ブラインドサッカーとは、フットサルをベースにした視覚障害者向けスポーツである。フィールドプレイヤーがアイマスクをして視覚情報を一切遮断した中、フィールドを全速力で駆け回り、パスをつなぎ、シュートを撃つさまはまさに超人のそれである。
概要
ブラインドサッカー(ブラサカ・5人制サッカー/Football 5-a-side)とは、ゴールキーパー以外が全盲(B1クラス)の選手で、なおかつアイマスクを装着して、音が出るボールを使ってプレイする競技。
キーパーには晴眼者[1]または弱視[2]の選手がアイマスク無しで参加し、フィールドプレイヤー四名は全盲または光覚(光を感じられる)の選手がアイマスクを装着して参加する。フィールドプレイヤーはそもそも見えないうえにアイマスクを付けるという完全に視覚を使わない状態で、ボールがしゃらしゃら鳴る音とプレイヤー同士の声掛けを頼りにゴールを目指すことになる。
歴史
1980年代のはじめに考案され、ヨーロッパと南米を中心にプレイされるようになる。日本でも盲学校で独自にルールを考案してプレイされていたが、2001年9月に当時アジアで唯一ブラインドサッカーを導入していた韓国に視察団が向かい、日本でもこのスポーツを広めていこうと、国際ルールが採用されて普及が始まる。同年11月11日に現在のJBFA(日本視覚障がい者サッカー協会)の前身となる「音で蹴るもう一つのワールドカップ実行委員会」が発足。
2002年5月の日韓戦、同年8月~9月の日本・韓国・ベトナムが参加したアジアフレンドリーシップカップを開催。同年10月、JBFA(日本視覚障がい者サッカー協会)が発足。
その後急速に全国へと普及し、毎年日本選手権試合が開催される。2010年にはJBFA(日本視覚障がい者サッカー協会)は「日本ブラインドサッカー協会」に改称。
2013年からは日本選手権を「日本視覚障がい者サッカー選手権」から「アクサ ブレイブカップ ブラインドサッカー日本選手権」に改称。
2021年現在、北日本・東日本・中日本・西日本の四つの地域リーグが開催され、8月~12月に全国で試合が行われている。各リーグ上位チームは毎春の「KPMGカップ ブラインドサッカークラブチーム選手権」に出場。クラブチーム日本一の座をかけて戦う。
ルールと試合
40mx20mのピッチ[3]で行われ、長辺にあたるラインにはサイドフェンスと呼ばれる1mほどの高さの壁が設置される。ゴールエリアは縦2m、幅5.82m。ゴールのサイズは高さ2.14m、幅3.66m。
プレイヤーは選手5人(フィールドプレイヤー4人・ゴールキーパー1人)、スタッフ2人(監督1人、ガイド1人)。監督はフィールドへの指示を、ガイドはゴールの裏に立ってゴールの位置を指示する。
目の上にアイマスクを装着することが義務付けられる[4]。国際大会では専門家医による視力検査があり、視覚障害がB1クラスと判断された人しか出場できないが、国内ルールではフィールドプレイヤーが全員アイマスクを装着することで、目の見える「晴眼者」も弱視の人も、もちろんB1の人と一緒に競技参加できることになっている。
ボールには内部にベアリングを入れた鈴のような金属プレートが取り付けられ、転がすと「シャカシャカ」「しゃらしゃら」と音が鳴る。
また、ボールを奪いに行く際には選手の位置を知らせ、危険な衝突を避けるため、必ず「ボイ!」と声を出さなければならない。この掛け声なしにボールを奪おうとするとファウルとなる。「ボイ!(Voy!)」とはスペイン語で「行くぞ!」といった意味。
監督とガイドは晴眼者が担当する。ガイドは敵陣ゴール裏に立ち、彼我プレイヤーの位置やゴールまでの距離、シュートのタイミング等を声で伝える。また、監督はサイドフェンスの外に立ち、ピッチの中央を選手に知らせるとともに、全体を俯瞰して指示を出す。
ペナルティーエリア内でのファウルでは相手チームにペナルティーキックが与えられ、ゴールから6メートルの位置からボールを蹴る。また、第二ペナルティーキックというルールがあり、チームの累積ファウル数が6を超えた場合に相手チームに与えられ、ゴールから8メートルの位置からボールを蹴る。
関連動画
関連商品
関連リンク
- 日本ブラインドサッカー協会
(音が出ます)
関連項目
脚注
- *目が見える人
- *矯正視力で0.03以下または視野角5度まで
- *フットサルと同じ
- *フィールドプレイヤーは専門医によって視覚の障害がB1クラスと判定された選手が担当するが、視覚障害B1クラスにはさらに細かく「明るさがわかり、物の有無や影がわかる『光覚弁』」「目の前で手を振ったときにその動きがわかる『手動弁』」「視力が全くなく明暗も区別できない『全盲』」の三種類の分類があり、その差をなくすため。
- 2
- 0pt