ブラストビートとは、主にデスメタルやグラインドコアで使われるドラムのビートである。単にブラストとも。
概要
シンバル、スネア、バスドラを組み合わせ、ひたすら尋常ではない速さで叩く、まるで人間の限界に挑んでいるかのようなビートである。その速さに定義は無いが、個人的に言えばだいたいbpm180あたりから330超くらいまでではないかと思われる。
細かい起源は不明だが60年代のジャズにも(僅かながら)確認できることから、ブラストビート(以下ブラスト)に似ている(準ずる)ものは相当昔から存在すると思われる。また、スレイヤー等、メタルの初期を支えてきたバンドのドラマーも早い段階からブラストを取り入れ、激しい曲展開に役立てていた。
しかし、近年のブラストはその頃のそれとは比べ物にならない程、正確で速いものに進化し、より攻撃的である。その現代式ブラストの立役者はなんと言ってもイギリスでグラインドコアの基盤を作ったナパーム・デスであろう。彼らの生み出すものが「雑音」ではなく「音楽」と認められた瞬間と共に、古くからのブラストは今日で言うブラストに生まれ変わったのだ。
以後、ナパーム・デスから始まったグラインドコアではもちろん、音楽的によく似たデスメタルにもよく使われ、ブラックメタル(特に、ファスト・ブラック)においても多数のバンドが己の個性としてブラストビートを使用してきた。攻撃的で曲を激しくする効果が望めるが、難点もあり、ポップや一般的なロック等には殆どみられないため、聞きなれてない人には騒音、もしくは不自然にしか聞こえない場合がある。更には、他パートの音をかき消し、音質が劣悪だとドラムしか聞き取れない事さえある。しかしそれが魅力だというファンも多い。
- 種類
演奏者によって様々なブラストが存在するが、ここでは大別したものを解説していく。
ハンマーブラスト
一番よく使われており、スネア、シンバル、バスドラをすべて同時に叩く。ブラストの中では一発一発の重さに秀でており、サスティン(特にシンバル)が短ければまとまりがあり、他のパートの邪魔にならない。右手左手同時に叩くため、交互に叩くことに慣れている一般のドラマーにとっては意外と叩きづらかったりする。また、プロでもバスドラの8分を片足で踏まず、左右の足に振り分け交互に踏むことで利き足の負担を軽減し、音量を確保する方法をとる人が多いが、両手とズレやすく正確に演奏するのは逆に難しい。
トラディショナルブラスト
その名の通り、昔からあるらしい由緒正しきブラスト。ハンマーブラストとの違いは、右手と左手を交互に叩き、8分ではなく、16分のノリとなる所である。大抵8分表にシンバル+バスドラ、裏にスネアがくるため、ハンマーブラストより音がばらけ、騒々しくなる(同時ではないので一発一発の音は小さいが)。よって、ハンマーブラストよりも騒々しくしたいとき、またはハンマーブラストとの対比で使われることが多い。
ボンブブラスト
ハンマーブラストのバスドラを2倍に、つまり16分にしたもの。ハンマー・トラディショナルブラストの更に上を行く激しさを持つ。 もちろん難易度も高く、下半身も上半身と同じ量の動きをするため、ツーバスの高速連打も磨かねばならない。相当激しいが、次のグラヴィティブラストよりはまだかわいげ人間味がある。
グラヴィティブラスト
ジョニー・ラブが開発してしまった「フリーハンドテクニック」と呼ばれる奏法(スネアの枠であるリムを利用し、テコ、もしくはヤジロベエのように叩く奏法)を駆使し、片手で16分の音数をたたき出すボンブブラストの進化版。つまりシンバルのみ8分(もしくは4分)で、バスドラとスネアが同時に16分で鳴る。現時点で最強にうるさいブラストである。もちろんボンブブラストよりも難しいが、最早音粒が潰れることさえあるので、一発一発の重さは感じられない。なんでもグラヴィティイならいいって訳ではない。ちなみに実は、コントロールの難しさは無視し体力消耗の点でのみ言えば、上記3種類のブラストよりも(スネアを叩く手のみ)やり易い。
ニコニコで有名なブラスト系ドラマー
MarcoPitruzzella……Brain Drillのドラマー。グラヴィティブラストの名手というか使いすぎ。見た目は普通の優しそうなおっさん。エレドラ使いだが、アコースティックドラムが下手な訳じゃない。PeteSandoval……バスドラ2発→スネア1発のブラストを開発したMorbid Angelのドラマー。ブーツでバスドラを蹴る変態。
GeorgeKollias……エジプト風デスメタルバンドNileのドラマー。足はbpm290までの速さで踏めることが確認されている。比較的トラディショナルブラストが好きなようであり、グラヴィティブラストが出来ることは確認できるが、実際の曲では殆ど使わない。また、ハンマー、トラディショナルブラストは片足で踏み通す。
FloMounier……もともとはジャズの先生だったが、現在何の間違いかCryptopsyのドラマーである。ジャズドラマーだったこともあり、速さというよりは人間味の溢れる(とはいってもかなり凶悪な)テクニカルでアイディア豊富なプレイをする。
Trym……ブラックメタルバンドEmperorのドラマー。ブラックメタル界でもトップクラスの実力を持つ内の一人で、その存在感は圧倒的。あとイケメン。
Jonhlongstreth……Originのドラマー。ボンブブラストを延々何分も続ける人間無限動力炉。体力の消耗を抑えるためにバスドラをダブルで踏むとかよく分からないことをしている。
Hellhammer……ブラックメタルバンドmayhemのドラマー。ブラックメタルバンドなのに犯罪に一切興味を持たないピュアな方。前述のTrymと並び有名なドラマーで、凶悪なブラストはもちろんジャズも叩けちゃう。
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関連項目
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