フジテレビ老人火あぶり致死事件とは、2003年から2004年頃、TV関係者による無責任かつ悪質な行動により事件が起こったとされるものである。
2012年にフリーランスのジャーナリストである中川一徳がこの事件に関する記事を記し、それが週刊文春(2012年3月8日号)に署名記事として掲載されたことによって周知され、ネットなどを始めとして炎上、話題となった。
また、2025年にはいわゆる「フジテレビ不適切接待疑惑問題」の流れの中で、2025年2月9日付の以下の記事で取り上げられ、再浮上した形となった。
上記の2012年や2025年の週刊文春の記事の内容通りであるなら、事件の加害者側にあたる番組の責任者は現在でもまったく裁かれていない。
ただし、この説に限った話ではないが、情報源に信憑性が無く、事実関係も判然としない曖昧な情報を、さも真実であるかのように触れ回る行為は自粛すべきである。良かれと思った流した情報が、実際は関係各者の実情と乖離しており、かえって迷惑をかけるという構図は現実でもままあることである。情報源の記事が信頼できるかについては、元記事を確認するなどして各自が判断されたい。
動画サイト「YouTube」や「Dailymotion」には、当該テレビ番組『退屈貴族』のうち問題の企画「東洋のランボ―」のものとされる部分の切り抜き動画が、複数のアカウントによってアップロードされている。
概要
※この内容は、上述の週刊誌を発祥として、世間に広まった内容をある程度まとめたものです。
かつて放送されていた『退屈貴族』(2003年~2004年)という深夜番組内で行われた一企画により、ピックアップされた老人が重篤な火傷を負い、後にそれが元で死去したとされる事件。
退屈貴族という番組は、おもしろ映像を貴族に扮した出演者に見せて、無表情を取り繕う彼等をなんとかして笑わせるという内容。
そして出演者を笑わせる題材として、フジテレビのスタッフは、以前日本テレビの別番組で出演していた「幽体離脱をし、火渡りをする老人」に目を付け、出演依頼を取り付けた。
老人は一人暮らしであり、久々に注目されたことに気を良くしたのかそれを快諾した。
2003年12月4日に多摩川の河川敷でロケ(撮影)が行われた。
老人は段ボールに火を付け、その上を歩こうとしていた。
段ボールに灯油を撒いて火を付けた所激しく燃え上がってしまったが、そのまま中に突入した。
だが10歩ほどで激痛に我慢できず、燃え盛る段ボールから離れた。
撮影後、オロナインを塗ったはいいが、老人の両足は真っ赤に焼けただれ、足裏の皮はめくれ上がっていた。
番組スタッフは老人をタクシーに乗せ、そのまま自宅へと送っていった。
老人に病院に行くか確認した所、大丈夫と言ったため、出演料2万円を払い撤収した。
5日後、痙攣している所を隣に住んでいた兄によって発見され、すぐに病院へと搬送される。
老人の火傷は足の裏から太ももにかけて、表面積の三割近くまで及んでいた。
この火傷により老人は12月20日には呼吸が一時停止し、多臓器不全に陥った。
病院は事件性を疑い、TV撮影上の過失ではないかと警察に通報する。
警察はすぐに調査を開始するが、フジテレビの上層部が撮影を認識していなかったのか、撮影の存在そのものを否定した。
警察はそれを鵜呑みにし、老人の虚言と判断。
2004年1月19日には撮影した映像が『退屈貴族』内で「東洋のランボー」と題して放映された。
これを見た視聴者から内容について「やり過ぎだ」という抗議が寄せられ、フジテレビはロケの存在に気付いた。
その後スタッフは兄夫婦に謝罪しに行ったが、兄夫婦はこの話を老人が持ちかけたものと誤解しており、スタッフはその誤解を解くことのないまま帰った。
その後フジテレビの顧問として天下りしていた元警察関係者が事情説明を行った。
老人は何度も手術を受けたが回復することはなく、歩くことが出来ないまま、数年後の2007年に死去した。
死因は火傷の後遺症による可能性が高い腎不全だった。
論争
前述の通り、本件は公になっている情報源が週刊文春の記事のみであり、記事は真実であると主張する者と記事に信憑性が無いと主張する者の間で論争になることもある。
真実派
デマ派
- 情報ソースについての疑問点
- 記事通りであった場合の疑問点
- 記事通りであった場合、関係者は業務上過失致死や保護責任者遺棄致死といった重罪に問われてもおかしくない案件である。それにも関わらず警察はフジテレビの証言だけを鵜呑みにしており、またいくら元警察関係者と言えども、彼の一声だけで事件を隠蔽・揉み消すことが出来るというのは無理があるのではないか。
- フジテレビが本気で事件を揉み消そうとしていたのなら、この企画はテレビ番組として放送されずにお蔵入りになっていたのではないか。実際、番組制作においてある企画が撮影や編集まで行われても、その後に没となって放送されないことは日常茶飯事である。
- 遺族である兄夫婦は記事が出て騙された事を知った後全く行動を起こしていない。
- 火渡りについて
- 炎の中を歩くという行為は火渡りと呼ばれ、神事として行われる程度には安全性があるため重症になるとは考えにくい(※ただし、前述のように、いわゆる火渡り神事と本件の「火渡り」については相違点が多い)。
- 老人は火渡り後に「今日は火が強いねw(でも)大丈夫だった」と発言する、スタッフの「英語で11は?」という質問にふざけて「セブンイレブン」と答える等の余裕を見せており、死に至るほど重度の火傷を負っていた可能性は低い(※ただし、医学的には「死亡の危険に繋がる重度の熱傷であっても当初は意識がはっきりしており疼痛の訴えも乏しかった」という症例はある)。
- 老人の被服・体調が良好であるため、撮影時に何らかのトリックを使ったか、炎自体がCGである可能性がある(※ただし、前述のYouTubeやDailymotionに投稿されている映像を見る限りでは、火渡り後の体調が「良好」と判断できるものではない)。
- 火渡り後に映る老人の体に火傷の痕跡が全く無い(※ただし、同じく前述の動画サイト投稿映像においては、火渡り後に老人の下肢が明確に映るカットは確認できない)。
- その他
- そもそも週刊誌の記事というものは、今も昔も眉唾物であるというのが暗黙の了解となっており、それらに逐一訴訟を起こしていたらキリが無い。そのため、フジテレビが文藝春秋(週刊文春の出版社)に対し訴訟を起こしていないことをもって、記事の信憑性が高いということは出来ない。
- フジテレビの番組撮影時に起こった事故で関係者が怪我をしたという報道は度々なされているが、このことをもって本件も真実である可能性が高いかと言われれば逆である。もし本件のような仮に事実であれば業務上過失致死等の重罪に問われかねない案件すら隠蔽・揉み消しが出来るほど強大な力がフジテレビにあるのだとしたら、他の不祥事も隠蔽されていなければ不自然である(※ただし、「フジテレビ不適切接待疑惑問題」という、不祥事が隠蔽されなかなか明るみに出なかった実例が2025年に出てきてしまった)。
関連動画
関連項目
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