フィルムコミックとは、動画作品を流用して漫画としたものである。
概要
動画作品のそれぞれの場面を切り取った静止画を、漫画のコマ割りのようにページに配置したもの。台詞は漫画のように吹き出しで表現され、描き文字で擬音や効果音が付けられていることもある。主にアニメ作品で制作される事が多いが、実写作品を元にして制作されたものもある。
アニメ文化が日本で定着して以後のどこかで発祥し、以後も現在に至るまで制作され続けている。しかしアニメ業界から見れば派生商品・グッズの一つに過ぎず、また漫画業界から見れば漫画「風」にした類似物でしかないという半端な立ち位置であったためか、さほど注目を浴びることもなく、その歴史についてのまとまった文献も乏しいようだ。
1979年に講談社から『銀河鉄道999』の「アニメKC」(「KC」は「KODANSHA COMICS」の略)が販売されているようで、ひとまずこれがフィルムコミックの最初期の一つではあると思われる。最初のものかどうかは定かでない。
その後、同じ講談社の「アニメKC」レーベルから『機動戦士ガンダム』『あしたのジョー』などの人気作品が商品化、また1981年にはサンケイ出版から『新竹取物語 1000年女王』や『ふしぎな島のフローネ』などが「ワクワク・フィルム・コミックス」レーベルとして発売されるなど、フィルムコミックはアニメ業界に定着していった。
例えば国民的アニメ『ドラえもん』の劇場版アニメ「大長編ドラえもん」シリーズは、小学館から「てんとう虫コミックスアニメ版」のレーベルで販売されている。またスタジオジブリによるアニメ映画作品も、かつては徳間書店から「アニメージュコミックススペシャル」のレーベルで、そして2013年からは文藝春秋から「文春ジブリ文庫 シネマ・コミック」のレーベルで販売されている。
日本のアニメ作品ではなく、怪獣映画『ゴジラ』シリーズやディズニーのアニメ映画などのフィルムコミックも販売されている。また韓国ドラマのフィルムコミックも発売されるようになっている。
しかしリリースされる数をタイトル数で年数比較してみると、近年ではフィルムコミックが制作されることは少なくなってきているようだ(2019年現在)。これには様々な理由が考えられるが、出版業界の外からは想像することしかできない。
「映像作品をどのようにコマ割りするか」「どのように描き文字を付けるか」「印象的なシーンをどのように演出するか」などには独特な工夫が必要と思われ、「秀逸なフィルムコミック化」やその逆も存在するはずだが、前述のように日陰の存在であるためか高評価も低評価もあまり聞かれず、その作業を行った個人や団体についても注目されることは乏しい。
ちなみに「Film comic」のWikipedia英語版記事には「アニメを元に、日本のマンガスタイルで表現したもの」とある(2019年3月24日時点の版)ため、英語圏にも「フィルムコミックと言えば日本由来」という認識があるのかもしれない。なお同記事によれば「Photo comics」という実写を用いた類似例があったとのことであり、「Photo comics」のWikipedia英語版記事によればその起源は1940年代のイタリアにまで遡れるという。
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