そらをみにいく。
概要
ブレスオブファイアV ドラゴンクォーターとは、カプコンが製作したブレスオブファイアシリーズ5作目となる作品である。2002年11月14日、プレイステーション2用として発売された。2016年2月17日にはゲームアーカイブスにも配信されたが、PS3の販売終了に伴ってか現在は配信を終了している。
「BOFV」と表記するより、サブタイトルであるドラゴンクォーターを主として、「ドラクォ」と略される事の方が多い。海外では外伝タイトル扱いとなっている。
これまでのシリーズとは異なり、薄暗い地下世界が舞台となっているほか、お馴染みであった釣りをはじめとする多くのミニゲーム、サブシステムが廃止され、代わりというわけではないが新機軸のシステムが多数投入されるという大胆な試みが行われた。
物語
はるかな昔、地上は大規模な異変により生物の住めない場所と化してしまった。地下へと追いやられた人類は、大深度地下都市を建設し、汚染された世界を隔絶するため、地上への出入り口を閉じた。それから数世代の時が流れ、あらゆる点で制限された世界に生きる人類には、出生時に「D値」と呼ばれる潜在能力を表す数値が刻まれ、その数値の程度によって住む階層が決められるようになっていた。D値が高ければ高い程、より良い環境の上層に住む事ができる。逆にD値の低い者は空気も汚く環境が劣悪な下層に追いやられる格差社会である。
D値は生まれてから変動することが無く、高いD値を持って生まれた者はそれだけでエリートとなる素質がある。主人公・リュウのD値は1/8192。友人であり同僚のボッシュは1/64。2人は相棒として下層区域のレンジャーとして任務に従事していたが、家柄もD値も高いボッシュは今の仕事など腰掛けに過ぎない素振りを見せる。
そんな2人にある日与えられた任務はバイオ公社の実験用物資を載せたリフトの護衛であった。道中、リュウは廃ディク(人工モンスター)処理施設で磔にされている巨大なドラゴンの死骸を目にし、不思議な声を聞く。ボッシュの呼びかけで正気に戻ったリュウは、順調に任務をこなすが、突如出現した反政府組織トリニティの襲撃に遭い、リフトともども地下深くへと落下してしまうのだった。
最下層区域で意識を取り戻したリュウは、羽の生えた少女を襲うディクを謎の力で撃退する。名前以外の言葉がしゃべれない少女ニーナを連れて下層区へ向かうリュウだったが、さきほど自分たちを襲撃したトリニティの戦士リン=XXと遭遇。リンはこの世界を救うためにニーナが必要だと主張するが、ニーナはリュウから離れようとしない。徘徊するディクの危険性もあり、リュウとリンは下層区を脱出するまで手を組むことを決めた。
一方そのころ、ひとり落下を逃れたボッシュは、レンジャー指揮官のゼノに咎めを受け、運搬していた物資(ニーナ)の確実な処分を命じられていた。
システム
ブレスオブファイアV(以下BOFV)では、従来シリーズとは大きく変わった世界観などから、多数の新規システムが導入された。これは意欲的な試みであったが「物語は過酷でも、基本システムはよくあるRPG」として比較的とっつきやすかったBOFシリーズのイメージを一変させ、プレイの敷居を高めてしまった感は否めない。ただしやりこんだプレイヤー達からは、どれも優れたシステムであると高い評価を受けている。
SOL(シナリオ・オーバー・レイ)
基本的に「クリアしてしまうと終わり」という感のあるRPGを、BOFVでは繰り返し何度でも遊んでもらおうという意識のもと導入されたシステムの柱。ゲームオーバーまたは「ギブアップ」した場合、最初からあるいは最終セーブポイントから再開できるというもので、「最初から」を選んだ場合は経験値や装備品を繰り越して始められるといった特典がある。クリアした場合は、リュウに設定されているD値が上昇し、新たなイベントシーンが発生したり、これまで入れなかったエリアに入れるようになるなどの変化も起こる。
