ブレン(仮面ライダードライブ)とは、特撮ドラマ『仮面ライダードライブ』に登場する怪人の参謀である。
この概要ほど…ハートの役に立てるものはいないのに…!
108体存在する実体化したデータ状の怪人「ロイミュード」の幹部の一人で、ロイミュードの頭脳で分析や情報収集を担い、ハートとともに行動している。
眼鏡をかけたおとなしそうな青年の姿をとっていて、神経質で慎重に物事を進め、派手好きなハートと対照的な性格。何かにつけて相手の欠点を「○○で××で△△」と三つ言葉を並べて端的に表す癖がある。
最初期に試作型として作られたロイミュード三体のうちの一体。更にはチェイス=プロトドライブの記憶を消去した張本人であり、作中での「仮面ライダー」の名付け親。
常にタブレットを携帯し情報収集や部下のコア回収などに利用していたが、後にそのタブレットの中に自身らロイミュードの生みの親である「蛮野天十郎」の意識を内蔵させていたことが明らかになる。
特に「覚醒」したロイミュードが癖のある性格のものばかりであることに頭を悩まし、チェイスやハートらの自由奔放な行動に文句をつける等、初期の頃は常識を持ち合わせた苦労人の様相を見せており、ハートからも「たまには笑顔で迎えろ」と促されるなど、良くも悪くもアンドロイドらしい機械的な性質であった。
しかしハートへ厚い忠誠心を見せる女幹部・メディックが復活したことに伴い、それまで内に秘めていたハートへの想いとメディックへの激しい嫉妬心が溢れ、どんどんと人間くさい側面を見せるようになる。
上記のように、無茶で強引で乱暴な行動を起こすハートに苦言を呈すことも多かった。
が、そんなハートのことが好きだそうで、本人からそのことを指摘された際には否定せずに微笑を浮かべていた。そのため、ハートのためになることや、彼に少しでも気に入られるためなら手段や自身のプライドさえ一切顧みない(メディック失脚を狙ってドライブ抹殺作戦中途にチェイス洗脳を解除し、正義の心に再び目覚めるよう仕込んだことすらある)。
これらの理由から、そっちの方面の人であると疑う視聴者も多いが、人間をコピーし擬態化するロイミュードに性別の概念があるかは定かではないので、一概にそれと言い切るのは難しい。念のため。
そんな事情からハートのお気に入りで有能な女幹部・メディックの存在を疎んじており、常にハートにべったりと寄り添い自分を小馬鹿にしているメディックに対し、陰で顔芸と共にハンカチを噛み締めながら嫉妬心を顕わにしていることもあった。「脳」が名前のわりにはいちいちツメが甘く、戦闘能力も幹部の中では劣る部分が目立ち、ハートの側近ポジションは殆どメディックに奪われつつある。
しかし、それによる「嫉妬心」の芽生えにより、人間の如く多彩な表情を顕著にするようになり、本人は痛く疎外感を感じているものの、001からはその負の感情こそが絶大な力になるとして評価されていた。
物語の裏では001こと真影壮一の下、側近のような立場で暗躍しており、ドライブの正体が世間に公表された後に特殊化学分野研究所の「能見壮」と名乗り警視庁内部へ侵入。捜査一課課長の仁良と接触した上で特状課のアドバイザーとして専任することとなる。
その成果を尋ねてきたハートには「001の下では実に仕事が捗る」と嫌味を言うも、ゆっくり話がしたいと歩み寄られた際は、普段の彼からは考えられないような実に嬉しそうな笑顔を見せた。しかしその直後に、ハートに寄り添うメディックの存在を思い出し「あの女がいる限り、あなたのところには戻りません!」とまるで昼ドラのような台詞を言い放ってその場を立ち去った。なおハートからは「同じロイミュードなのにどうして仲良くできないのか」と戸惑われていることから、その嫉妬心について何一つ理解されていない模様。彼の受難は続く。
心身共に疲弊しきって街を彷徨い歩いていた剛に「新参者に居場所を奪われる辛さ」に理解を示し、共に001の下へ来るよう勧誘する。却下され攻撃を受けるも、何らかの映像を剛に見せて戦闘を中断させ、その後命令によりドライブとチェイスを攻撃させる程までに彼を支配下に置いた。
しかし、剛が『蛮野天十郎の頭脳を入れたタブレットPCを強奪する』という目的のために、ロイミュード側に着いたふりをしていたことが判明。まんまとタブレットを奪われてしまい、更にドライブによって001も倒されてしまう。
だが、ブレンは001が到達した超進化を自分も成し遂げればと目論み、自身と同じく他者へ激しく嫉妬する仁良に深く共感し結託。長い戦いの末、仁良の「嫉妬心」にシンクロし、超進化することができた。
