フランク・ジョーブ(Frank Wilson Jobe)とは、アメリカの整形外科医である。
スポーツ医学の発展に貢献し、肘の内側側副靱帯再建手術(トミー・ジョン手術)及び肩の再建手術の先駆者。
出生~スポーツ医学に携わるまで
1925年ノースカロライナ州生まれ。1943年に米軍に召集され、第二次世界大戦において第101空挺師団で医療に従事。バストーニュの戦いで短期間捕まったこともあるが、無事に脱出している。
戦後、復員兵援護法(GIビル)を利用して大学へ進学。学士号取得後、アメリカ最大級の私立医大であるロマリンダ大学のメディカルスクールへ入学し、1956年に医学博士となる。ロサンゼルス郡立病院の整形外科で研修期間を終えた。
1964年にロサンゼルス・ドジャースの医療コンサルタントに就任。
1965年、ロバート・カーラン医師とカーラン・ジョーブクリニックを共同設立(設立時は別名称)。ロサンゼルス・ドジャースに加え、エンゼルスやNFL、NBA、NHL等数多くのプロ選手やアマチュアアスリートの治療に携わった。
先進的なスポーツ医療
トミー・ジョン手術
1974年9月25日、ジョーブが考案した革新的な方法により、肘の内側側副靭帯の再建手術を実施。
この手術を受けたドジャースのトミー・ジョン投手が、手術後14年にわたり活躍したこともあり、彼の名をとって「トミー・ジョン手術」として広く知られるようになる。なお、トミー・ジョン投手は手術前が12年で計124勝、手術後が14年計164勝と、手術後に成績を伸ばした一例となっている。
2例目の内側側副靭帯再建手術を行ったのは2年後で、ジョーブも当初は手術効果の持続に自信を持てなかったが、成功を重ねた結果、現在ではごく一般的な治療の一つとなっている。
日本球界では肘にメスを入れることがタブー視されていた。
しかし、1983年に村田兆治、1988年荒木大輔(リハビリを焦り、翌年再手術)、1995年に桑田真澄ら、球界の顔と言うべき投手らが手術に挑戦し、その後復活したことから、近年では日本でも一般的な治療となっている。
また、技術の広がりとともに、渡米せずに国内の医療機関で手術する事例も見られるようになった。
肩の再建手術
ジョーブは肘の内側側副靭帯再建手術で著名であるが、肩の再建手術でも成功を収めている。
1990年にドジャース所属のオーレル・ハーシュハイザー投手の利き腕の肩の再建手術を施した。トミー・ジョン手術同様にこの手術でも先駆者となり、ハーシュハイザーの復活という成功を以って肩の手術も広く行われるようになった。
晩年
2002年にジョーブは冠動脈のバイパス手術を受け、2010年には除細動器を埋め込む手術を受けた。
2014年3月6日カリフォルニアで死亡。享年88歳。
ジョーブの手術で選手生命を救われた選手は多く、日本でも村田兆治、荒木大輔、桑田真澄らがジョーブの死を悼み、感謝の言葉を述べている。また、上述のハーシュハイザーはツイッターで「ジョーブ博士は他の誰よりも勝ち星とセーブを手にした男だ」といった旨の呟きでジョーブの功績を称賛し、死を悲しんでいる。
その他
パワプロシリーズに登場するダイジョーブ博士は、もしかしなくてもジョーブに由来するものである。ダイジョーブ博士は波平ヘアーだが、ジョーブの生前は増毛の783640悩み無用だった。
パワプロにおける能力アップの手術はシリーズ中成功率が低いものの、本家によるトミー・ジョン手術は成功率は約90%と言われている。
また、上述のトミー・ジョンのように、手術後に成績が向上する例も実際にある模様(ジョン・スモルツ、ビリー・ワグナー等)。これは、復帰に至るまでに十分なリハビリ期間が設けられ、そこで改めて土台づくりが行われることの産物であると目されている。
なお、Wikipedia英語版の本文では、ミドルネームが"Wilson"ではなく"James"となっている。事実や詳細が分かる人がいれば情報求む。
関連動画
左:例の人。
右:村田兆治投手。当時は肘にメスを入れることは一大事件であり、復活は驚きを以って迎えられた。
ニコニコ動画上には例の人の動画しかないが、、MLB.comで生前の博士のインタビューを見ることができる。
また、ESPNの30 for 30 shortsでジョーブやトミー・ジョン、関係者らにインタビューをしたドキュメント作品が作られている。→Tommy and Frank(外部リンク)
関連商品
関連項目
- 大百科内記事
- 医師
- ロサンゼルス・ドジャース
- トミー・ジョン手術
- ダイジョーブ博士
- プライベート・ライアン - 中心人物のジェームス・ライアン1等兵が第101空挺師団に所属
参考文献・サイト
・The Washington Post, "Frank Jobe, pioneer of Tommy John surgery for baseball pitchers, dies at 88", Matt Schudel, March 7 2014
・スポニチ Sponichi Annex 「ジョーブ博士が死去 村田兆治、桑田真澄氏らが謝辞」 2014年3月7日12:47掲載
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