フィーとは、TRPG『ソード・ワールド2.0』に登場する架空種族である。
名前の由来はドイツ語で妖精を指す「Fee(フェー)」を英語読みしたもの。
なお、「fee」という英単語も存在し、そちらは手数料、料金、費用といった意味を持つ。
概要
ソード・ワールド2.0において、カルディアグレイスにおける追加PC用として登場した人族であり、古代種妖精でもある特殊な種族である(ただし、肉体を持つ為に妖精が持つ『ルーンフォークに見えない』という特性は持たない)。ありていに言えば『妖精でありながら他の妖精の力を借りて妖精魔法が使える、人族を対象とする効果の影響を受ける、強い自我と肉体を持つ特殊な妖精』といったところ。
体重が同じ体格の人間の四分の一しかなく、その軽さゆえか体が地面よりわずかに浮いている(……すごい理屈だ)。ただし、空を飛ぶことはできない。
容姿はやや小柄な美しいエルフといった感じで、生まれたときから同じ姿をしていて老いる事がない。寿命は200年ほどで、性別はなく子供も産まないが、「トーテム」という拠り所を元に擬似的な輪廻転生を行っているという。
髪や目の色などが、妖精魔法で契約している妖精の影響を受けて変化したりするという公式設定があり、基本的に頻繁にイメージチェンジをする容姿が安定しない種族扱いになるようだ。
“カルディアの子供たち”とも呼ばれ、1000年に一度しか姿を現さないと言われているとても珍しい種族。
(このため、彼らをPC・NPCとして使うには彼らの言う“フィーたちの1000年祭”が始まった事にする必要があり、その辺のすり合わせの関係からキャンペーン中の中途導入は他の追加種族より設定関連のハードルが高め)
擬似的な魂しか持たないため神の声が聞こえず(プリースト技能が取れない)、魔動機に対して致命的に無理解であるなど(マギテック技能習得不可)など、ルーンフォークに匹敵するほどの技能制限がある。これに関連する要素として、カルディアグレイスのコラムにて、『ルーンフォーク誕生のお手本はフィーだった』という説が述べられている。
蘇生についてもルーンフォークと同じく他種族と異なる特殊な蘇生形式となり(一定期間内に20点魔晶石を得る事により復活、回数制限あり)、穢れを得る事はない。
妖精であるゆえ、基本的に時間の感覚に疎くルーズであり(ほぼ時間の概念がない他の妖精に比べれば圧倒的にマシではあるが)、楽観的かつ享楽的であるらしい。音楽に対する感受性も高い。
……非常にある種族を彷彿とさせるというか、(悪い意味で)意気投合しそうな不安がしないでもない。
種族の特性
器用度 | 敏捷度 | 筋力 | 生命力 | 知力 | 精神力 |
B | A | C | C | B+ | A |
(全「生まれ」の平均+ダイスの期待値が基準。生まれによって±1ランク程度の誤差が発生)
「心」の数値が高く、魔法使いやバードに高い適性を示す。
また、敏捷力も高く、特に斥候生まれは初期作成でミアキスに次いで高い(最高数値は「27」)ので、それらを活かせる技能との相性も良い。
反面、筋力、生命力がやや低めであり前衛としての適性は低め。とはいえ敏捷度が非常に高いので回避特化すれば前線でも活躍が見込めないこともない。
また、上記の通りプリースト技能とマギテック技能が習得できない。さらに、どの生まれでもフェアリーテイマー技能がついてくる。
ビルドにおいて大きな制限がかかっている事になるので、注意したい。
[妖精の加護]
1日合計1分(6ラウンド)の間、「土」「水・氷」「炎」「風」の属性のうち1つを補助動作で宣言する事で、自分が発生させるその属性のダメージを上昇させ、さらに自分が受けるその属性のダメージを軽減する事ができる。
種族特性強化により、上昇・軽減量が増えたり、時間延長に加えて同時に2つの属性を宣言できるようになる。
