フェンシングとは、ヨーロッパ由来の剣術より派生した武術、およびスポーツ競技である。
概要
フェンシングの原型は中世の剣士達による実践的な剣術であったが、盾や鎧などの防具や重火器が発達するにしたがって、戦場で剣が使われることは少なくなった。しかし剣は騎士の名誉を具現化する象徴であり、ヨーロッパの上流階級では剣術を嗜み続けたため廃れる事はなかった。そして19世紀、ヨーロッパ各地で競技として行われるようになった。
しかし国や地域によってルールが異なっていたため、これを統一しようと1913年に国際フェンシング連盟がパリに設立された。これがスポーツとしてのフェンシングの始まりである。
発祥の地であるヨーロッパでは非常に知名度の高い競技で、世界的に見ても競技人口は多い。
1896年のアテネ五輪からオリンピック正式種目にもなっている。現在はイタリア、ドイツ、フランスが強豪国とされる。
日本では剣道があるためか知名度が低く、競技人口も10000人程度である。
しかし、2008年の北京五輪で太田雄貴選手が男子フルーレ個人種目で銀メダルを獲得。フェンシング競技では日本人選手初となる五輪メダリストに輝くという偉業を成し遂げ、脚光を浴びている。また大田選手は2012年のロンドン五輪でも男子フルーレ団体種目で銀メダルに輝いている。
そして、2021年の東京五輪においては、男子エペ団体種目で初の金メダル獲得を成し遂げた。
フェンシングの語源は「FENCE(垣根・防ぐ)」。自分の体を守る、名誉を守る、ルールを守るという意味がある。
ルール
フェンシングにはフルーレ、エペ、サーブルの3種類の武器があり、それらがそのまま競技の種目になっている。
「有効面」と呼ばれる箇所を攻撃する事でポイントが入り、種目ごとに有効面が異なる。
フルーレとサーブルには「攻撃権」があり、先に攻撃した方が優先権を持つという事である。この攻撃権を持ってる状態で相手の有効面を攻撃すればポイントとなる。
二人の選手が向かい合った状態で、ピスト(細長い演台)の上で競技を行い、制限時間内により多くのポイントを獲得した方が勝者、というのが基本的なルールである。
- フルーレ・・・「突き」のみの種目。胴のみ(手足、頭は×)が有効面。先に攻撃したほうが攻撃権を持つが、相手の剣を払うことで攻撃権が移る。二人同時に突いた場合は攻撃権を持つほうのポイントとなる。攻撃権の有無は審判が判断。フェンシングの基本とも言うべき種目で、日本でも最も一般的である。
- エペ・・・一番伝統的な種目。フルーレ同様「突き」のみの種目であるが、全身の全てが有効面。攻撃権は無く、一瞬でも早く相手の体を攻撃すればポイントとなる。二人同時の場合は両方のポイントになる。とにかく「先に突いたもん勝ち」というルールの為、他の競技に比べて慎重な立ち回りを要求される。
- サーブル・・・唯一「斬り」が可能な種目。上半身の全てが有効面。フルーレ同様攻撃権がある。ランプが点灯した時に、審判がどちらの選手が攻撃権を持っているかの判断を行う。他の種目と異なり斬る事が主体となるので、激しい動きと豪快な斬り合いが特徴である。
用語
- ラッサンブレ・サリュー・・・気をつけ、礼。
- エト・ヴ・プレ・・・準備はいいか?
- オンガルド・・・構え。フェンシングの最も基本となる姿勢。
- ウィ・・・良し。
- ノン・・・まだ。
- プレ・・・用意。
- アレ・・・始め。
- アルト・・・止め。
- マルシェ・・・一歩前へ。
- ロンペ・・・一歩後ろへ。
- ボンナバン・・・前に飛ぶ。
- ボンナリエール・・・後ろに飛ぶ。
- アロンジェルブラ・・・腕を前に出す。最も基本的な攻撃。
- ファンデヴ・・・踏み込んで突く。
- フレッシュ・・・剣を前に突き出して突進する。捨て身攻撃。
- パレ・・・相手の剣を払う。
- リポスト・・・相手の剣を払った直後に反撃をする。カウンター。
- トゥッシェ・・・有効面への攻撃。
- ノンヴァラブル・・・無効面への攻撃。
- コントルアタック・・・攻撃権を持っていない状態での攻撃。相手を迎撃する事。
関連動画
関連商品
関連コミュニティ
関連項目
- 5
- 0pt