なおその超進化態への到達についても「全てはハートの理想を実現するため」と語っている。
その後、今まで自分を苦しめてきたメディックを「ブレン様と呼べ」と強制。それを拒否する彼女を超進化の力で圧倒し、その場に現れたハートを振り向かせるそして、奇妙な跳躍で倒れ付したメディックの目の前に跳び、「自分に嫉妬するその顔が見たかった」と見下すことに成功する。
そして能見として頭脳派としての本領を発揮し特状課を窮地に陥れ、仁良と共に泊進ノ介の命を狙う。……が、チェイスや剛の尽力もあって見事にその作戦は失敗。なおも自分に追いすがる仁良を見限り3ライダーと対峙するも、初めて力が合わさった三戦士のトリプルライダーキックを受け、肉体は破壊されてしまう。魂であるコアは辛うじて生き延び逃走するも、待ち構えていたメディックに捕まり、治療という名の手痛い仕返しをくらうのであった。その後は暫くメディックに肉体を与えられずにコアとして生活していたが、40話終盤にてようやく復活を果たした。
その後、メディックからは彼女の超進化のためにとある犬を預けられ、嫌々ながら甲斐甲斐しく世話をしていた。しかしその中途で蛮野がゴルドドライブへと変身するのを目撃してしまい、それに気づいた蛮野からメディックの超進化を達成させるために彼女を預けるよう脅されてしまう。ブレンの発言を信じ蛮野の下へと向かったメディックは、超進化を果たすこと自体はできたものの、蛮野に細工を仕込まれてしまっていた。
その後、蛮野の目論みに気づきハートにメディックの居所を訊かれ、「愚かで卑怯で軟弱」と自虐しハートに消されるよう望む。しかしハートからは、約束の数を揃えようとする蛮野の野望を阻止するために、一人逃亡するよう頼まれる。
そして密かに姿を消した際、蛮野によって感情を失ってしまったメディックの姿を回想し、ブレンは今まで散々な目に合わされていたはずの宿敵のために、一人静かに涙を流したのであった――。
その後、蛮野に洗脳されたメディックに追われるも、彼女を救い出すために自身の爪を仕込み、分析を行う。
その道中、自分のアイデンティティだと思っていたメガネとハンカチが、グローバルフリーズの時にコピーした人間「杵田光晴」の模倣だったことを知る。
メディックのデータに触れたブレンは、ある一つの事実に勘付いた。そして――
※以下ネタバレ注意! ↓
ブレンは最後になにを望んだのか
ブレンが気づいた、とある真実。
それは、第二のグローバルフリーズを行うために、洗脳の段階からメディックを犠牲にした計画を蛮野が進めていたということ。
それを知ったブレンは、自らメディックに捕まり、あれほど敬愛していたハートすら嘲笑し、蛮野の下へ降る。
だが、それら全てはメディックを、そして彼女に治療を必要とするハートや同胞を救うための、ブレンの賭けだった。
コピー元から引き継いだアイデンティティーと称したハンカチまでも捨て去り、自分自身の意思と想いに向き合うブレン。
そして第二のグローバルフリーズの準備が始まり、逆流するエネルギーをメディックに向けられた、その時。メディックに仕込まれたプログラムを自らに移植し、反動を一身に受ける。
結果、蛮野のプログラムを抜き取られたメディックは正気を取り戻し、反動からメディックを守り抜くことはできた。
しかし、余剰エネルギーを一身に受けた結果、ブレンの身体はコアごと崩壊を始める。
あれほど嫉妬していたメディックに愛するハートを託し、泣き崩れる二人に看取られながら、ブレンは満足そうに笑顔を浮かべて、静かに塵となっていったのであった――。
やはり私は優秀で……誠実で……
……優秀で……誠実で……
彼が最後に言おうとしていたことは何だったのか。それを知るすべは存在しない。
「おまえだけは信じていた」といったハートの言葉、そして結局ハートは笑顔を取り戻すことはできず、哀しみと怒りに委ねて戦いの道を選んでいったことから、メディックと同様かつ最大限の愛情を、ハートに向けられていたことは間違いない。
最後の最後までハートの顔を見ることはせずに消えていったブレンが、そのことについて知っていたのか、知らないふりをして敢えて献身を貫き通そうとしたのかは、三つ目の言葉と同様に視聴者の想像に委ねられる。
ただ、同44話のサブタイトル「だれがハートを一番愛していたか」の解は、何よりの真実を物語っていたのでないだろうか。
そして、彼の想いとその最期は、最終決戦、そして多くの登場人物たちに大きな影響を及ぼした。
剛はブレンの想いと最期を目の当たりにしたことで蛮野に対して激しい怒りを燃やし、直後には自身が負傷してでもハートとメディックまでをも救い出すなど、心境の変化を顕著にする。
