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フルニトラゼパム(Flunitrazepam)とは、ベンゾジアゼピン系催眠薬である。先発医薬品の販売名はサイレース®。かつてロヒプノール®の名でも製造販売されていた。
概要
フルニトラゼパムは、不眠症の治療や全身麻酔の導入などに用いられるベンゾジアゼピン系催眠薬である。麻薬向精神薬取締法において第二種向精神薬に指定されている。アメリカ合衆国においては麻薬として規制されている。スイスの製薬企業エフ・ホフマン・ラ・ロシュが開発し、1973年にフランスで医薬品としての承認を受けた。日本でも1983年に承認され、1984年から製造販売が開始されている。
ベンゾジアゼピン系催眠薬は、大脳辺縁系や視床下部に存在するGABA神経系においてGABAA受容体ベンゾジアゼピン結合部位に結合する。GABA親和性が増大し、抑制性のGABA神経系の機能亢進により鎮静・催眠作用を示す。フルニトラゼパムの作用時間は7時間程度とされており、中時間型に分類される。
フルニトラゼパム錠は、不眠症の治療や麻酔前投薬に用いられる。就寝前や手術前に1回0.5~2mgを経口投与。症状や年齢に応じて適宜増減するが、高齢者は1回1mgまで。依存性もあるため、用法用量は医師の指示に従うこと。副作用は日中の眠気、ふらつき、倦怠感などがある。投与中止の際は退薬症候回避のため漸減する。アルコールを併用すると中枢神経抑制作用が増強され昏睡や呼吸抑制などをきたすおそれがあるため、服用中は飲酒を避けることが望ましい。
サイレース®静注2mgは、全身麻酔の導入や局所麻酔時の鎮静に用いられる。必要量を注射用水で2倍以上に希釈調製し、できるだけ緩徐に静脈内注射する。
先発医薬品名の“Silece®”は、“Silent”(静かな)+“ace”(エース)に由来する。諸外国における商品名の“Rohypnol®”は、開発した“Roche”(ロシュ社)+“hypnotic”(催眠の)に由来する。
諸注意
フルニトラゼパムは第二種向精神薬であるため、処方されたフルニトラゼパム錠をみだりに他人に譲り渡したり譲渡を周旋したりすると、懲役刑が科せられる。海外ではより厳しく規制されていることもあるので、海外旅行に携帯する際は事前に証明書を発行してもらうなどの対応が必要となる。
純粋なフルニトラゼパムの結晶は白色~淡黄色であるが、悪用を防止するため2015年から錠剤に着色料(青色1号)が添加されるようになった。水やアルコール飲料に入れると錠剤が崩壊し成分が溶出、溶液が青く染まる。錠剤を口の中で溶かしたり濡れた手で扱ったりすると舌や手が青くなるが、青色1号は食品添加物であるため害はない。湿気の多い場所では錠剤に青い斑点があらわれることがあるので、高温多湿を避け保管すること。
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