ブレイブストーリーとは、宮部みゆき著作のファンタジー小説である。
原作では「ブレイブ・ストーリー」、映画や漫画などの派生作品は「ブレイブ ストーリー」(半角スペース区切り)と表記されているが、ニコニコにおいては中黒やスペースなしの「ブレイブストーリー」タグが使用されている。
概要
ストーリー
小学五年生の亘(わたる)は、成績はそこそこで、テレビゲームが好きな男の子。大きな団地に住み、ともに新設校に通う親友のカッちゃんがいる。街では、建設途中のビルに幽霊が出るという噂が広がっていた。そんなある日、帰宅した亘に、父は「この家を出てゆく」という意外な言葉をぶつける。不意に持ち上がった両親の離婚話。これまでの平穏な毎日を取り戻すべく、亘はビルの扉から、広大な異世界──幻界(ビジョン)へと旅立った!
「ブレイブ・ストーリー」上巻説明文より
本作は、主人公の亘(ワタル)が、広大な世界「幻界(ビジョン)」を仲間とともに旅して女神に会うまでを記したファンタジー冒険小説である。後にこの小説を基にしてゲーム版、漫画版、映画が展開された。
なおアニメ映画の方は、2時間程度の枠に収めるため内容が改変されている箇所がある。
登場人物
- 三谷亘(ワタル)
- 城東第一小の小学5年生。父親が突然家を出て行ってからは家庭が崩壊した状態になり、運命の塔の女神に今の境遇を変えてもらおうと、幻界で「見習い勇者」の称号を与えられて幻界を旅する。
- 物事を論理的に捉えようとする父親の影響か、本人も論理的で理屈っぽいところがあり、友人のカッちゃんには大人びていると評されるが、ワタル以上に論理的で冷めた性格をしているミツルにはガキっぽいヤツと評されている。
- 芦川美鶴(ミツル)
- ワタルの学校に転校してきた少年。頭が良く美少年だが、本人はそういった名声には興味がなく常に冷めた顔をしている。
- 自分の過去を変えるためにワタルよりも前から魔法使いとして幻界を旅しており、目的のためには手段を選ばないタイプで、幻界に及ぼす影響や被害は気にせず平気で人を殺す(しかし貸し借りについては筋を通すようで、ワタルの危機には何度か姿を現している)。
- アニメでは特にふれられていないが、まだ大学を出たばかりの若い叔母の元に世話になっており、ミツルが幻界に旅立って行方不明になったときには、その叔母は責任の重圧に耐えかねノイローゼ状態に陥っていた。
- キ・キーマ
- ワタルが旅の途中で出会う水人族(人型のトカゲ)。ダルババという動物を使った運送業を営んでいる。父親や祖父が探し求めてついに叶わなかった"旅人との出会い"を自分の代で果たせたことに感動しワタルにサービスよくしてくれた。後にワタルの仲間として世界を旅する。
- ミーナ
- ワタルが旅の途中で出会うネ族(ネコ型の獣人)の少女。サーカス団に所属していた。後にワタルの仲間として世界を旅する。
- カッツ
- ハイランダーに所属する女戦士。正義を貫き通すハイランダーの職に誇りを持っており、アンカ族だがその他の種族に対しても平等かつ友好的。通称「刺蘭のカッツ」。
世界観・用語
- 幻界(ビジョン)
- 人間の想像力が形作る世界。入ってきた人間の心が世界に投影されるため、入った人間の見知っている相手に似た姿や顔の人物が登場することがある。つまり人によって投影内容が異なるため、幻界は複数あるのかという事になるが、"旅人"の案内人であるラウ導師はこれを否定している。
- 陸地は北の大陸と南の大陸に分かれ、両大陸の間にある海域には島が点在しており、一部の地域にはドラゴンが住まうといわれている。北の大陸はアンカ族が中心となって"帝国"を作っており、南の大陸はアンカ族とそれ以外の種族が国家連合を作っている。両者の間に行われている商業には風を利用した船が使われ、動力を使用したものは存在しない。[1]
- 先述の通り、人間の意思や想像力によって構成されている世界であるため、人種差別問題など、現世が抱えている問題も同様に幻界に反映されている。
- 旅人
- 運命を変えるために現世からやってきた人々のこと。案内人を務めるラウ導師によってテストされ、総合評価に見合った装備と称号を与えられる。装備する武器には世界に隠されている"宝玉"5つをはめる穴がついており、それらを全て揃えることで運命の女神に会えるといわれている。
- 運命の塔の女神を信奉する者たちからは歓迎を受けるが、老神を信仰する者たちからはザザ・アク(神を騙る者)として嫌われている。また、冒険の道のりも時間も果てしなく長いことから、途中で命を落とす旅人や、旅を放棄し幻界で生きることを選ぶ旅人もいる。 [2]
- ワタルの場合は「見習い勇者」の称号と剣一本を与えられ、緑の草原からスタートした。[3]
- アンカ族
- 原作などに登場する要素。幻界では獣人や鳥型のカルラ族、キ・キーマのようなトカゲ型の水人族なども全て「人」扱いだが、アンカ族はいわゆる現世の「人間族」にあたる存在。
- 老神信仰が強い地域ではアンカ族至上主義者が多い。
- 老神信仰
- "運命の女神"よりも古い存在である老神を信仰する宗教。「現在の幻界は、運命の女神が老神からだまし取ったものであり、アンカ族以外の種族は、運命の女神が自分の醜い姿に似せて作った存在である」と伝わっている。元は、北の帝国を支配するアンカ族にあった思想だが、北の大陸から逃げ出した者達が南の大陸に入ってくると共に、南の大陸に住むアンカ族の思想にも影響するようになった。
- この思想に染まった者たちは、自らの優越的地位を主張して他種族への迫害行為を行っており、とくに老神信仰が強い地域では、アンカ族以外の種族は奴隷のような暮らしをしている。しかし、逆にその思想を嫌う、他種族に好意的なアンカ族もいる。
- 高地人(ハイランダー)
- カッツ達が所属する自警団組織。かつて女神に仕えて正義を守っていたファイアドラゴンの子孫とうたわれる者たちが名称の由来となっている。南の連合ができる前から広く地域の治安を守っていた。現在でも大陸の各地にブランチと呼ばれる支部を置き、悪事を取り締まっている。
- ファイアドラゴンの腕輪がハイランダーの証になっており、所属する際に高潔と正義を貫きつづけることを誓う。ハイランダーとしての使命を忘れて怠慢や悪事にはしると、腕輪が持ち主を焼き尽くすと伝わっている。
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関連項目
脚注
- *ある事情によりその状況が変わっていく(詳しくは原作を参照)。
- *嫌われるどころか命を狙われるレベルである。むしろ命を狙われることの方が多い。原作には冒険を放棄した旅人も登場する。くわしくは原作を参照。
- *原作では、旅について知らないうちに幻界に一度迷い込んでおり、ネジオオカミの砂漠に入ってしまったが、カルラ族に救助されている。アニメ映画では幻界に来た経緯が合体して、「ネジオオカミのいる砂漠」に「空から落とされてのスタート」という、悲惨な目にあった。
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