D-カウンター
主人公リュウに途中から追加されるカウンター。一種の生命バロメーターであり、これが100%に達するとゲームオーバーになってしまう。本作の敷居をあげている一端とも言える。下記の能力を使うと上昇するが、平時でも一定距離ごとに微量だが少しずつカウンターが上昇する。逆に減らす方法は基本的にない。
一周目でこれを100%以下に抑えるのは至難の業であることから、「一周目のクリア」はある種の制限プレイとしてヘビーユーザーに好まれる。
例外的に隠しダンジョン「ココン・ホレ」では開始時のみ一旦リセットがかかる(出れば戻る)。
- D-ダッシュ
- 通常よりも速い速度で走り抜け、マップ上にいる雑魚を弾き飛ばしてエンカウントを防ぐことができる。ボスなどの特定の敵は弾き飛ばせない。
- 獲得初期のみ無制限だが、Dカウンターが開示されてからは移動距離に応じてカウンターが上昇する。
- D-ダイブ
- 竜変身。戦闘中は下記の能力が開放され、AP無制限で行動可能になり、殆どの敵の攻撃を受け付けないなど絶対的な力を発揮する。コンボはできなくなるが全体的に高威力で、後述のD-チャージによる重ねがけで無双できるほど。ただし攻撃など行動のたびにDカウンターが上昇し、変身したままターンを終了させた時もカウンターが上昇する。D-ダイブは「クールダウン」で解除できる。
- D-チャージ
- 1ターンだけ攻撃力が上昇する。連続発動や長押しによって重ねがけが可能で攻撃力が爆発的に上昇する。ただし倍率が上がるにつれてDカウンターが上昇する。
- D-ブレス
- 直線無制限でビーム状の攻撃を発動し、範囲内にいる敵全員にダメージを与える。ボタンを押した長さに応じて与えるダメージが決定されるが、長く押せば押すほどDカウンターが上昇し、敵HPが0相当になるダメージになってもボタンを離すまで攻撃が終了しない。「○ボタンをはなすな!」のメッセージに騙されたプレイヤーは数しれず。D-チャージの効果は2段階目以降に発揮する。
APS(アクティブ・ポイント・システム)
戦闘においてキャラクターの行動回数を制限するシステム。敵味方すべてのキャラクターに設定されており、これが無くなると行動終了となる。APを使い切らずに残すとその数値分が次のターンに繰り越され、EXAPとなってより多くの行動が可能。これらを見越したAPの計算が戦術面において大きな重きをなす。
PETS(ポジティブ・エンカウンター&タクティクス・システム)
APSが戦術なら、こちらは戦略的要素。BOFVは「IV」までと違ってシンボルエンカウント方式になっており、そのシンボルと接触する前に、いかにプレイヤーにとって優位な状況を構築するか、が問われるようになった。たとえばフィールドアクションをプレイヤーが敵に当てればこちらが、逆に当てられると敵が1ターン分自由に使う先手を取れる(EXターン)。プレイヤーが確実に先手を取るためには、肉を放り投げて敵の注意をそらす、といった行動が基本となる。ほかには、火炎系攻撃を当てないかぎり誰にも破壊できない爆弾で敵の周囲を囲み、後衛のニーナやリンに危害が及ぶのを防ぐ、といったパターンもある。こういったハメをいかに作るかがBOFVバトルの醍醐味であり、また敷居の高さでもあった。
D値
地下都市に正規登録されている住民すべてに与えられている数値。基本的に2進数の為、値が大きくなるほど開きが大きい。最下層の住人たちは、1/65535 などの値か、表記しきれない数値にあるようだ。リンは反政府組織の人間のためこの数値が存在しない。SOLの解説にあるように、プレイによって上昇すると入れるエリアが広がるが、ストーリー上のイベントが変化するということはない。
以下ネタバレの為反転 :
ちなみにリュウが獲得できるD値の最高値 1/4 の英語表記はクォーター。サブタイトルは「ドラゴンクォーター」、つまり竜の1/4=ドラゴンクォーターの意とのこと。
アブソリュートディフェンス
