プチコンとは、スマイルブームより発売されている、ニンテンドーDSi/3DS用から始まったダウンロードソフトのシリーズで、BASICという言語でゲームなどのプログラミングを楽しむことができるソフトである。
シリーズ
タイトル | 種類 | 配信開始日 | 価格 | 備考 |
---|---|---|---|---|
プチコン | DSiウェア (3DSにも対応) | 2011年3月9日 | 822 ポイント | 配信終了 |
プチコンmkII | DSiウェア (3DSにも対応) | 2012年3月14日 | 822 ポイント | 前作の上位互換 |
プチコン3号 SmileBASIC | 3DS専用ダウンロードソフト | 2014年11月19日 | 1000 円 500円 |
Ver.3 |
プチコンBIG | WiiU専用ダウンロードソフト | 2016年12月14日 | 3000 円 1000円 |
3号互換 |
プチコン4 SmileBASIC | Nintendo Switch専用 ダウンロードソフト |
2019年5月23日 | 3000 円 | Ver.4 体験版あり ![]() |
概要
BASICは80年代のパソコンにほぼ必ず付属していたプログラム言語。手軽に習得することができ、特に初期のパソコンはこれが一番の使用目的であった。その雰囲気を現代に再現したのがこのプチコンである。BASICといえば遅い動作速度が有名だが、プチコンはそこそこ高速。3DS版である3号では、まず処理落ちしないくらいの爆速で動作する。プチコン4ではプチコン3号の10倍以上の速度で動作する。
当初はその当時を知るおっさんホイホイがコンセプトだったが、その性能と自由度の高さ、および「DS/3DS 1台で完結してゲームが開発できる」ことが広く受け入れられ、今ではユーザー層は小学生からおっさんまで幅広い。シリーズの合計ダウンロード数も、2019年5月までに累計15万本を販売している。
プチコンには「SmileBASIC [1]」が内蔵されており、タッチパネルからプログラムを入力したり、ドット絵を描いたりして、ゲームなどのソフトウェアを自作できる。
初心者向けとはいえ、ガチのプログラム言語である。購入してすぐに扱うには相応の知識と経験が必要。しかし、公式の初心者講座が充実しているなど、新たに学習する取っかかりも用意されている。他の人の作品を遊ぶだけでも値段以上に楽しめることであろう。
作成したソフトウェアは、プチコンmkIIではQRコード化、プチコン3号以降では専用サーバにアップロードしダウンロードのための公開キー(最大8文字のランダムな英数字)を発行することで、他の人に配布することができる。作品はTwitterや非公式Wiki、プチコン3号/BIGではMiiverseでも公開されている。
北米版も開発されており、プチコンmkII互換の『Petit Computer』は2012年7月に発売済み。プチコン3号の北米版、『SmileBASIC』は現地時間2015年10月15日、欧州版は2017年8月16日に配信開始された。内容は日本版と互換性があり、データ交換も相互で可能。
プチコン3号では3DSの立体視にも対応しており、おそらく世界でただ一つの「裸眼立体視に対応した一般ユーザー向けのプログラム開発環境」である。
プチコンBIGではWii U専用となりUSBキーボードに対応した。TV画面とGamePadの2画面出力など多彩な画面表示モードがある。
プチコン4ではNintendo Switch向けに性能向上はもちろん、各種センサーの使用、Nintendo LaboのToy-Conへの対応。初心者向けヘルプや遊び専門の人でも使いやすくなるような機能を強化している。無料体験版も配信されているので、セーブはできないがプログラムを体験することができる上、他ユーザーの作った作品を遊ぶこともできるので、まずは遊び専門のユーザーも体験してほしい。
プチコンmkIIの主な機能
- 初代よりも高速な動作
- プリセットのBGM/効果音を多数用意
- 256色同時発色のグラフィック描画
- スプライト/BGを利用した高速描画
- 上下画面の使い分けが可能
- タッチパネル/ボタンの押下状態等の取得
- MML(ピコカキコにも使われているアレ、Music Macro Language)による音楽演奏
- TALK文で音声合成(SHARPの音声合成エンジンを使用。トモダチコレクションなどと同じもの)
- 1MBの保存領域
- QRコードでプログラムをシェア
etc...
