ニコニコ大百科:医学記事 ※ご自身の健康問題に関しては、専門の医療機関に相談してください。 |
フェノバルビタール(Phenobarbital)とは、バルビツール酸系向精神薬である。
概要
フェノバルビタールは、長時間作用型のバルビツール酸系睡眠薬・抗不安薬・抗てんかん薬である。薬機法における劇薬、習慣性医薬品であり、麻向法における第三種向精神薬でもある。商品名はフェノバール®など。剤形は、錠剤、散剤、エリキシル剤、注射剤、坐剤がある。不眠症、不安緊張状態の鎮静、強直間代発作などに用いられる。副作用として眠気、運動失調、発疹、肝障害がある。
1911年、ドイツの化学者Heinrich Hörleinによって合成された。その鎮静催眠作用の有用性が確認されると、翌1912年には製薬企業バイエルから睡眠薬
フェノバルビタールをはじめバルビツール酸系(バルビツレート)は、中枢神経系に存在するGABAA受容体のピクロトキシン結合部位(バルビツール酸結合部位)に結合し、Cl-チャネルを開口(とくに開口時間を延長)させることで、神経興奮を抑制する。脳幹網様体賦活系(覚醒維持に関与する神経系)などの脳神経の機能抑制により、鎮静催眠作用や抗けいれん作用を示す。
バルビツレートは、その強い中枢抑制作用によって依存を形成しやすいため、漫然とした使用は避けるべきである。身体依存の形成には、GABAA受容体とNMDA型グルタミン酸受容体の機能的なバランスが関与していると考えられている。また、精神依存や耐性も形成する。濫用したのち急に投与を中止すると、振戦、せん妄、けいれんなどの退薬症候(禁断症状)を呈する。
フェノバルビタールは、薬物代謝酵素シトクロムP450(CYP)を誘導するため、併用している薬物と相互作用を引き起こす。CYP1A2、CYP2C9、CYP2C19、CYP3A4がフェノバルビタールによって誘導されるため、これらの酵素を介して代謝される薬物の作用に影響を与える。したがって、たとえばアゾール系抗真菌薬ボリコナゾール、肺高血圧症治療薬タダラフィルなどと併用禁忌。また、フェノバルビタール自身もCYP2C19などにより代謝されるため、この酵素を誘導ないし阻害する薬物の影響を受ける。
関連リンク
関連項目
親記事
子記事
- なし
兄弟記事
- 0
- 0pt