フロッピーとは、フロッピィとも表記されるフロッピーディスク / FD(floppy disk)の事である。現在も現役で生産・流通・販売をしている電子データ磁気記録メディアである。
ディスケット(フレキシブル・ディスケット)とも呼ばれる(IBMの登録商標)。
概要
1970年にIBMが開発した8インチのFDが最初の実用化されたFDである。その後5.25インチと小型化され(ミニフロッピーディスクと呼ばれる)、1981年に3.5インチサイズのディスク(マイクロフロッピーディスク)をSonyが実用化、発売開始をした。黒いフロッピーディスクが主流だが、流通後期のものはカラフルな色のものもある。
Sonyは2010年4月23日、2011年3月をもってメディアの国内販売を中止する事を発表した。日立マクセル、三菱化学メディア等の国内ブランドメーカーが撤退した後も、中国企業に製造委託する事で国内販売を継続していたが、遂にそれも終わる事になった。
ドクター中松こと中松義郎が発明したと主張した事が知られているが、特許抗争を防ぐ為にIBMが中松義郎から抵触する部分の特許技術を購入したのであり、開発者・発明者とは言えない。
フロッピーディスクはFDと略されるのでフロッピーディスクドライブの略称はFDDとなる。FDDは一緒にDSP(Delivery Service Partner)版WindowsがPC自作ユーザー向けに販売される商品の一つとなるで商品寿命を伸ばした。DSP Windows版とは、FDD等のPC部品にバンドル(同梱)をする事で、売価を正規ライセンス版より廉価にした、利用上のライセンス制限を伴うWindowsのことである(現代においてはFDDのみならず、USB拡張カードなど任意の周辺機器にバンドルする形が主流になっている)。
FDDもまた国内メーカーではSonyが最後まで製造を続けていたが、2009年9月に生産を終了、2009年内に国内販売も終了している。
1982年にCDが生産され、DVDが1996年に商用化されると、容量が通常の2HDで1.44MB、100KB画像14枚分と、650MBの容量を確保出来るCDの約220分の1に過ぎないため、FDの役目は光学記録メディアにその座を譲る事になった。ソフトウェアを収録したFDの枚数がどんどん増えることになり、枚数の少なくて済む光学メディアに比べ、相対的に取り扱いが面倒になり、矢張り配布メディアとしても活躍の場所は減った。読み込みも保存速度も遅く、CDやDVDに大きく劣るため、現在ではFDDを標準装備したPCは大手メーカー製品から消えている。
一方で1990年代においては、さらなる大容量フロッピーディスクの開発が行われている。
イメーションと松下寿電子(現:パナソニックヘルスケア)は、120MB、240MBの大容量で、ドライブに3.5インチFDとの後方互換性を持たせた「スーパーディスク」を開発した。240MB対応ドライブでは、従来のFDでも32MBで記録できる特殊フォーマットを可能にしていた。
iomega社は従来のフロッピーディスクの互換性を行わない独自構造による「zip」を開発した。容量は100MB、250MB、750MBの3種類。
どちらもFDよりも大容量で、MOに比べても高速な読み書きを実現し、CD-R、CD-RWのようにライティングソフトを使わなくても読み書きが可能だったため、中級者以上のユーザーに人気があった。
しかしSDメモリーカードやUSBメモリーが1GB以上の大容量を実現すると、静かに表舞台から消えていった。
現在はCDやDVDやBD等の光学記録メディアと共にUSBメモリやSDカード、メモリースティック等のシリコンメモリストレージがFDの後継者の役目を果たしている。一方でソフトウェアにおける「データ保存」のアイコンには今もなお3.5インチFDがデザインされていることが多い。
ワープロからパソコンに主流が変わった現代において、他のメディアに取って代わられたFDだが、70年代から90年代までのコンピュータメディアを支えてきた一時代を築いた記録メディアである。
主なディスク、ドライブ規格
- 1(1S):片面単密度
- 2(2S):両面単密度 - ひっくり返す必要はなく、裏面記録できるようヘッドが作られている。
- 1D:片面倍密度
- 2D:両面倍密度
- 1DD:片面倍密度倍トラック
- 2DD:両面倍密度倍トラック
- 2HD:両面高密度倍トラック
- 2ED:両面超高密度倍トラック - MS-DOS 5.0でサポート。2代目NeXT Cubeで採用。
- 2TD:両面3倍密度3倍トラック - NEC製 PC-88VA3で採用
フォーマットの違い
3.5インチFDにおいては、国民機として日本で普及したNEC製 PC-9801シリーズと、世界的に普及したIBM-PC/AT互換機とではフォーマットが異なっている。
2DDではPC-9801は640KB、AT互換機は720KBとなっている。2HDでも前者は1.23MB(表記上は1.25MB)、後者は1.44MBである。
そのために、AT互換機にPC-9801でフォーマットされたFDを入れても読み込めない事態が発生した。
そこで、FDドライブおよびデバイスドライバーにて、PC-9801用の2HDフォーマットにも対応した「3モードFDD」が開発され、日本向けのパソコンを中心に搭載されていた。2013年現在でも、USB接続による外付けドライブとして入手可能である。
関連動画
左:麻生太郎氏曰く、2005年までに、中央官庁から地方自治体までの全ての書類をフロッピー一枚で持ち運ぶことが可能に。その陰には、日本の情報技術の粋を集めた超高圧縮技術が用いられていることに想像は難くない。
右:記録メディアとドライブは時に音楽を奏でる楽器となる。
関連項目
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