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プラリドキシム
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プラリドキシム(Pralidoxime)とは、サリンや有機リン系の農による中の解毒薬である。ヨウ化プラリドキシム(プラリドキシムヨウ化メチル)が、PAM(パム)の名で知られている。

概要

有機化合物
プラリドキシム
プラリドキシム
基本情報
英名 Pralidoxime
化学 C7H9N2O+
分子量 137.16
化合物テンプレート
有機化合物
ヨウ化
プラリドキシム
ヨウ化プラリドキシム
基本情報
英名 Pralidoxime Iodide
略称 PAM
化学 C7H9IN2O
分子量 264.06
化合物テンプレート

プラリドキシムは、オキシム系のコリンエステラーゼ再賦活であり、有機リン化合物による中の解毒薬である。ピリジニウム格とオキシム構造を有する。化プラリドキシム、ヨウ化プラリドキシム、メシルプラリドキシムなどのが利用されている。ヨウ化プラリドキシムはPAM(パム)とも呼ばれ、「パム静注500mg」という品名で住友ファーマ株式会社より製造販売されている。ちなみに、PAMは2-Pyridine aldoxime methiodideのアクロニムである。

PAMは、1995年3月20日に発生した地下鉄サリン事件において、化学兵器サリンによる中の解毒薬として用いられた。被害者の救護にPAMが使用されて東京都内のPAMの在庫が一時的に消尽したが、新幹線飛行機を利用した人戦術のリレーによって全各地からPAMが集められ、600名をえる人命を救った。また、有機リン系農を製造販売している住友化学の系列企業としての責任から、採算が取れずともPAMの製造を続けた住友製薬企業方針もしばしば美談としてられる。

効能・効果

有機リン化合物は、リンを含む有機化合物の総称である。神経系・呼吸器系に対する性をもつものが農(殺剤)として開発され、第二次世界大戦期には化学兵器としても開発された。有機リン系農はパラチオンマラオンメタミドホス、ジクロルボスなど、化学兵器サリンVXなどが知られる。

有機リン化合物では、コリン作動性神経進により初期には縮瞳(の前が暗くなる、かすむ)、気管支収縮(息苦しい)、頭痛、嘔吐、腹痛下痢などの症状があらわれる。大量に曝露したり性の強いものに曝露したりすると、徐脈(脈が遅くなる)、意識障害、全身のけいれん、呼吸困難などを引き起こし、死に至る場合もある。そのため、有機リン化合物と判明したら可及的速やかに除染、皮膚や消化管内の洗浄、気の確保、解毒薬の投与などを行う。

用法・用量

ヨウ化プラリドキシムとして1回1g(小児なら20~40mg/kg)を生理食塩100mLに溶解し、可な限り期に、できれば点滴で15~30分程度かけて徐々に静脈内投与する。急速大量投与はしない。投与量は年齢や症状により適宜増減し、投与しても十分な効果が得られなかった場合や症状が重い場合には慎重に追加投与を行う。

有機リン化合物の中症状の緩和のため抗コリン作用を有するアトロピンが併用されるが、ヨウ化プラリドキシムとアトロピンを混注すると作用発現が遅延しうるため混合せずに投与する。けいれんが抑制されなければジアゼパムを併用してコントロールする。

作用機序

有機リン系の農化学兵器は、神経伝達物質アセチルコリンACh)の加分解酵素であるコリンエステラーゼ(ChE)の活性中心にあるヒドロキシ基をリン化することで、その活性を阻する。AChが分解されなくなり神経シナプス間隙にAChが蓄積するため、ACh受容体への過剰な刺が持続する。

プラリドキシムは、ChEのリン化された活性中心かリンエステルを解離させて酵素活性を回復させる(再賦活化)。ただし、有機リン化合物によって阻されたChEには時間の経過とともにエイジング(経時変化)が起こり、プラリドキシムを投与しても再賦活化できなくなる。ゆえに、有機リン化合物と判明したら可及的速やかにプラリドキシム投与を開始する。

メソミルなどのカルバメート系化合物による中に対し、プラリドキシムは効である。

弱いがプラリドキシム自身にもChE阻作用があるため、大量に投与すれば呼吸停止など起こりうる。しかし、通常の用量(1~2g程度)であればChE阻作用はほとんど認められない。

禁忌・副作用

禁忌はとくに設定されていない。重症症の患者、腎機が低下している患者、妊婦または妊娠の可性のある女性などへの投与は注意を要するが、救命が優先される。

急速な静注(0.5g/min以上)は、めまい、頭痛、嘔吐、頻脈などをきたすため、急速静注はしない。ヨウ化物イオン(I-)が含まれているため、副作用としてヨウ素過剰症状(咽頭灼熱感、下腺痛)の報告がある。副作用はほかに吐き気や不整脈がある。

同種同効薬

アセチルコリンエステラーゼ再賦活として、プラリドキシム(ヨウ化プラリドキシム)、オビドキシム(化オビドキシム)、トリメドキシム(臭化トリメドキシム)などがある。オビドキシムの構造式を下に示した。これらオキシム(C=N-OH)構造を有し有機リン化合物の解に用いられる剤は、オキシム剤とも呼ばれている。

オビドキシム

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