『映画 プリキュアドリームスターズ!』とは、東映アニメーション制作のアニメシリーズ『プリキュアシリーズ』のクロスオーバー映画作品である。2017年3月18日公開。
概要
方針転換の背景
2017年春より新たに展開が始まった、プリキュアシリーズのクロスオーバー作品第1作。これまで春に上映されてきた『プリキュアオールスターズ』シリーズから方針転換し、参加作品・登場人物を新作の『キラキラ☆プリキュアアラモード』を中心に『魔法つかいプリキュア!』『Go!プリンセスプリキュア』の3作品、12人のプリキュア及び4匹の妖精と、最新作と直近の作品に絞る形態に変更されている。
そもそも、何故これまでのオールスターズから転換し、新たにシリーズ展開をすることになったかと言えば、ひとえに「プリキュアの人数」という最大の問題に他ならない。
2017年2月のプリアラ開始時点でシリーズも第14作、代数にして12代目のチームに達し、オールスターズに換算されるプリキュアの総数は映画限定のキュアエコーを含めて50人(シリーズ産みの親である鷲尾天氏はさらにキュアモフルンも含めて51人と数えている)と、かなりの人数となった。
これまでも、年々人数が追加されていき、スタッフも処理しきれるのか?という疑問点はあっただろうし、人によってはもう限界に達していると見る人も多かったはずである。
元々オールスターズDXシリーズ3部作が終わった時点でこの路線から方針転換しようとしていたはずだったのだが、興行など大人の事情でそれが覆され、ズルズルと続いてきていた。これがある意味シリーズにとっていいところでもあり、負の遺産とも化していた。
NewStageからはプリキュアや妖精全員に声が付かなくなり、キャラクターにしても表現の格差が出てきてしまっていたため、ファンの中からは少なからず不満の声も上がっている状況だった。何より70分前後という決められた上映の尺を考えるとあまりにもキャラクターの制御という面で無理を来し、あるいは演出的にも破綻しきった状況なのは見て取れる。
では、上映の尺を延ばしたらいいのでは?という声も出るはず。しかしプリキュアシリーズのメインターゲットはあくまで少女や幼女、中でもいわゆる未就学児童(3~5歳)である。その子供たちが1時間強の映画でさえ乗り切れるギリギリのラインなのに、それを超える時間となれば無理と言わざるを得ない。こうした事もあって、鷲尾氏も2016年春のプリキュア新聞でのインタビューで方針転換を示唆するほどだった。
そして、もう一つの現実問題として「現在の子供たちにおける認知度」もある。
14年目に入ってしまうと、メインターゲットである子供たちはどこまで過去のプリキュアを知っているかという問題が出てくる。確かに昨今では各種再放送や動画配信、ビデオのレンタルで見られる機会は多い。オールスターズで過去のプリキュアに興味を持ち、親がネット検索して見せたら一層興味を持って過去作品を見始めたという例も耳にはする。
しかし、現実的に子供たちにとっては現在放送中のも含め、ここ2、3年のプリキュアしか基本的に分からない。それならばと、ここで思い切る必要が出てきたと言えるだろう。馴染みのある直近のプリキュアに絞り、物語を楽しんでもらう、という方向にシフトしたと考えられる。
また、鷲尾氏はこれに加えてプリキュアという作品が親子のコミュニケーションツールであるという側面としても方針転換したことを語っている。
というのも、子供たちに「どのプリキュアが好き?」と聞くとある程度成長して好きなプリキュアができているならともかく、そうでないと「ぜんいん!」と答えることが多いという。しかし、そういった子供たちのほとんどはまだ幼いため「ぜんいん(あるいは「ぜんぶ」や「みんな」とか)」という言葉を知らないので、出てきたプリキュア片っ端から言おうとする。大人でさえプリキュア全部言えるかどうか分からない、それどころか大きいお友達の親が「プリキュア全員言ってみろ」とオレオレ詐欺対策に使うという話まで出ているご時世である。小さな子供にはかなりハードルが高いだろう。
だったら、キャラクターを絞ってある程度言いやすくすれば、という子供たちへの気遣いも含んでいる。
とはいえ、オールスターズが映画では終わったとしても、今後は別の展開があるかも知れない(現状展開されているものとしてはプリティストアでのグッズ展開やスマホゲーム「つながるぱずるん」など)。状況によってはライダーや戦隊みたいに長尺の大人向け作品として展開される可能性もあり得るので、今後もオールスターズもドリームスターズ以降のクロスオーバー形式も、いずれも注視する必要があるのではないだろうか。
