ブラックタイドとは、2001年生まれのJRA(日本中央競馬会)所属の競走馬である。牡・黒鹿毛。
主な勝ち鞍
2004年:スプリングステークス(GⅡ)
概要
血統評価・デビュー前
父・サンデーサイレンス
母・ウインドインハーヘア(母父・Alzao)
父は言わずと知れた大種牡馬、母は独G1勝ち馬で英オークス2着。半姉(父Seeking The Gold)には5歳夏から3ヶ月半の現役生活でその能力の片鱗を見せたレディブロンドがおり、近親には英二冠馬ナシュワンを筆頭に活躍馬が多くいる屈指の良血馬であった。
2001年の当歳馬セレクトセールにて、当時ブラックホークやクロフネがGⅠを勝ち頭角を現していた金子真人氏によって9700万円(税別)で落札された。
競走馬として
栗東の名門池江泰郎厩舎に入厩したブラックタイドは、2003年12月、阪神競馬場での新馬戦芝2000mにて武豊を背にデビュー。後のサマー2000シリーズ初代王者スウィフトカレントを相手に3馬身差をつけて快勝した。
その後はラジオたんぱ杯2歳S(現・ホープフルステークス)に出走。1戦1勝馬ながら単勝1.4倍と圧倒的な支持を受けたが、結果はコスモバルクの4着。
年が明けて2004年、緒戦の若駒Sを制覇。続くきさらぎ賞では1.5倍の1番人気に支持され、レースでは後続のハーツクライには3馬身半差をつけたものの、最後にマイネルブルックにクビ差かわされ2着。この頃は人気にはなるが勝ちきれない馬であった。
そして、皐月賞出走権を賭けたスプリングS。このレースでは今まで騎乗した武豊がリンカーンに騎乗するため、横山典弘に乗り替わりとなる。すると、今まで先団から中団につけていた同馬が最後方からのレースを見せる。これが功を奏し直線で他馬を一気に抜き去り、重賞初制覇を飾った。
迎えた皐月賞。だがスタートで出負けし、前走で3着に下していたダイワメジャーの16着に大敗。敗因は前述の出負けに加え、中山競馬場のコース形態や当時の芝の状態(かなりの高速馬場だった)の影響による先行馬有利という背景もあった。同レースに出走し、後にGⅠを制覇するハーツクライやスズカマンボも、同じく後方待機故に14着、17着と敗れている。
さらに皐月賞後には左前浅屈腱炎を発症してクラシック戦線から離脱。2006年に復帰して以降は2007年中山金杯3着など幾度か馬券圏内まで来たものの勝利をあげる事は出来ず、2008年の目黒記念8着を最後に競走馬登録を抹消した。通算成績は22戦3勝。
種牡馬として
GⅠ勝利や古馬重賞勝利の実績がなかったブラックタイドだが、彼には血統面で特筆事項が存在した。父サンデーサイレンス・母ウインドインハーヘア。彼が屈腱炎で休養中にデビューし、彼と同じ池江厩舎にて武豊を背に無敗で三冠馬となった名馬・ディープインパクトの全兄になっていたのである。全弟の代替種牡馬としての需要が見込まれたブラックタイドは、ブリーダーズ・スタリオン・ステーションにて種牡馬入りした。
2012年に産駒がデビュー。初年度産駒からデイリー杯2歳ステークスを制したテイエムイナズマを出すなどまずまず順調な滑り出しを見せ、その後も海外遠征したりしたマイネルフロストを出すなど毎年1頭は重賞級の産駒を輩出。
3年目の産駒になる2012年生まれからはコメート、キタサンブラック、タガノエスプレッソと3頭もダービー出走馬を出した。これはキングカメハメハ(ドゥラメンテ、ミュゼスルタン、レーヴミストラル)・ディープインパクト(サトノラーゼン、リアルスティール、ポルトドートウィユ)の双璧に並ぶ数であった。
さらに、秋にはキタサンブラックが菊花賞を制覇。ついに自身が届かなかったクラシックの大舞台で輝く産駒が現れたのであった。さらにキタサンブラックはGIを計7勝挙げ、後に顕彰馬になるなど大活躍。
この活躍で種付け料はだいぶ上がったが、それでもなお弟の1/10であったため代用として重宝され続けた。2019年にはその弟・ディープインパクトが死亡、加えて息子キタサンブラックも初年度産駒からいきなりGⅠ馬を輩出、2023年度の種付け料が倍額の1000万になり、自身も久々に重賞馬(フェーングロッテン)を送り出し躍進。2025年には孫イクイノックスの初年度産駒が産まれ曾祖父になる中、キタサンブラック以来2頭目のGⅠ馬としてオークス馬カムニャックを輩出。今後も一族で競馬界を盛り上げていくことだろう。
2022年には産駒JRA通算400勝を達成し、2025年12月8日時点で通算482勝を数えているブラックタイド。2023年にはprivate種牡馬となり、2026年には満25歳になるという高齢であるが、現状だとグラスワンダー[1]やオペラハウス[2]に匹敵する産駒成績となっており、代替種牡馬としては十分どころか、GⅠを勝ち正規ルートで種牡馬入りした馬に遜色のない成績を収めている。
