フンボルトペンギンとは、鳥類・ペンギン目・フンボルトペンギン属に分類される動物である。名前はアレクサンダー・フォン・フンボルトという地理学者に由来している。
概要
南アメリカ大陸の太平洋沿岸地帯に生息する中型サイズのペンギン。体長55~70㎝・体重3.5~6㎏。その地域はペルー海流(別名フンボルト海流)というプランクトンが豊富な寒流が流れており、そのおかげで餌となる豊富な魚などに恵まれている。
フンボルトペンギン属には本種以外にケープペンギン・マゼランペンギン・ガラパゴスペンギンが属している。どれも同じような見た目だが、白黒模様の差異や露出したピンク色の皮膚の範囲で判別可能。マゼランペンギンとは生息範囲が重なっており、両種の交雑も確認されている(繁殖率は限りなく低いという)。
ペンギンというと寒い場所に暮らすイメージだが、フンボルトペンギンの生息域は暖かく乾燥した地域で、海流と日差しの影響で沿岸部は半ば砂漠化してたり岩とサボテン林立する光景が広がっている。そんな場所で暮らしているため、ペンギンのイメージとは違い寒さに弱い。かといって寒い海水に潜るペンギンの体の構造上暑さに強いワケでもない。
地上ではヨチヨチ歩きで遅いが、水中では高速で遊泳可能。目には通常のまぶたの他に第2の透明なまぶたを備える。ゴーグルのような効果を持つソレのおかげで遊泳中も目を開けて泳げられる。白黒模様の体毛は水中では日光に溶け込み、海面では夜に紛れ込む保護色となる。雄大な海原を泳ぎ回る本種だが、淡水でも問題なく生息出来たりする。水深150mまで潜水可能。
エサは魚・イカ・エビ・オキアミを食べる。南米太平洋岸の特産品であるイワシはフンボルトペンギンの大切な主食。摂食時にエサを海水毎飲み込んで塩分だけ血管から体外に排出するという仕組みを持つため、水分は取らない。
フンボルトペンギンは人間と同じく一年中いつでも繁殖可能。夫婦は海岸近くの岩穴・割れ目・藪・砂中に掘った穴を巣とし、絶えず巣の補修を行う。外敵や厳しい熱・日差しから逃れるため、もっぱら地中など外から隠れるように巣を設けるが、たまに地表に露出する形で巣を作るケースも。出産シーズンは4~5月と9~10月で、一回の出産で2個の卵を産み、両方とも育てる。卵は夫婦交代で温め、40日くらいで孵る。孵った後は雛の旺盛な食欲を満たすべく両親総出でエサ取りを行い、その間雛は巣でじっと身を隠す。
フンボルトペンギンにとって陸も海も天敵で溢れかえっている。海ではシャチ・サメ・アシカに絶えず狙われるほか、陸上ではキツネなどのイヌ科動物や野良ネコ・猛禽類などの鳥が目を光らせる。また、卵や雛を狙う動物はとても多い。
日本でのフンボルトペンギン
この世に生息しているフンボルトペンギンは1万羽ほどと見られている。1990年代にエルニーニョなどの異常気象により生息数が激減し、今現在も環境破壊・エサの減少などで野生個体の生存は危機に見舞われている。ワシントン条約に記載(付属書Ⅰ)され、現在世界中の動物園・水族館で繁殖活動が繰り広げられているが、繁殖はあまり上手くいってない。
一方で日本国内の水族館・動物園において最も多く飼育されているペンギンである。日本に初めてやって来たペンギン(1915年)が本種。日本の気候はフンボルトペンギンにとって最適な環境だったようで、長きにわたって培われた飼育技術と相まって繁殖に成功。どんどん増えていき、今では全生息数の1割が日本で飼育されているとさえ言われている。
あまりにも増えすぎているため、卵をそっくりな形をした石にすり替えている有様である。
日本での飼育数は1600羽ほど、我々日本人にとって最も見慣れたペンギンだと言えるだろう。
その他
着ぐるみ人形劇『にこにこぷん』に登場するキャラクター・ぴっころのモデル動物が本種。最近では『けものフレンズ』のアイドルフレンズの1人としてフンボルトペンギン(けものフレンズ)が有名だろうか。
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関連項目
以下、フンボルトペンギンを飼育中(2017年現在)の動物園/水族館のうちニコニコ大百科に記事があるもの
- 仙台市八木山動物公園
- 仙台うみの杜水族館
- 東武動物公園
- よこはま動物園ズーラシア
- 青森県営浅虫水族館
- アクアワールド大洗
- 日立市かみね動物園
- 伊豆・三津シーパラダイス
- 鳥羽水族館
- 長崎ペンギン水族館
- あわしまマリンパーク
- 千葉市動物公園
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