |
戦績 | 12戦5勝[5-3-2-2] |
獲得賞金 | 7億926万5000円 |
受賞歴 | |
競走馬テンプレート |
父は説明不要のディープインパクト、母はフランス産でイタリアG1を勝った*リュヌドール、母父は仏G1を2勝したGreen Dancer産駒Green Tuneというなかなかの良血馬。サンデーレーシングでも募集価格は250万×40口の総額1億円と、デビュー前より期待が持たれていた馬であった。
3歳
美浦の手塚貴久厩舎に入厩してからも高いポテンシャルを見せて期待を集めたのだが、一方でちょっとしたことで疲労を溜めたり発熱したりする体質の弱さも抱えていた。そのため秋デビューの予定が流れ、結局年明けまでずれ込んでしまう。デビュー戦は出遅れるわ引っ掛かるわのちぐはぐな競馬になったが、クビ差しのいで勝利。約3ヶ月の休み明けとなった自己条件の山藤賞は出遅れたまま後方から道中ポジションを上げ上がり最速で突き抜けるという競馬で圧勝。デビュー2連勝を飾る。
次走にはOP白百合Sを予定していたが、やっぱり体質のために間に合わず回避。結局また3ヶ月休みから福島のGⅢラジオNIKKEI賞に回る。ここ2戦のパフォーマンスから1番人気に支持されるが、後方待機から4角でさらに置かれ大外をぶん回す競馬。小回りの福島でこれはさすがに厳しく、猛然と差を詰めたが先団から抜けていたメイショウテッコンに半馬身差振り切られ2着。惜しい敗戦を喫する。レース後に状態が落ちたこともあり、陣営は菊花賞(GI)直行を決断。
戦前は「確かに末脚は魅力だけど、これまで1800mしか経験がないし、ラジニケから直行で勝った夏上がり馬なんて聞いたことないし、そもそもキャリアたった3戦だし……。」との評判で、ダービー馬不在の混戦模様の中単勝オッズ14.5倍の7番人気という単穴ポジションに落ち着く。
本番はやや外目の12番枠からスタート。いつもより前となる中団の馬群の間に入る。ペースは62秒7と長距離であることを差し引いてもかなりのスロー。そのまま最終直線まで淡々と流れて、レースは完全に上がり勝負の様相を呈していた。
こうなればディープ産駒の独壇場である。直線に入り、フィエールマンはばらけた馬群の間から一気に末脚を伸ばして前を捉えにかかる。先に抜け出していたステイゴールド産駒エタリオウが父譲りのスタミナで粘っていたが、これをハナ差競り落として勝利。史上最短となる4戦目での菊花賞制覇を達成した。
しかし彼はこの後またしても疲れが出てしまい、予定されていた有馬記念への出走は断念。4戦3勝でクラシックシーズンを終えた。
4歳
結局また3ヶ月間を空け、冬の名物重賞AJCC(GII)に出走。いつも通り中団から末脚は伸ばしたが、長期休養明けのシャケトラに完璧に立ち回られアタマ差2着に敗れてしまう。
いつも通り3ヶ月の間を空け、平成最後のGIレースとなった天皇賞(春)に出走。多くの出走馬が大阪杯やドバイ、香港に流れたうえ、本馬をAJCCで破った後に阪神大賞典も制し有力候補となっていたシャケトラが調教中の事故で夭折する不運に見舞われたことから、出走馬13頭中GⅠ馬は本馬のみという手薄なメンバーになってしまう。フィエールマンは実績を信じられ1番人気。菊花賞で争ったエタリオウ、ユーキャンスマイル、メイショウテッコンと4歳馬が人気を集めた。
ゲートはあまり良くはなかったが、道中じわりと上げて中団を確保。スタート1000m59秒8でその後ガタッとペースが落ちる難しい展開の中、行きたがる様子はありながらも鞍上クリストフ・ルメールの手綱さばきで折り合いをつけていく。
そして淀の坂の下りで仕掛け、直線に入る直前で馬体をぶつけられながらも堂々と先頭に立つ。そこへ外から連れて上がってきたグローリーヴェイズが馬体を併せ、壮絶な一騎打ちへ。両者譲らずに後続を置き去りにしたが、最後の最後で一伸びしたフィエールマンがクビ差出て勝利。菊花賞に続き、6戦目という史上最短キャリアでの天皇賞(春)勝利となった。なお、鞍上のクリストフ・ルメールは3週連続のGⅠ制覇(またかよ)となり、同時に保田隆芳、武豊に次ぐ史上3人目の八大競走完全制覇を挙げた。
その後はフランスG1凱旋門賞へ向かうことに。今後の可能性に期待が膨らんだものの、やっぱりレース後の消耗の激しさは相変わらず。さらなる栄光に向けては体質の強化が課題となった。