2017年10月公開の『映画 キラキラ☆プリキュアアラモード パリッと!想い出のミルフィーユ!』では秋映画では初めて前シリーズである『魔法つかいプリキュア!』の面々が登場、同時上映の短編もドリームスターズに登場した妖精4匹が再び揃った『Petit☆ドリームスターズ! レッツ・ラ・クッキン?ショータイム!』と、クロスオーバー要素が盛り込まれた。
そして同映画の上映後の特報でプリアラ・まほプリによる2018年春映画『映画 プリキュアスーパースターズ!』の制作が発表されている。今後はタイトルを変えながらも直近旧作2作品+新作の3作品クロスオーバー路線を継続することになる。
作品について
桜が咲き乱れる異世界「桜が原」。そこに世界中の奇麗な物を狙う鴉天狗が現れ、桜の木々を奪い、青き狐のシズクを連れ去っていってしまう。それを取り戻すべく桜が原の少女サクラが、「鍵」「宝石」そして「スイーツ」をキーアイテムに持つプリキュア達を探しに人間界にやってきたとき、いちかと出会った事から物語が始まる。
今回の作品は通常の世界をセルベースのアニメーションで、異世界を3DCGで描き、それぞれをシームレスに繋ぐという手法をとる。さらにこれまでシリーズで用いられなかった和風の表現を全面的に取り入れているのが特徴となる。
このような特色ある作品を監督するのは『映画 Go!プリンセスプリキュア Go!Go!!豪華3本立て!!!』の中編作品『プリキュアとレフィのワンダーナイト!』で監督デビューを飾り、CGWORLD大賞も受賞するなど、その表現力と技術力が絶賛された宮本浩史。自身初の長編作品としてセルパートもCGパートも全体で監督する。
さらに主要スタッフも、脚本には『魔法つかい』でシリーズ初参加、他には『プリティーリズム』シリーズや『リルリルフェアリル』での構成脚本、『半沢直樹』『マッサン』の脚本協力などで携わっている坪田文、総作画監督は『Go!プリンセス』キャラデザの中谷友紀子、作画監督として『映画 ハピネスチャージプリキュア! 人形の国のバレリーナ』のキャラデザ・作監をはじめとして近年のプリキュアシリーズでは作画スタッフとして関わっている大田和寛、演出は『ONE PIECE』などに参加の佐藤宏幸と中谷と同じスタジオガッツ所属で『Go!プリンセス』『魔法つかい』でも演出参加の村上貴之の2人、CGスタッフは宮本とチームを組んでいるCGディレクターの鄭載薫、アニメーションスーパーバイザーの金井弘樹、プロデューサーの野島淳志などが加わる。
今作のメインキャラとなるサクラ役にはアニメではシリーズ初参加、実は『魔法つかい』でのプリキュアショー後期バージョンではデザイナーを目指すみすず役を演じた阿澄佳奈が起用されている。サクラの友達であり、今回の物語の鍵を握る青い狐のシズクは女優の木村佳乃が演じる。東山紀之との間に2人の女児をもうけ、いずれも現役のプリキュア世代だけあって今回の起用は家族全員喜んだという。今回の敵の鴉天狗役には最近ではナレーターとしての活躍も見せ、『手裏剣戦隊ニンニンジャーVSトッキュウジャー THE MOVIE 忍者・イン・ワンダーランド』にも出演した南海キャンディーズの山里亮太、鴉天狗の下僕である赤狗・黄狗役には山里とは仲がよいことで知られる、キングオブコント2016チャンピオンのライスの2人が務める。
音楽は『アラモード』から参加の林ゆうきが基本的に新規作曲し、一部高木洋による既存楽曲を使用。また、オープニングテーマは青木久美子と小杉保夫の黄金コンビが手がけ、高木が編曲した「桜MISSION~プリキュアリレーション~」を北川理恵が五條真由美とうちやえゆかのコーラス付きで歌い、さらにロックアレンジされた別バージョンも挿入歌として使われる。またエンディングテーマの「君を呼ぶ場所」はシズク役の木村が定評のある高い歌唱力で歌い上げている。
スタッフ
- 企画:鷲尾天
- 監督・キャラクターデザイン:宮本浩史
- 脚本:坪田文
- 総作画監督:中谷友紀子
- 演出:佐藤宏幸、村上貴之
- 作画監督:大田和寛
- 美術監督:倉橋隆
- 音楽:林ゆうき
- CGディレクター:鄭載薫
- CGアニメーションスーパーバイザー:金井弘樹
- 色彩設計:澤田豊二
- 撮影監督:中村俊介、高橋賢司
- 製作担当:澤守洸
- CGプロデューサー:野島淳志
キャスト(ゲストキャラクターのみ)
主題歌
関連動画
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関連生放送
関連項目
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