頑なにライダーと共闘することはしなかったハートは、ブレンを死に至らしめた蛮野に「死以上の悔しさを味あわさせる」として、進ノ介らと共に闘うことを宣言し、ライダーと怪人の5変身を実現させる。
メディックは治療能力を失ってなお、最終局面においてブレンの想いを理解したことで、自らの命を差し出して進ノ介を救う。そして、最期に自分を救ってくれたブレンのことを回想し、彼の想いを享受できたことに喜びを示して、ただ進ノ介とハートの勝利を信じ消滅することとなった。
愛は世界を救うとも言うが、人間の感情の中枢である「脳」の名前を持った彼こそは、それを実現させたと言っても過言ではないのかもしれない。
仮面ライダーブレン
仮面ライダーチェイサー、そして仮面ライダーハートが誕生した頃から「次は仮面ライダーブレンですね!」というネタが本人やファンの間でささやかれる機会が多くなった。2017年4月1日にはドライブ公式ツイッターにて「仮面ライダーブレン、2035年リリース!」とのツイートが投稿された。(もちろんエイプリルフールである)
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https://twitter.com/HKR20_official/status/1112988111875727360
そして2019年4月1日、東映特撮FC内で「ドライブサーガ 仮面ライダーブレン」の配信が発表された。よりによってエイプリルフールの日だが、4月2日に嘘ではなく本当に配信する旨の告知が念押しになされた。(4月下旬に1話、5月上旬に2話が配信予定)しかも「ドライブサーガ」は本編のスピンオフとなるシリーズで、脚本もドライブのメインライターであった三条陸が担当。すなわち番外編などではなく、ドライブの正史に組み込まれる公式作品であることが読み取れる。
なお、2019年5月から元号が平成から令和となったので、仮面ライダーブレンは事実上最後の平成ライダーということになる。
余談
脚本家の三条によれば新撰組の土方歳三がモチーフである。なお、土方をモチーフにしたのは「規律に厳しいながら近藤(=モチーフはハート)を尊敬し従順である点」であるとのこと。
ブレンが現在のようなキャラになったのは、メイン脚本を務める三条陸が演じる松島氏と対面した際に、その真面目で端正な容貌を見るやいなや「この顔を崩したい」と感じたことがきっかけであると各特撮誌のインタビューで語られている。虐めたくなるタイプのイケメンなのか。
毎度顔芸が凄まじすぎる故か眼鏡をかけると顔が変わるタイプなのか、中の人の名前で検索すると別人のイケメンが出てくるとの声も多く、実際眼鏡をかけていない松島氏は子供からブレンと認識されたことは一度しかなく、何度も涙を呑んだらしい。
そんなブレンの現状に冗談交じりに文句を言いつつも、松島氏はブレンをこよなく愛しており、Twitterでは毎週彼の活躍を伝えていた。
ブレンロイミュード
ブレンの怪人態、緑色の神官の衣装のようなボディに脳の意匠が取り入れられている。神経系の攻撃が得意であり、ドライブに毒をプレゼントした。
しかし頭脳派であるのにも関わらずドライブのジャスティスケージを腕力で破壊したり、自分がシフトカーに手間取っていながらドライブを逃したチェイスにブチ切れて攻撃したりと、若干脳筋っぽい描写も見られる。
とはいえその火力は凄まじく、錯乱状態とはいえチェイスを戦闘不能にし、マッハを一時圧倒するほど。
……かと思ったらマッハのマックスフレアを用いた火炎射撃により、盛大に燃えあがった末に水たまりで消火するという失態をやらかした。
超進化態
英介に対する強い憎しみと嫉妬心を引き出す仁良に目を付けたブレンが、彼と融合進化することによって誕生したブレンロイミュードの超進化態。フリーズと同じく全身が金色に輝いているのが特徴。
従来の強力光弾や毒に加え重力操作やバリア機能までも有し、極めて高い戦闘能力を誇るメディックや仮面ライダーチェイサーをも圧倒する。
何故だ…何故、関連項目なんかに…哀れみを…
- 仮面ライダードライブ
- レデュエ(前作の緑の怪人)
- ソラ/グレムリン(前々作の緑の怪人)
- ウヴァ(前々々々作のネタ担当緑の怪人)
- 平成ライダーの登場人物一覧
- ダメガネ眼鏡
- 顔芸
- 残念なイケメン
- 城之内克也(ブレン本人がネタにした)
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