凱旋門賞の叩き台として札幌記念(GII)に出走するも、同期の有馬記念馬ブラストワンピースと昨年覇者サングレーザーの後塵を拝して3着と敗れ、凱旋門賞本番では当日出走した日本馬最高の4番人気(JRAオッズ)に支持されるも、直線で完全に失速して12頭立ての最下位と大敗を喫してしまう。
帰国後は有馬記念(GI)に出走するも、主戦のルメールは急遽出走が決まったアーモンドアイに騎乗するため、池添謙一に乗り替わり。レースはアーモンドアイをマークして中団から勝ちに行ったが、直線でアーモンドアイこそ競り落としたものの、外から来たリスグラシュー、サートゥルナーリアに引き離され、後方で脚を溜めていたワールドプレミアにも差しきられて4着となった。
5歳
年明けは王座防衛が懸かった天皇賞(春)に出走。レースは中団に位置につけてじっくりと前を伺い、直線で抜け出したスティッフェリオを猛追し、ゴール直前でハナ差で差しきり勝利。フィエールマンは昨年の平成最後の春の盾に続き、令和最初の春の盾も獲得。文字通り時代を跨いだ名馬となった。さらにこの勝利は、
宝塚記念は疲労と右前脚球節部の腫れで回避し、秋はオールカマー→ジャパンカップというローテーションの予定だったが、不運にも熱発したためオールカマーも回避。結局、有馬記念を目標に置いて天皇賞(秋)から始動することになり、約半年ぶりにぶっつけでの実戦となった。
このレースではルメールがGI8勝を懸けたアーモンドアイに騎乗するため、フィエールマンは福永祐一に乗り替わりとなった。レースでは後方からうかがう形となり、最後の直線で抜け出したアーモンドアイを大外から最速の上がり3F32.7秒の猛烈な脚で追い込んだが、半馬身届かず2着。このレースでGI8勝の記録を達成したアーモンドアイからは果てしなく遠い半馬身であった。
続けて有馬記念に出走。本馬にとってベストではないとルメールが語る緩く荒れた馬場でのレースとなり、スローペースの中を前目に付ける競馬で押し切りを図ったが、当年の宝塚記念を制した牝馬クロノジェネシスとの叩き合いで後れを取ってしまう。最後は後方一気に賭けたサラキアにも差されて、クロノジェネシスからクビ+クビ差の3着に惜敗した。
その後、右前脚に熱感と腫れが認められたことから経過観察を経て休養に入ると一旦発表されたが、2021年1月8日のエコー検査で繋靭帯炎が認められたため、急遽無念の引退となった。
引退後はブリーダーズ・スタリオン・ステーションで種牡馬入り。産駒は2024年にデビュー予定である。
血統表
ディープインパクト 2002 鹿毛 |
*サンデーサイレンス Sunday Silence 1986 青鹿毛 |
Halo | Hail to Reason |
Cosmah | |||
Wishing Well | Understanding | ||
Mountain Flower | |||
*ウインドインハーヘア Wind in Her Hair 1991 鹿毛 |
Alzao | Lyphard | |
Lady Rebecca | |||
Burghclere | Busted | ||
Highclere | |||
*リュヌドール Lune d'Or 2001 黒鹿毛 FNo.20-d |
Green Tune 1991 栗毛 |
Green Dancer | Nijinsky II |
Green Valley | |||
Sounding | Mr. Prospector | ||
Ocean's Answer | |||
Luth d'Or 1983 黒鹿毛 |
Noir et Or | *ラインゴールド Rheingold |
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Pomme Rose | |||
Viole d'Amour | Luthier | ||
Mandolinette |
クロス:Northern Dancer 5×5
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関連項目
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