フライトライン(Flightline)とは、2018年生まれのアメリカの競走馬である。
主な勝ち鞍
2021年:マリブステークス(GI)
2022年:メトロポリタンハンデキャップ(GI)、パシフィッククラシックステークス(GI)、ブリーダーズカップ・クラシック(GI)
概要
父Tapit、母Feathered、母の父Indian Charlie。
父は高い素質を持ちながらもそれを存分に発揮することできなかったが、種牡馬として多数の活躍馬を輩出してアメリカリーディングサイアーにも輝いた馬。母はGIII勝ちがあるほか、芝・ダートのGIでそれぞれ2着の実績がある。母の父は競走馬としては大成できなかったが、種牡馬として活躍馬を輩出している。
2019年にファシングティプトン8月セールに出場にて100万ドルで落札。翌年1月にトレーニングの準備中に大怪我を負ってしまい、育成が大幅に遅れて、デビューは3歳まで縺れ込むことになった。
3歳時(2021年)
4月24日のサンタアニタ競馬場の未勝利戦でデビューして13馬身1/4差の圧勝でデビュー戦を飾る。2戦目となった9月のデルマー競馬場のアローワンス(一般競走)も12馬身3/4差の圧勝で連勝する。
こうなると秋の大一番ブリーダーズカップ・スプリント(GⅠ)を陣営は熱望したが、馬主が拒否をしたためブリーダーズカップ参戦は立ち消えた。
マリブステークス
年末の3歳限定競走のマリブステークスに出走。既にGIで2勝を挙げており、ブリーダーズカップ・スプリントで2着だったDr. Schivelを抑えて単勝1.4倍の圧倒的1番人気に推される。ハナを切ってレースを先導すると、勝負所で後続の手綱が激しく動き始めても鞍上フラヴィアン・プラ騎手の手は微動だにせず、直線では馬なりのまま後続を引き離し、最後は後ろを振り返る余裕を見せて11馬身半差の圧勝でGI初制覇を果たした。
2021年度のロンジンワールドベストレースホースランキングでは124ポンドという評価を得た。これは2021年度におけるダートスプリントにおいて1位。スプリント区分全体でもNature Stripと並んで1位タイの評価である。
4歳時(2022年)
距離延長を視野に入れマイル戦のメトロポリタンハンデキャップを目標とする。4歳初戦はサンカルロスステークス(GII)を予定していたが、2月に肢の飛節を痛めたため回避した。
メトロポリタンハンデキャップ
ぶっつけ本番となったメトロポリタンハンデキャップでは初のマイル戦ながら今までのパフォーマンスが評価されて単勝1.45倍の圧倒的な1番人気に支持された。この競走はハンデ戦であり、トップハンデ56.5kgを背負ったのは目下3連勝中で前走カーターハンデキャップをノーステッキで圧勝した2番人気馬Speaker's Cornerで、本馬はそれに次ぐ56.0kgを背負った。
発馬で出遅れてしまいすぐに先頭に取り付こうとするもSpeaker's Cornerに前を塞がれ2番手。それでも第3コーナーから逃げるSpeaker's Cornerに並びかけ、鞍上が軽く気合を付けると直線に向かって差を広げる。そのままノーステッキで最後は流す余裕の走りで2着Happy Saverに6馬身差つける圧勝。休み明け初戦や距離延長を全く問題にせずにGI2勝目を挙げた。
パシフィッククラシックステークス
陣営はブリーダーズカップ・クラシックを見据えて、10ハロン戦のパシフィッククラシックステークスを選択。更に2ハロンの距離延長となり、ドバイワールドカップ優勝馬Country Grammerやサンタアニタハンデキャップをトップハンデで勝利したExpress Trainらが参戦していた中でも単勝1.3倍の圧倒的な1番人気に支持された。レースは外枠からの発馬だったために2番手となるも、途中でハナを奪うと後続との差を広げる。4コーナーで既に10馬身以上の差をつけて大勢を決すると、そのまま19馬身1/4差という衝撃的な着差で大圧勝、無敗のままGI3勝目を挙げた。更なる距離延長を全く問題にせずブリーダーズカップ・クラシックに向けて視界良好という結果だった。
この時、2着馬Country Grammerも3着以下に7馬身差つけており、相手が決して弱かったわけではない。フライトラインが強すぎたのだ。
ロンジンワールドベストレースホースランキングではこのレースで139ポンドという驚愕のレーティングを獲得。同年第1位どころか、現行システムになってからの歴代レーティング2位(1位はFrankelの140ポンド)に入る途轍もない数字を叩き出した。
このレース後、現役引退後はケンタッキー州の名門・レーンズエンドファームでの種牡馬入りが決定していることが報じられた。
ブリーダーズカップ・クラシック
そしてアメリカ最強馬決定戦ブリーダーズカップ・クラシックへ出走。パシフィッククラシックステークスでの衝撃的な大圧勝劇を披露した本馬の恐れをなして回避する陣営も少なくなかったが打倒フライトラインを果たさんとする猛者たちが集結し、本馬を含む出走8頭全てGI馬という豪華な面子となった。
