ブラッドスポーツ単語

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ブラッドスポーツ
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ブラッドスポーツ(Blood sport)とは、以下の意味である。

曖昧さ回避

  1. 暴力を伴うスポーツ。「流血を伴う」という意味だがそうでなくても呼ぶことがある。
    1. 動物同士、または人間動物で戦わせるスポーツ批判的に言う
    2. (希な用法)人間同士が戦うスポーツ
      1. ブラッドスポーツ(映画) - 1988年アメリカ映画ジャン=クロード・ヴァン・ダム演。
  2. (和製英語)血統がものをいうスポーツ。多くの場合競馬のこと。

なお、人が体を動かさないのに(または残酷な殺し合いなのに)スポーツと呼ぶ理由についてはスポーツの記事を参照のこと。

1.の用法

(同士を戦わせる方)や闘・闘クワガタ相撲など、動物同士を戦わせるスポーツのこと。

狩り(スポーツハンティング)やスペイン(人とが戦う方)、鎌倉時代の「追物」など、人対動物スポーツも「ブラッドスポーツ」と見なされる。

bloodは「流血を伴う」という意味であるが、上記の通り血が流れなくとも、暴力戦闘を伴うものを含む。

この意味での「ブラッドスポーツ」は、現在動物虐待として世界的に非難を浴びており、伝統的なものであっても禁止ないし自粛される傾向にある。YouTubeでは、「人間動物同士の戦いをけしかけたり、強制したりするコンテンツ」をポリシーで禁止している。

競馬など、戦闘ではない方法で競うものも「blood sport」とされることがあり、動物愛護団体などが批判する文脈でそう表現することもある。一方、下記のように英語圏の競馬関係者が自覚的に使う場合もある。

日本語では2.の用法で「ブラッドスポーツ」というが、本来の意味とは全く異なる。英語での会話で「horse racing is a blood sport.」と言ったら競馬なんて動物虐待だ!」ぐらいの意味になってしまうことがあり、注意が必要である。

実際に、英語の記事では、競走馬のケガに関する記事において以下のように使われている。

On the very first day of my being in the stable area of a race track, I was warned by a senior trainer of two pitfallthat new horsemen could fall into: First of all, these horses are athletes, not pets. Do not get attached to themSecondly, horse racing is a blood sport. Always has been; always will be. 

Every year, horses get hurt, horses get killed. Every year, people get hurt, people can get killed. If you can't accept those realities, tear up your license now and walk away.

...

For the people who continue to protest racing, I well understand your beliefs and can sympathize with your position. But until you have known and taken care of a race horse for a week or a month or whatever, and watched in horror should that horse go down on the race track, never to stand again, try not to judge too harshly those of us who haveRacing is a blood sport. Horsemen would be the first to wish that it wasn't.


私が競馬場の厩舎エリアに所属したまさに第1日から、先輩調教師に、新人のホースマンが陥りうる落とし穴について2点注意された。第一に、達はアスリートであってペットではない。彼らとなれ合ってはならない。第二に、競馬blood sportである。今までもそうだったし、これからもずっとそうだ。

毎年、は傷つき、命を失う。毎年、人もケガをするし、死ぬこともある。これらの現実を受け入れられないのなら、今すぐライセンスを破り捨てて出て行け。

(中略)

競馬に反対し続ける人の信念もよく分かるし、その姿勢に共感もする。しかし1週間でも1ヶでもいいから、あなたが競走馬についてよく知って、世話もして、競走馬競馬場で二度と立ち上がれないようなケガをしたらと恐怖ながら見守るまでは、私たちの中でそれを経験してきた人たちを無慈悲だと判断しようとしないでほしい。競馬blood sportである。ホースマンっ先に、そうでなければいいのにと思っているのだ。

――'Nothing causes more grief than watching a horse go down on the race track, a trainer says'exit "courier journal" by M.L. Smith

(強調・日本語引用者)

この「blood sport」は、見ての通り「生き物をケガさせたり死なせたりするようなスポーツ」という意味で(自を込めて)使われている。決してポジティブな意味では使われないため、日本の意味で「blood sports」などと言ったら関係者に睨まれることになる。