攻撃と防御を兼ね備えた種族特徴であり、ビルドや敵に合わせて様々な運用法が考えられる。
どちらの運用でも、魔法にもこの効果が及ぶことが強みだろう。
[浮遊]
文字通り、地面よりわずかに浮くことができるという種族特徴。
足場が悪い事によるペナルティを一切受けず、地上でも水上でも滑るように移動する事ができる。
また、水中に潜る事自体は可能であり、さらに岸に上がる感覚で水中から水上に上がる事も可能。
この能力を実感する機会は少ないと思われるが、状況によっては[暗視]並みの有難味を感じることになるかもしれない。
ただし、重いものや他のキャラクターを抱えていると浮遊できない。また、あくまで浮くだけなので、谷や塀を飛び越えることはできない。あと、落下ダメージも普通に受ける。
考察
基本的に種族特性を活かせる妖精魔法に専門化していく形で構わない。
因みに、前衛適性こそ高くはないが〈エレメンタルブレイド〉[1]との相性が非常にいい。種族特徴によって「水・氷」「炎」「風」属性にブーストを掛け、さらに敵の弱点に属性を合わせれば大ダメージを与えることができる。戦線に立つ場合には是非入手したい逸品である。
また、そこそこある器用度に抜きんでた敏捷度があり、種族特徴[妖精の加護]は時間制限こそあるものの回数制限は無いので攻撃回数の多いグラップラーも悪くなく、加護の乗った三連撃は非常に強力。
ただし、「体」の数値が低い、グラップラーを持った生まれがないので初期作成時点ではLvが低くなりやすい、フェアリーテイマーに属性付与の魔法がないのでファイアウェポンなどの補助がないと種族特徴が生かせない、マギテックが使えないといった欠点もあるのでこのビルドはある程度手馴れてから行うのがベターだろう。
長所
習得不可のプリースト、マギテック技能を除き、魔法使いとしての素質はきわめて高い。特に「土」「水・氷」「炎」「風」属性のフェアリーテイマーとしての素質は、他の追随を許さないレベル。
ただし、種族特性が自分が属性ダメージを発生させる場合にのみ有効な為、サモンフェアリー系には効果がない事には注意(妖精魔法以外の属性攻撃を持たない場合は、妖精魔法が使えなくなるサモンフェアリー中は種族特性が有効に使いづらい)。
また、前述のとおり敏捷力が高く、知力が高く器用度もそこそこあること、また種族特性で足場の制限を受けないことも含めてスカウトやレンジャーへ適性も高い。先制判定の行えるウォーリーダーとの相性も良い。
その他にも、精神力が高いのでバード技能との相性が良い。元々音楽に関してのみ高度な文化を持つ種族という設定もあり、イメージ的にも親和性は高い。
短所
筋力・生命力が低く、耐久力が低めになりやすい。前衛を筆頭に、スカウトなどもトラップなどでダメージを受けた際の生存能力にかかわる為、この問題がネックとなりやすい。
また、技能制限により神聖魔法、魔動機術を使えない事がかなりのネックとなる。
特に【ラック】を筆頭とした便利な特殊神聖魔法が使えない事、魔動機術が使えないことに起因するカテゴリ:ガンの武器およびマギシュースタイルが使用不可な事は大きい。
フィーに限った事では無いが、技能制限のある種族はできない事をしっかり頭に入れておかないと、誤って『できない事を前提とした技能構築、成長のさせ方』をしてしまいやすいので注意が必要である。
LV1妖精魔法の使い道
たまに引き合いに出される問題点として、「全ての生まれがフェアリーテイマー技能を有している」というものが挙げられる。
本来、全てのPCは初期経験点として3000点ほど持っているのだが、そこから「初期技能」分の経験点を引いた値が「初期経験点」として表に記載されている。
当然、フィーのフェアリーテイマー技能もこの例に漏れない。そのため、経験点1000+αが確定で引かれてしまい、初期のビルド自由度を損ねてしまう……という話である。
