フリゲート(Frigate)とは、軍艦の一種である。「フリゲート艦」「フリゲイト」とも表記される。
概要
フリゲートの歴史は、近代帆走軍艦時代まで遡ることができ、時代や国家によって様々なタイプがあるが、概ね次のような特徴を備えた軍艦であった。
このような特徴を備えたフリゲートは、当時の主力艦であった戦列艦の護衛の他、哨戒、 連絡、通商破壊、さらには戦列艦に変わっての艦隊戦などもこなす万能艦だったが(そういう意味では後世の巡洋艦・駆逐艦的な艦でもあった)、帆走/木造船の時代から、汽走/鋼製の時代になるにつれ、戦艦や巡洋艦といった現代艦の登場により、海軍から消えてしまった。
日本では幕末期に江戸幕府が購入した汽帆走フリゲート「開陽」がこれにあたる。
近現代
こうして一度は消えてしまったフリゲートだったが 、第二次世界大戦で意外な形で復活を遂げることとなった。ドイツの潜水艦に悩まされた連合国は多くの船団護衛用艦艇を建造したがその中で、駆逐艦より小型の船団護衛用の軍艦にフリゲートの艦種が与えられたのである。復活したフリゲートは対空・対潜用の兵装を搭載した1000t程度の小型艦であったが、速力は20k程度とかつてのような軽快な軍艦とは言い難い艦だった。しかしそれ故に海軍工廠や大型造船所ではない、中小の民間造船所でも建造が可能で、戦中に大量に建造され連合国の勝利を陰で支えた殊勲艦となった。
日本海軍でも大戦中に新造された占守型以降の海防艦はフリゲートに近い設計思想だったが、馬力・速力が足りなかったために護衛対象の輸送船どころか駆除対象の米潜水艦にすら追いつけないという実質コルベットだったので戦績はお察し下さい。戦後に残存した海防艦の多くは復員輸送艦や掃海艇として従事しており、そのうち17隻は中華民国海軍に譲渡されて巡防艦(フリゲート) として再就役した。
第二次大戦が終結すると、大量に建造されたフリゲートはその多くが余剰となり、退役するか他国へ譲渡されたが(草創期の海上自衛隊にも米海軍のフリゲートが在籍していた) 、その小型ゆえの経済性とそこそこの性能から、特に戦後独立した新興国を始めとした中小国の海軍で主力を担うこととなった。そして、現用艦ではフリゲートは戦後の駆逐艦の発展と同様に、大型化し対空・対潜・対艦用のあらゆる装備を搭載する軍艦となり(そのため現用艦においてはフリゲートと駆逐艦との差異はほとんど無く、単に所属する海軍が何と呼ぶか程度の違いしかない)、駆逐艦とならんで海軍の中心を占めるようになっている。
翻訳
尚、余談であるがしばしばみかける「フリゲート艦」という表現は、上記のようにフリゲートだけで「戦列艦より小型・高速・軽武装な軍艦」「駆逐艦より小型な船団護衛用の航洋艦」という意味を含むため”艦”を付ける必要はない。もっともガレー船やガレオン船にもいえることだが、単にフリゲートと言ったところで艦船の一種ということが伝わるのは航海史民やミリオタだけなので、一般人に説明するときには補助的重言としてフリゲート艦と呼ぶことも多い。
フリゲート | コルベット | |
台湾・香港 | 巡防艦 | 軽巡防艦(護衛艦) |
中国 | 護衛艦 | 軽護衛艦 |
また、漢字文化圏における「Frigate」は「Battleship=戦艦」「Cruiser=巡洋艦」「Destroyer=駆逐艦」のように訳語が統一されておらず、表のように台港と大陸では異なる訳し方をしており、さらに北朝鮮はコルベットを哨戒艦と呼び、日韓では英語の音写を用いることが多いという状態。
海上自衛隊では2019年からもがみ型護衛艦が正式にフリゲートとして分類されるようになったが、海自では駆逐艦だろうと戦闘機搭載予定ヘリ空母だろうと護衛艦なのであまり翻訳の参考にはならない。
記事のあるフリゲート一覧
- アルバロ・デ・バサン級フリゲート
- オリバー・ハザード・ペリー級フリゲート
- クリヴァク級フリゲート
- コルテノール級フリゲート
- デ・ゼーヴェン・プロヴィンシェン級フリゲート
- デューク級フリゲート
- MEKO型フリゲート
- バーデン・ヴュルテンベルク級フリゲート
- ハリファックス級フリゲート
- もがみ型護衛艦
- ラファイエット級フリゲート
- 054型ミサイルフリゲート
関連動画
関連商品
関連コミュニティ
関連項目
- 6
- 0pt