2.の用法

血統が勝敗を大きく左右するスポーツのこと。繰り返すが和製英語である。

血統が重視されるのはアニマルスポーツであり、その中で血統の記録が残り、日本人にとってメジャースポーツ競馬ぐらいなので、基本的には競馬のいち側面をす言葉である。

競馬では、レースに有利な体のつくりや心、体の頑丈さなどは遺伝の要因が大きく、それにトレーニングという環境が合わさってそのの得意分野が決まる。これは人間と同じである(環境閾値説)。

競走馬すための最低限の環境は横並びであるため、サラブレッド人間よりも相対的に遺伝によるが大きく出る。「そんなわけないだろ、馬主や厩舎によって違うわい」と思うかも知れないが、少なくとも子競走馬すのに野球だったので厩舎にバットグローブしかない、というようなことはない。どこにいようと競走馬調教コースは用意されている。

ただし、あるコースの得意/不得意は複数の遺伝子や形質が総合されて決まるもので、が得意だったレース子どもが勝てるとは限らないし、全く関係ないところで才を発揮することもある。それが競馬の「ブラッドスポーツ」としての面さである。血統に反して短距離専用機だったサクラバクシンオーと、その孫なのに中長距離を得意としたキタサンブラックがその典例だろう。

また、人間より少ないというだけでトレーニングのやり方という環境も重要である。ミホノブルボンしいトレーニングによりスタミナをつけ、血統的に短距離向きとされていたにもかかわらず二冠+菊花賞2着という結果を出したことが典例である。

そんなわけで、遺伝によるが大きいとは言っても、「がこうだったから子もこうであるはずだ」と単純に片付けられる問題ではない。

ブラッドスポーツ?

冗談じゃねえ 血でが決まるなら走ることねえだろ

継ぐべきは王者の血ではない 王者のだ!

――『たいようのマキバオーW』より アマゾンスピリット台詞

これとは別に、子2代で同じレースを制する、またはが勝てなかったレースを子が制するというドラマロマンを感じる競馬ファンも多い。また、産駒成績がいまいちだった繁殖が孫や曾孫の世代で活躍する場合もあり、血統表過去の名を久しぶりに見てそれを感じるファンもいる。

こうなると、遺伝という科学的要素を越えて、子孫へ代々受け継がれるということそのものが一種のドラマといえる。

この意味での「ブラッドスポーツ」という用法は人間にも使われる。特に、子で同じスポーツを生業とする例が多い競馬騎手では、と同じ勝ち方を子が成した、という場合に使われることがある。
直近の例では、子二代皐月賞菊花賞天皇賞(秋)制覇を成した横山典弘横山武史子が挙げられる。特に、2021年菊花賞で武史がと同じ戦法で逃げ切り勝ちした際によく言われた。
当然ながらと同じ戦法を使えた理由は「の戦法を研究した」「の得意分野と当日のレース展開がちょうどよかった」という環境要因である可性が高く、から「菊花賞逃げ切り勝ち筋」や「菊花賞逃げ切り勝ち細胞」を遺伝したわけではおそらくない。背中を子が追うという浪漫な文脈であって、「ブラッドスポーツというのはあくまで喩である。

上述の通り、英語で「blood sport」と言った場合、この用法はない。

英語でもbloodに「血統」という意味があるが、blood sportという場合上記の通り「流血を伴う」の方の意味に取られる。この意味で用いる場合はpedigreeを使い、「Pedigree is often considered in horse racing.」などと表現した方がいいだろう。また、も強かったが子も強かった、という意味ならそれをそのまま英語で言った方がよい。

現在では出版業界でもこのことが周知され始めており、社によってはこの意味で「ブラッドスポーツ」のは使わないようにしているという。

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1.の用法

2.の用法

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1 ななしのよっしん
2021/11/04(木) 23:37:57 ID: Y1ewPcIkgr
>和製英語
へええ。
何処から広まった用法なんだろう。
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2 ななしのよっしん
2021/11/05(金) 01:55:39 ID: lWx7kX/WyL
かねて血を恐れたまえ
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3 ななしのよっしん
2021/12/05(日) 21:03:41 ID: J4wNB6Ypcb
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4 ななしのよっしん
2023/11/26(日) 16:41:14 ID: hQihTg2e3r
ぼく「キタサンブラックドゥラメンテ産駒バトル…なるほど、これがブラッドスポーツね…(wikipedia検索)…ウェ!??」ってなった 意味が反対じゃないか
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