フィジェットトイ(Fidget Toy)とは、玩具の分類である。
概要
フィジェット(そわそわする、手持ち無沙汰である)を解消することを目的とする、暇つぶし用玩具。
技を行うことを目的とする「スキルトイ」とは、目的を異にする。
回すだけ、ボタンを押すだけなど、意味のない、単純な動作を繰り返すだけのものが多い。
「意味のない単純な動き自体にプレイアビリティがある」ということが注目されるようになったのは2017年頃のハンドスピナーブーム以降であり、この際に「フィジェットトイ」という用語が誕生した。
スキルトイとフィジェットトイの境界は曖昧である。
例えば、スキルトイに分類されるヨーヨーやジターリングも、基本的な技だけを行うならばフィジェットトイとして使えるし、フィジェットトイでもアクロバティックな技を行うことはできる。
「フィジェットトイ」とは玩具の形態ではなく、使用目的における分類である。
自作することができるものもある。むしろ、既製品が発売されたのは最近であり、かつては玩具化の価値があるとみなされず、手近なものを流用していた。
多動などを緩和する効果を期待し、特別支援学校や放課後等デイサービスなどの療育現場で用いられることもある。ただし、障碍が「治る」という効果はなく、あくまで「一つのことに集中させる」ためのものである。
具体例
本記事では、スキルトイの記事にないものを記述する。
フィジェットトイとして使えるスキルトイも存在する。
歴史
前述の通り、「フィジェットトイ」という用語自体は2017年頃のものだが。手持ち無沙汰を解消するために何かをいじる、という概念は古くからある。
クルミや鉄球を回したり、梱包材のプチプチを潰したりするのは最も原始的な例であり、これらは当初、自然物や玩具でないものの流用であった。
既製品の玩具としては、ピープルの「いたずら1歳 やりたい放題」という玩具にその端緒がある。
コンセントやティッシュボックス、スイッチなど、身の回りの日用品をおもちゃにしたものであり、乳幼児にとってはこれらの単純な動きが立派な遊びであることに注目したものである。
ただし、これは頼むから本物に手を出すのはやめてくれという親の悲痛な叫び「1歳のいたずらは脳が育つ原動力」というキャッチフレーズから分かるとおり、知育を目的としたものであり、「意味がないこと」に遊びを見いだすところまでは売りにしていない。
対象年齢がもっと高く、知育要素がないフィジェット玩具を商品化した例としては、「∞プチプチ」がある。これは、「プチプチを潰すのは楽しい」という周知の概念を玩具化したものであり、発想自体は新しいものではない。しかし、それが商品として売れるということを実証したという点においてコロンブスの卵とも言える存在である。
また、『仮面ライダーフォーゼ』の玩具「アストロスイッチ」は、フィジェットトイの概念が登場する前からその要素を取り入れたアイテムとして、後年評価されるようになった。
アストロスイッチは変身ベルトに組み込むことで音声が鳴るものであり、スイッチそのものに電気的なギミックはない。単体売りを前提とするアイテムでこのような仕様になっているために、発売前は「ベルトを買わないと遊べないおもちゃ」と見なされ、スイッチそのもののプレイアビリティは重要視されなかった。
しかし、実際に発売されてみると「スイッチのON/OFFそのものが割と楽しい」ということが知られるようになり、主人公たちが劇中でカチカチと動かすシーンも相まって、現在の「フィジェットトイ」としての遊び方が玩具ファンに知られる下地となった。
2017年にハンドスピナーブームが起こると、「ただ回っているだけのおもちゃがなぜか人気」という現象に説明をつける必要と、ブームに便乗した類似の玩具をひとまとめにする必要性から、「フィジェットトイ」という概念の整理が一気に進んだ。
ハンドスピナーブームは半年~1年で沈静化したが、「単純な動きをするだけの意味のないおもちゃ」というものがある、ということは人口に膾炙し、現在に至る。
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関連項目
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