- ここまで3連勝、今年のペガサスワールドカップで前年の年度代表馬Knicks Goを完封したGI4勝馬Life Is Good。
- ここまで2連勝中で真夏のダービーといわれるトラヴァーズステークスを5馬身1/4差で圧勝したEpicenter。
- ペンシルベニアダービーを3馬身差で快勝してここに臨むGI2勝馬Taiba。
- 前走GII戦を勝利し、今年のドバイワールドカップでも2着に好走した前年のペンシルベニアダービー馬Hot Rod Charlie。
- 今年だけでグレード競走5勝、前走ジョッキークラブゴールドカップでGI制覇を果たしたOlympiad。
- 今年のケンタッキーダービーを補欠繰り上がりの身で優勝し、その後は低迷していたが前走でHot Rod Charlieと叩き合って2着と復活の兆しを見せたRich Strike。
- GI勝利こそ1勝だが、GI2着4回を誇る一昨年のジョッキークラブゴールドカップ優勝馬Happy Saver。
これらの強豪たち相手でも単勝1.44倍の圧倒的な1番人気に支持された。レースはLife Is Goodが逃げるとそれにピッタリと付け、向こう正面へ入る辺りから2頭が後続を引き離していき早くもマッチレースの様相となった。そしてコーナーで引き離そうとするLife Is Goodに全く動じず並び掛けていくと、直線でLife Is Goodの鞍上イラッド・オルティスJr.騎手が鞭を入れるなか、楽々と交わしていき後は独走状態。アメリカ中の強豪相手でもお構いなしといわんばかり、ゴール前で「Secretariat-like」という現地実況が飛び出すほどの圧勝で米国競馬最大の祭典を優勝した。
この時、2着Olympiadに付けた着差は最後流したにも関わらず8馬身1/4差。これはVolponi・American Pharoahが記録したブリーダーズカップ・クラシックの最大着差6馬身半差を2馬身近く更新した。それでも物足りないと思ってしまうのが本馬の恐ろしいところである。
そして、世界中の競馬メディアが沸き立ち、もはや実況でも引き合いに出されたSecretariatを筆頭とする歴史的名馬たちを比較対象とするような域へ達したこのパフォーマンスをもって、現地時間のレース翌日・11月6日に現役引退とレーンズエンドファームでの種牡馬入りが発表された。通算6戦6勝・GI4勝、全レースの合計着差は実に71馬身という鮮烈なキャリアであった。
引退後の2023年1月に発表されたロンジンワールドベストレースホースランキングでパシフィッククラシックステークスのレーティングが上方修正された結果、叩き出した数値は驚異の140ポンド。これは世界最強馬と名高いFrankelに並ぶ歴代史上1位タイの数値である。無論、これは2022年の競走馬のレーティングにおいても最高値であり、135ポンドを獲得した2位のBaaeedに5ポンド差をつけて世界王者へと輝いた
また2022年度エクリプス賞(北米における日本のJRA賞に相当する)の年度代表馬&最優秀ダート古牡馬にも選出された。尤もこれは全米の競馬ファンにとって分かり切っていたことであろう。満票とはいかなかったが、この辺りは本馬の体調を気遣って年間で3走しか走らなかったことが影響したのかもしれない。とはいえ本馬が素晴らしい能力を発揮したことが称えられたのは間違いない。
引退後
2023年からレーンズエンドファームにて種牡馬入り。初年度の種付け料は20万ドル(約3000万円)に設定された。
血統表
Tapit 2001 芦毛 |
Pulpit 1994 鹿毛 |
A.P. Indy | Seattle Slew |
Weekend Surprise | |||
Preach | Mr. Prospector | ||
Narrate | |||
Tap Your Heels 1996 芦毛 |
Unbridled | Fappiano | |
Gana Facil | |||
Ruby Slippers | Nijinsky II | ||
Moon Glitter | |||
Feathered 2012 鹿毛 FNo.20-b |
Indian Charlie 1995 鹿毛 |
In Excess | Siberian Express |
Kantado | |||
Soviet Sojourn | Leo Castelli | ||
Political Parfait | |||
Receipt 2005 黒鹿毛 |
Dynaformer | Roberto | |
Andover Way | |||
Finder's Fee | Storm Cat | ||
Fantastic Find |
クロス: Mr. Prospector 4×5×5(12.5%)
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