ここまでなら「諦めてください」としか言えないが、もうひとつ「フェアリーテイマーを取る以上、それを活かすために伸ばす必要がある。そうすると経験点が足りなくなる」という意見もある。
そこで、LV1でも妖精魔法が活かせるかを気持ち検証してみる
【フェアリーウィッシュ】
問答無用の便利魔法。スカウト・セージを取れば、使用機会に不便はないと思われる。
【サモンペティ】
イグニスブレイズ(以下IB)で追加された召喚系魔法であり、レベル1の古代種妖精を召喚し30秒(3R)使役できる。かなり消費MPが少ない上に魔晶石も不要。また、契約している妖精も問わない。
レベル1の妖精がどうしたと言われそうだが、実はあまりバカにできない。
IBでは、同時に「古代種妖精は自身の属性の妖精魔法を行使可能」という設定も加わった。
そのため「土」と「光」の2つの属性を持つノッカーは、【スネア】と【ヒールウォーター】が行使可能になった。
このおかげで、【サモンペティ】1回分のMPで【ヒールウォーター】が3回行える。序盤の回復源にいかが?
LV2妖精魔法の使い道
経験点を1000点余計に消費することになるものの、Lv2に上げると基本妖精魔法【サモンフェアリー】に加えランク3の妖精魔法を行使できるようになり、活用の幅が更に広がる。
エンハンサーの代わりに1だけ、伸ばすのも十分考えられる。
【サモンフェアリー】
Lv3の妖精を召喚する魔法。序盤戦用と侮るなかれ、使い方次第で長く活用できるのだ。
特に有用な妖精は3種類。5点魔晶石と経験点2000をつぎ込む価値はあるはず。
- ムリアンの群れ(土)
みんな大好きGM泣かせに定評のあるチート妖精。
というのもこの妖精は、土属性の妖精魔法【アースハンマー】と自身の特殊能力「〆群れの攻撃」という必中の複数対象攻撃を2種類持っている。両方とも近接攻撃ではないので、攻撃障害も基本無意味。
加えて基礎能力自体も騎獣のウォーホース(Lv4)に匹敵し、使い方次第ではあのサンダーバードに対しても有効なダメージソースになりうる。
回避力が低く、シューターとの相性が悪いという欠点があるがそれを加味しても強力な妖精であることは間違いない。 - ドゥナエ―(光・闇)※古代種のため、IB必須
ムリアンとは別ベクトルで強力な妖精。単純な回復要員以上に、特殊能力「〆月の舞」がこの上なく便利。
5点魔晶石1個で行為判定に限定された【ラック】を3人にかけられると考えるといかに強力かが分かるだろう。
これのために高レベルセッションでフェアテを2に伸ばす価値は十分にある。 - ウィル・オー・ウィスプ(光)※WTで追加
上記二種類に比べるとどうしても影が薄く、一見ドゥナエ―の劣化。
しかしこちらは《魔法拡大/数》を所持しているため、【プライマリィヒーリング】を複数のキャラクターにばら撒けるという長所がある。HP回復量が微増する特殊能力「○癒しの空間」もあるため、実はヒーラーとしての性能は高い。
【ヒールウォーター】、【ウィスパーヒール】、【プライマリィヒーリング】
単純にサブの回復要員として。特にウィスパーヒールはパーティの小さい傷をまとめて癒すのに便利。
【ストーンガード】
一回だけ物理ダメージを軽減する。軽減幅が大きく、思わぬ致命傷を回避できることも。
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関連項目
脚注
- *〈エレメンタルブレイド〉:必要筋力僅か5で、技能が要らないBランクソード。
「炎」「水・氷」「雷」「風」いずれかの属性を補助動作で付与することができる能力を持つ『魔法のショートソード+1』
……のはずなのだが、基礎威力が何故かAランク相当という強力な武器。勿論、その分お値段は高い。
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