ストーリー終盤の敵が持っている防御壁。コンボダメージを一定量換算して無効化する。つまり一定の量以上ダメージを与えない限り相手のHPを減らせない(アブソリュートディフェンス100の場合、132のコンボでようやく32のダメージが入る。100以内ならどれだけ攻撃を与えてもダメージ0)。しかも1度破ればいいというものではなく、攻撃のたびにこれを破らないとダメージが通らない。コンボもそうだが、AP管理が重要な要素になる。
TIPS
もしこれからブレスオブファイア5を購入しようとしている、もしくは安かったので買ってきたという方へ初プレイへのアドバイス。
- 最初の町ではうまにく3つと爆弾を買えるだけ買おう。爆弾を置いて戦闘開始し、戦闘中に爆弾を使用すれば範囲内のザコ敵に大ダメージを与えられる。
また、爆弾は直接敵に投げてぶつけることでもダメージを与えられる。ある程度敵をうまにくでまとめたところに爆弾を数発なげ、体力を減らした後にエンカウントしよう。複数体のザコ敵を短いターンで始末できるようになる。 - ゲームをプレイしていると気づきにくいが、敵との戦闘はターンがかかるほどもらえる経験値が減るようになっている。多くの敵を短いターンで倒すと経験値が増えるので、アイテムを活用しながらなるべく多く倒すようにしよう。
- アイテムが足りなくなったら町まで戻って買い足そう。アイテム欄が埋まってきたら売ってしまおう。
- D-カウンターは自然に増えていき、さらに減らす方法もない為にかなり焦ってしまうかもしれないが、全ての敵をD-カウンターを使って倒そうとでもしない限り、終盤まで自然にたまるカウンターは20~30%程度。強力なボスに要所要所で使っていけばそれほどたまらない。
- 非常に面倒に感じるかもしれないが、詰んだと思ったら無理せずスタートメニューからギブアップを選ぶこと。
キャラクター
- リュウ=1/8192(CV:山口勝平)
- ごく標準レベルのD値を持つ少年。下層区の住人で、その辺に湧いた雑魚の掃除をしている。上半身裸なのは最初だけ。D値のせいで生涯最下層で雑用ばかりこなさなければならない自分の人生を半ば諦めてしまっているようなところがある(本家サイトより)。
ニーナと出会い、彼女が地下にいた理由を知った事で、世界の全てを敵に回す覚悟を決めて空を目指す。
武器は「剣」。攻撃力が高く、近距離において真価を発揮する。これまでのシリーズのリュウとは異なり、魔法の類は一切使うことはできない。ストーリーが進むと、体を侵食するが強力無比の戦闘形態に変身する「D-ダイブ」が可能になる。ただしDダイブすると、凄まじい勢いでDカウンターが上昇するというデメリットがある。 - 固有アクションは「D-ダッシュ」(一定ポイントまで進行すると付与)。
- ニーナ(CV:氷上恭子)
- 物語序盤で出会う少女。何かの実験の被検体。名前以外の言葉を発することができない。服も布切れ一枚に拘束具のような腕輪と足輪。靴も履いていない。
物語の途中でいくつも街に寄るのに誰も彼女に靴を履かせようとしない。リュウでさえ。
武器は「杖」。D値が極めて低い最下層の住人だったらしいが、実験の影響で魔法を使いこなせるようになっており範囲、設置、補助とさまざまな魔法で攻撃する。防御力は無いに等しいので、後衛で守ってあげる必要がある。魔法には属性があり、敵の弱点を突けば大ダメージを与えられるが、間違えて有利な属性を撃つと回復されることもある。 - 固有アクションは吸い寄せ。マップ内に落ちている一定範囲内のアイテムを手元に引き寄せることができる。
- リン=XX(CV:渡辺久美子)
- 反政府組織「トリニティ」に所属する女性で、ニーナとは対照的なプロポーションの持ち主。前作でいうアースラのポジション。声優も一緒である。胸や絶対領域の太ももが強調されるスーツを着用。肩も丸出しでエロカワイイ。ニーナを守るという名目のもと、リュウと手を組む。
