ブレスレットが本体とは、帰ってきたウルトラマンことウルトラマンジャックに付いて回る、根拠のない噂である。
概要
ウルトラブレスレットの初登場は本編の18話「ウルトラセブン参上!」。光線技を吸収する強敵ベムスターに対し、打つ手なしの状態でエネルギー切れになったジャックは太陽エネルギーを補給しようとして、太陽の引力圏に引っ掛かってしまった所をウルトラセブンに救われる。その際、セブンより手渡されたのが必殺武器・ウルトラブレスレットである。
これ以降、ウルトラブレスレットを使った必殺技が多くなり、切断技は言うに及ばず、槍に変化したり、湖水を干上がらせたり、盾となって冷気の息を跳ね返したり…など、ブレスレット万能とも言うべき活躍を見せていた。中でも、異星人に制御を乗っ取られてジャックを大ピンチに追い込んだり、怪獣にバラバラ死体にされたジャックを再生させたり、体内に飲み込ませたブレスレットにより怪獣を内部から破壊するという描写に、多くの視聴者が「もう全部あいつ一人でいいんじゃないかな?(あいつ=ブレスレット)」と思ったとか思わなかったとか。
決定打になったのが「ウルトラマンA」の13話の「死刑!ウルトラ四兄弟」である。ゴルゴダ星に捕まったウルトラ4兄弟が各々のビームエネルギーを吸収されて力を失い、ガクリとうなだれる中でジャックのみウルトラブレスレットを取られてそういう状態になっていた。それはまさに「ジャックのエネルギー源はブレスレットにあり」と受け取られかねない描写であった。それを見て多くの視聴者が「もうこいつが本体でいいんじゃないかな?」と言う結論に至ったとか至らなかったとか。
それ故に、ジャックは「まずブレスレットありき」と揶揄されているが…。
反論
ウルトラマンジャックには他のウルトラマンが持っていない技がいくつか存在する。
まず、シネラマショットである。シネラマショットはウルトラセブンのワイドショットと同じ構えで発する光線技であり、その威力はスペシウム光線やワイドショット以上という設定がある。ただ、残念なことにキングザウルス三世にはスペシウム光線同様バリヤーで防がれ、エネルギー消費が非常に大きい為に本編での使用はこれ一回ぽっきりであった。
次にウルトラバリヤー。シーゴラスの起こした大津波を念力を使ってはじき返すと言う大技であり、これによって東京を大津波から守った非常に立派な能力である。これが無ければ、東京は海の藻屑になっていた。
そして忘れてはいけないのがスライスハンド。坂田兄妹を殺され、烈火のごとく怒り狂ったジャックのリベンジ戦でブラックキングの首を刎ねた技として有名である。ブラックキングはジャックを倒す為に訓練された怪獣であり、スペシウム光線どころかウルトラブレスレットさえものともしない。そんな中でウルトラセブンらとの特訓によって会得したスライスハンドはウルトラブレスレット以上の威力があると言っても過言ではないだろう。余談ながら、スライスハンド習得の特訓シーンは実際に撮影されていたと言われ、劇中にもその名残が存在する。
最後に挙げておくべきはウルトラハリケーンであろう。ゼットンとの決戦を前に編み出した戦法で、回転をつけてゼットンを空高く放り投げた技。これにより防御や吸収を封じてスペシウム光線を当てることに成功。ゼットンをブレスレット無しで撃破している(同時に戦ったバット星人には使用)。よく劣化していると言われる2代目とはいえ、ウルトラマンを破った怪獣を自力で倒したのは紛れもなくジャック(郷)成長の証といえるだろう。
登場の背景
1971年に放映された「帰ってきたウルトラマン」は直近の「ウルトラセブン」の終了から3年後の放映であった。旧作の再放送をする中で新作の期待も高まり、満を持して放映された本作はこれまでのウルトラシリーズとは差別化された作風が特徴であった。
人類を超越した存在とも言うべきウルトラマンやウルトラセブンと違い、ジャックは良くも悪くも人間と何ら変わらない存在である。主人公=郷秀樹の心理がそのまま一体化したウルトラマンジャックにも影響する為、郷の慢心や不安は怪獣との戦いにおいて劣勢に直結することが多く、絶体絶命のピンチをたびたび招いていた。
そして、郷秀樹自身も完璧超人のハヤタや宇宙人のダンとは違って、グランプリレースで明日のチャンピオンを夢見る自動車修理工場の工員という市井の若者であった。彼を見守る坂田兄妹の存在も含め、プライベートの描かれない前者2名とは対照的に世俗的な日常生活が強調されていたのだ。また、番組初期作風の大きな特徴として、彼らやMAT隊員、その周りの人間を描いた群像劇であることも大きな特徴である。更に、当初の怪獣が「自然のバランスが崩れたこと」で蘇った、あるいは発生した地球生まれの存在で統一されている点も特筆されよう。