プチコン3号の主な機能
- mkIIの機能はTALK文の機能低下(エンジン変更による)と、QRコード&ローカル通信によりデータ交換の廃止 (任天堂の「本体だけでデータ交換ができてはいけない」意向による) を除き、ほぼ維持
- QRコード廃止の代替として、ネットワークによるデータ交換機能が追加されており、作成した作品は専用サーバにアップロードし、日本全国のプチコンユーザーに公開することができる
- 仮想マシンへの動的コンパイルにより、mkIIの10倍高速に動作。new3DSならさらに3倍高速。
- 構造化プログラミング (IF~ENDIF、WHILE~WENDなど) に対応
- 関数定義に対応
- 65536色同時発色のグラフィック描画
- 512個まで表示できるスプライト
- 拡大/回転が可能なBG面を4面まで同時に表示できる
- 立体視に対応し、スプライトやBG、グラフィックおよびコンソール1文字単位で奥行きを指定可能
- 4台までのローカル通信プレイにも対応できる
- メインメモリは8MB使用可能 (書いたプログラムの領域は別途確保されているので消費しない)
- データの保存はSDカードの容量いっぱいまで使用可能 (ただし記録データは暗号化される)
- 拡張スライドパッド、ジャイロ、マイクからの波形入力に対応
- JIS第一水準までの漢字に対応 (美咲フォント
の採用による)
- プログラムは999999行、100万文字まで書くことができ、4つのプログラムまで同時に扱え相互に呼び出しも可能 (1つめにメインプログラム、2つめにデータ、3つめに汎用のライブラリなど使い方は自由)
- バンダイナムコ カタログIPオープン化プロジェクトにより、キャラクターやサウンドなどIP(知的財産権)を使った二次創作が可能。現在使用可能タイトルは『パックマン』『ギャラクシアン』『ギャラガ』『マッピー』『ゼビウス』
などなど…
プチコンBIGの主な機能
- プチコン3号との互換性(立体視・通信機能等 非互換機能は除く)
- USBキーボード対応
- 以下の周辺機器に対応
- プチコン3号では拡張命令だった高度サウンドユニットを搭載
- メインメモリ128MB
- TV画面・GamePad画面合わせて最大4096個までスプライト使用可能
- グラフィックページ1024x1024ドット
- 画面解像度は最大854x480ドット。プチコン3号と互換性のあるモードについてはプチコン3号と同じ
- 専用サーバを介してプチコン3号とプログラムをやりとり可能
など
プチコン4 SmileBASIC
- HD振動、ジャイロ・加速度センサー、モーションIRカメラ対応
- joy-Con、Proコントローラー、Toy-Conに対応(Toy-Con専用命令あり)
- USBキーボード、マウスに対応。bluetoothは非対応。ツクモよりSmileBASIC専用キーボード・マウス発売
- 初心者向けガイド機能
- 公開キーでのダウンロードの他に、初心者でも簡単にダウンロード出来るリストアップ表示やタイトル・説明文の追加、「いいね」機能。
- グラフィックページ2048x2048。前作までの16bitカラーからα付き32bitカラーになる
- テキストやスプライトをグループ分けするレイヤー8枚。クリッピングやぼかし・モザイク・ラスター処理等のフィルター、加算・乗算合成などができる
- サウンド最大32同時発声。SEやBGMの拡充、音色の音質向上。
- 単漢字変換入力
- プチコン3号の公開キーをダウンロード可能。命令互換性はないので、そのままでは動かない。仕様の違いについては公式リファレンス参照
プチコンマガジン
プチコンマガジンとは、ニンテンドー3DS専用のダウンロードソフトで、価格は300円。
プチコン大喜利という公式コンテストの受賞作品集に、プチコン3号で作った完全オリジナルのシューティングゲーム「SOLID GUNNER」を追加したものである。
おそらく、一般ユーザーが作ったソフトを任天堂ゲーム機の公式ショップで販売するのは史上初の試みである。発売済みの第一作は「プチコンマガジン創刊号」と銘打っており、シリーズ化が予定されている。
公式が制作した新作オリジナルゲーム「SOLID GUNNER」も含めてプチコン3号の公開キーがあるため、プチコン3号所有者であればすべてダウンロードできるのだが、プチコン3号の能力をこの目で確かめてみたいなら買ってみるといいだろう。価格が安く、オリジナル作の完成度も良好なこともあり、プチコン3号所有者でも購入者は少なくないようで、さらになんとファミ通ではクロスレビューでシルバー殿堂入りしてしまった。
関連動画
スマイルブーム公式アカウントによる動画
ユーザーによる力作ギャラリー
ユーザーによる往年の名作を移植しようという試み
アレンジ移植も含む。原則自主規制によりデータ配布はされていないので、動画で楽しみましょう。
関連商品
関連コミュニティ
関連項目
リンク
公式サイト
- SmileBASIC 公式サイト
- プチコン 公式サイト
- プチコンmkII 公式サイト
- プチコン3号 公式サイト(SmileBASIC公式でBIGと統合)
- プチコンマガジン 公式サイト
- プチコン4 SmileBASIC 公式サイト
非公式サイト
脚注
- *SmileBASICはSmileboom社が開発した独自のBASIC。SmileBASICを搭載した製品は、プチコンの他にHAL研究所の「PasocomMini
」、Raspberry Pi用ソフト「Pi STARTER
」がある。また、SmileBASICを元に開発されたスクリプト言語SBScriptは「リングフィットアドベンチャー」に採用されている。
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