大ブレイクしたスクリーンヒーロー、地方リーディングサイアーを何度も獲得したサウスヴィグラス、モーニンやアジアエクスプレス効果で人気のヘニーヒューズらと共に2010年代の日高の馬産を牽引してきた名種牡馬と言って良い。
なお、2023年度を以て同期のダイワメジャーや後輩のマツリダゴッホが、2024年度を以て4歳年上のアッミラーレ[3]が種牡馬を引退したことにより、日本に繋養されているサンデーサイレンス直仔では最後の現役種牡馬となった[4]。この先あと何年種牡馬を続けられるのだろうか。
余談
- 半姉のレディブロンドはこの馬がデビューする数ヶ月前の5歳夏の札幌でデビューして、そこから4戦戦って全勝という超過密スケジュールながらスプリンターズS4着(しかも僅差)に入り引退。わずか2ヶ月ほどの競走生活でその能力の天井も底も見えないまま現役を終えたが、その弟はもっと凄いぞと話題になっていた。
- 全弟のディープインパクトは、兄と比べ馬格があまり良くなく、若駒Sを勝った時には「兄と比較するのはかわいそう」と言われ評価が低い時期もあった[5]。しかしその後のディープインパクトの活躍はご存じのとおりである。
- 「ブラックタイド」という馬名を日本語に直訳すると「黒い潮」、つまり黒潮となる。一説には、金子真人オーナーがブラックタイドの生まれた2001年に活躍していた自身の所有馬「クロフネ」をドリーム競馬で大坪元雄氏が「クロシオ」と言い間違った事を面白がり、「クロシオ」を英訳して名付けたとも言われている[6]。
血統表
| *サンデーサイレンス 1986 青鹿毛 |
Halo 1969 黒鹿毛 |
Hail to Reason | Turn-to |
| Nothirdchance | |||
| Cosmah | Cosmic Bomb | ||
| Almahmoud | |||
| Wishing Well 1975 鹿毛 |
Understanding | Promised Land | |
| Pretty ways | |||
| Mountain Flower | Montparnasse | ||
| Edelweiss | |||
| *ウインドインハーヘア 1991 鹿毛 FNo.2-f |
Alzao 1980 鹿毛 |
Lyphard | Northern Dancer |
| Goofed | |||
| Lady Rebecca | Sir Ivor | ||
| Pocahontas | |||
| Burghclere 1977 鹿毛 |
Busted | Crepello | |
| Sans le Sou | |||
| Highclere | Queen's Hussar | ||
| Highlight |
主な産駒
- テイエムイナズマ (2010年産 牡 母 *クラスター 母父 Danzig)
- マイネルフロスト (2011年産 牡 母 スリースノーグラス 母父 *グラスワンダー)
- キタサンブラック (2012年産 牡 母 シュガーハート 母父 サクラバクシンオー)
- タガノエスプレッソ (2012年産 牡 母 タガノレヴェントン 母父 キングカメハメハ)
- ライジングリーズン (2014年産 牝 母 ジョウノファミリー 母父 キングカメハメハ)
- シホノスペランツァ (2019年産 牡 母 メジロスプレンダー 母父 *シンボリクリスエス)
- フェーングロッテン (2019年産 牡 母 ピクシーホロウ 母父 キングヘイロー)
- カムニャック (2022年産 牝 母 ダンスアミーガ 母父 サクラバクシンオー)
関連動画
関連項目
脚注
- *2025年12月8日時点で通算471勝
- *通算477勝
- *ハッピースプリントの父
- *海外ではインドで活躍馬を多く送り出しているウインレジェンドや日本で産まれてフランス・アメリカで走ったSilent Nameが現役で供用されている事例がある。
- *武豊も、新馬戦勝利時
や若駒S勝利時
の日記ではディープインパクトが「ブラックタイドの(全)弟」であることをアピールしている。 - *この説の初出は、2013年10月25日配信「JRA-VAN feat. 須田と広橋 マニアックすぎて伝わらないケイバ選手権II」の中で当時のドリーム競馬MCであった宮川一朗太氏が発言したものと思われる。ただしこの番組でも「そう聞きましたよ」という言及に留まっており、あくまで「一説」の域は出ない。
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