しかし、「ウルトラマンと言えば超越性ありき」というイメージが固まっていた従来のファンの間では、ジャックが頻繁に(メンタルの弱さから)苦戦を強いられる姿に物足りなさを感じる声は少なくなかった。そもそも「帰ってきたウルトラマン」は当初の企画において「初代ウルトラマンが本当に帰ってきた」という設定であった為、その名残からか光線技などのスペックで初代ウルトラマンと明確に区別がされていなかったのである。さらに本作の特徴である群像劇に対して、難解であるという批判もあった。また、宇宙から来たウルトラマンの物語であるにもかかわらず宇宙怪獣や宇宙人が出て来ないことにも不満が寄せられていた。円谷プロではこれらの意見を反映させ、より明朗快活な内容への路線変更や宇宙怪獣・宇宙人の登場、そしてウルトラブレスレットによるヒーロー自身のパワーアップという強化案を打ち出した。加えて、ウルトラセブンを(後に初代ウルトラマンも)登場させるなど、児童誌との連携も含めて低年齢層の視聴を促進していったのである。
番組もウルトラブレスレットの活躍によって、ウルトラマンジャックの超越性は強化されたが、ドラマパートにおける群像劇の比率は小さくなっていった。しかし、そのドラマ性までは犠牲にはなっておらず、Q・マン・セブン同様、あるいはそれら以上に人間の本質を根底から問いかけるようなエピソードが多く登場したことも付け加えておきたい。
総括
かくてウルトラマンとの差別化が明確になったウルトラマンジャック。あまりにご都合主義チートな能力はブレスレットが本体とまで、あらぬ噂を立てられてしまったが、上記にもあるように他のウルトラ兄弟とは異なる能力も多々あり、ウルトラマンジャックの秘めたる能力は相当なものであろう。
番外・その他のブレスレット
これ以降、ウルトラシリーズにはブレスレット状の武器が出る機会が増えてきており、その機能もウルトラブレスレット以上に充実はしている。しかし、先駆者的な意味でもインパクトの面でもウルトラブレスレットの知名度が一番高いと考えられる。
- ウルトラコンバーター(ウルトラマンAなど)
エネルギーの尽きかけているウルトラ戦士に渡すことでエネルギーを回復することのできるブレスレット。ウルトラマンAがギロン人によって、地下に引きずり込まれた際にゾフィーから送られ、使用したのが有名。 - タロウブレスレット・キングブレスレット(ウルトラマンタロウ)
いずれも左腕にはめている。前者は槍などに変化出来るが使用はそれほど多くはない。後者はバードン戦で敗北したタロウがウルトラの母より受け取ったブレスレットで王冠状の形をしている。タロウブレスレット以上に多彩な機能を持ち、ベロンの酔いを醒ますためにバケツに変化、オルフィのヘソからカーン星人を引っ張り出す際にマジックハンドに変形…など色々と斜め上の発想を具現化させている。 - レオブレスレット(ウルトラマンレオ)
レオの付けているブレスレット。レオスパークの他にも注射器に変化させられる。この他、ウルトラマンキングから譲り受けたウルトラマントも通常時はアームブレスレット状態で装備。 - マックスギャラクシー(ウルトラマンマックス)
ウルトラマンマックスがウルトラマンゼノンから借りパク譲り受けた装備。ゼットンをゴリ押しで倒した唯一の技「ギャラクシーカノン」などの発動に用いるほか、最終決戦では重要な役目を果たした。
- ゼロブレスレット(ウルトラマンゼロ)
ウルトラマンゼロが父・ウルトラセブンより貰い受けたブレスレット。プラズマスパークエネルギーがチャージされているのみならず、様々な形態に変化をする。言ってみればウルトラブレスレットとウルトラコンバーターを足して2で割ったもの。但し、内部エネルギーは3回までしか使用できず、使い切った時点で消滅してしまった。以降はさらに強力なウルティメイトブレスレットを装着している。
それなりに登場数も多く、スポンサー的にもいい玩具展開にはなるものの、これらのウルトラマンはブレスレットの能力以上に本人らのポテンシャルが高く、特にウルトラマンタロウはウルトラダイナマイトや肉を切らせて骨を断つ作戦に代表されるように自爆しようがマミられようが死なないと言う究極の能力があるので、ブレスレットのインパクトは相対的に小さいものになっている。
最後に、ブレスレットの使用はほどほどに。ある意味ウルトラ兄弟だから使いこなせるものですので…。若いウルトラ戦士の皆さんは、気がついたらブレスレットに意識が移っていたなどということがないよう、お気をつけて。
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関連項目
- 帰ってきたウルトラマン
- ウルトラマンジャック
- ウルトラマン二世
- 新マン
- ウルトラブレスレット
- ブレスレット万能説
- そのときふしぎな事が起こった
- 眉毛が本体(タウンページを片手にあちこちでPRしまくる気象予報士における似たような事例)
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