概要
ボクシングにおける基本のテクニックにして、最も使用頻度が高いパンチがジャブである。
一発で相手をKOする威力はないが、相手との距離感をはかったり、ポイントをかせいだり、
相手に細かいダメージを蓄積させたり、強いパンチを当てるためのきっかけを作ったり、
試合のペースを握ったりと、その効果は絶大で、強いボクサーは優れたジャブの使い手であることが多い。
そんなジャブの発展形のひとつがフリッカージャブである。
左手(左構えのボクサーの場合は右手)を下げた位置で構え、
脱力した状態から、むちのようにしならせて打つパンチで、
通常のジャブとは違う変則的な軌道を描くので相手のリズムを狂わせるのに有効だが、
ダメージは与えづらいという欠点もある。
代表的なフリッカージャブの使い手としては、
史上初の5階級制覇を達成したトーマス・ハーンズがあげられる。
ハーンズは198cmという驚異的なリーチ(身長は185cm)を活かしてフリッカージャブを使いこなし、
1980年代にはマービン・ハグラー、シュガー・レイ・レナード、ロベルト・デュラン
とともに「黄金の中量級」を盛り上げた。
その左腕をだらりと下げたスタイルは「ヒットマンスタイル」とも呼ばれ、
フリッカージャブはハーンズの代名詞ともなっている。
他にも、50戦無敗のアンタッチャブルレコードを達成したフロイド・メイウェザー・ジュニアが使いこなすなど、
フリッカージャブはリーチが長く瞬発力に優れた黒人ボクサーが使うことが多く、日本人には不向きなパンチだといえる。
フリッカージャブというと、ハーンズよりも、漫画はじめの一歩の「間柴了」を思い浮かべる人も多いかもしれないが、
間柴のように落とした左手を振り子のように左右に振る動作は、本来のフリッカージャブには不要なものである。
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