武器は「銃」。射程は長いが威力がちょっと低め。しかし、攻撃する技名がセリフになっており、組み合わせることによって色々な特殊効果を発揮できる。また特定の虫ディクには異様に強い。 - 固有アクションはチャージショット。戦闘に突入することなく敵との距離を離せる(ノーダメージ)。
- ボッシュ=1/64(CV:伊藤健太郎)
- 地下世界の支配層を狙えるほど高いD値を有するエリートの少年。「II」に登場するボッシュがモチーフで、髪型などにわずかにその面影が残るが、容姿や性格は180度くらい変わっている。フィールドで攻撃を繰り出すと蹴り上げたり、敵に向かって「死んでいいよ」と挑発する。
武器は「レイピア」。獣剣技という父親譲りの奥義を使う。敵を毒にしたり防御力を下げたりと何かと便利。
父親が統治者<メンバー>の一人であるため、凄まじいエリート意識と歪んだスパルタ教育により歪んだ性格と勝利への執念を持つ。 - ゼノ=1/128
- 各階層の治安維持や保守を目的に政府が組織した守備隊の監督官。リュウやボッシュら戦闘能力に特化したレンジャーを指揮する隊長でもある。巨乳で眼鏡をかけているキリリとしたお姉さま。劇中では明かされないが、リュウの剣技の師匠であり、D値を訓練次第で克服できると考えて彼を鍛えたという設定がある。リュウが使用する技「絶命剣」は彼女直伝の技である。
- 統治者<メンバー>
- 非常に高い能力とD値を持つ者たち。この世界のトップとして統治・管理する役割があるため、人類が住む地下の一番高いところ、つまり地上にいちばん近いところにいる。以下ネタバレのため反転。
- デモネド
- 一番最初に戦うことになるメンバー。見た目にも分かる武闘派で、実はかつてメンバーのリーダー格であった。地上を目指して昇ってきたエリュオンと戦い敗北。これによりメンバーとしての役割を負えたはずだが、地上へ上ることをやめて新たな総支配者となったエリュオンの温情によりメンバーに残留した。
- オルテンシア
- 「聖女」の二つ名を持つメンバー最強の魔法使い。目つきがよくないのを気にしているのか、いつも眼を閉じている。
- ジェズイット
- ほぼ全員1桁という高いD値を持つメンバー中、唯一2桁を持つ人物。そのためD値による優劣を信じていない。女性のお尻が大好きで、透明化の特殊能力を利用してリンの尻を触ったりする。オルテンシアとの会話では彼女の胸や下半身しか見ていない。
- ヴェクサシオン
- ボッシュの実父。息子を自分の後継者と見込んで、早く自分を倒せるほど強くなれと願い厳しい修行をつけていたが、度を越した特訓の影響で息子の性格は歪んでしまう。剣の道を究めた武人であり、竜殺しの異名を持つ。彼の部屋に突き立てられた無数の剣は、殺してきたドラゴンと同じ数だという。
- クピト
- エリュオンのエージェントとしてトリニティとの連絡役などを果たしているメンバー。彼のペットのガルガンチュアは無敵のため倒すことができない。
- エリュオン
- 地下世界で最初にドラゴンを身に宿した人物。そのドラゴンはリュウと同様、廃ディク処理施設に磔にされている「アジーン」である。使命にしたがって地上を目指し、デモネドら当時のメンバーを倒した彼だが、最後の最後で地上を目指したのが自分の意志か、ドラゴンの意志か分からなくなり使命を放棄。新たにメンバーのリーダーとなって、自分と同じようにドラゴンの力を得た者を試し続けてきた。彼のD値は1/1だがこれは自称らしい。
- メベト=1/4
- 反政府組織トリニティのリーダー。もともとはメンバーのひとりで、エリュオンに次ぐD値の持ち主であるらしい。実はトリニティの結成はメンバーの意志であり、不満を抱える住民らのガス抜きのために必要だった、という背景がある。メンバーの中で唯一、リュウらと戦うことはない。
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