プリテイキャストとは70年代後半に中長距離戦線で活躍した牝馬である。
道中100mの大逃げを打ち、そのまま3200mを逃げ切り7馬身差で圧勝した1980年の天皇賞・秋で有名となった。
主な勝ち鞍
1980年:天皇賞(秋)(八大競走)、ダイヤモンドステークス
※プリティキャストと誤記されることが多いが、本項目名で示すとおり「プリテイキャスト」が正しい。(イが小文字ではない)
概要
プリテイキャスト Pretty Cast |
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生年月日 | 1975年03月20日 |
没年月日 | 1995年06月28日 |
馬種 | サラブレッド |
性・毛色 | 牝・鹿毛 |
生産国 | 日本![]() |
生産者 | 吉田牧場 (北海道安平町) |
馬主 | 高田久成 |
調教師 | 石栗龍雄(東京→美浦) |
主戦騎手 | 横山富雄 →柴田正人 |
戦績 | 41戦8勝[8-6-1-26] |
獲得賞金 | 1億7333万6400円 |
受賞歴 | |
競走馬テンプレート |
父カバーラップ2世はワカクモ、リュウズキをだすなど吉田牧場期待の種牡馬で、母タイプキャストは重賞競走を7勝、1972年にはマンノウォーSを勝ち1972アメリカ最優秀古馬の実績を残した名牝。しかしながらデビューは遅れ、しかも初勝利は8戦目となかなか勝ちあがれなかった。
勝ち上がった後は気性の悪さもあって長らく条件馬としてすごした。6歳時に8番人気ながらダイヤモンドSを7馬身差で制してようやく重賞馬となり、名牝の仔として格好をつけた形となった。その後余勢をかって天皇賞・春に挑戦するも15着と惨敗した。
天皇賞・春後はそのまま牡馬重賞戦線に挑み、札幌記念(当時はダート)2着、毎日王冠3着など惜しい戦績を残すも、冬ごろには目黒記念・秋を最下位で敗れ、かなり評価を落としてしまった。
その目黒記念の後出走したのが天皇賞・秋。プリテイキャストは不安定な逃げ馬であり、前走の惨敗もあって11頭中8番人気。この天皇賞ではダービー馬カツラノハイセイコと、故障でクラシックを棒に振るも日経賞勝利など調子を上げていたホウヨウボーイなどが人気していた。
レースはプリテイキャストが戦前の予想通りハナをきったが、第1コーナーあたりで後続を50m以上突き放す大逃げに出た。人気のカツラノハイセイコ、ホウヨウボーイが控えて互いに牽制し合う形となったため、実は遅いペースで逃げているにもかかわらず誰もプリテイキャストを捕まえに行こうとはしなかった。
かつてプリテイキャストの主戦をつとめた横山富雄騎手(横山典弘の父)とメジロファントムは遅まきながら捕まえに行こうとするものの後続を最大で100mほど、最後の第4コーナーの時点でも50mほど突き放している状態では万事休す。ゴール直前には実況していた盛山毅アナウンサーが「2番手以下は絶対に届かない!!」と叫ぶほどの内容で、同年のダイヤモンドSとおなじ7馬身差でプリテイキャストは盾を手にすることになった。人気の2頭はそろって掲示板を外す敗退となった。
その後、有馬記念に出走するも、出遅れで先頭を奪えず12着惨敗となった。最優秀5歳以上牝馬と天皇賞の盾を勲章にプリテイキャストは引退となった。
その後、ナリタブライアンが出走した菊花賞にて息子のスティールキャストが母と同じく長距離レースでの大逃げを打ち話題となり、杉本清アナウンサーも「お母さんのプリテイキャストを思い出させる大逃げ」と実況した。しかし、他に目立った産駒を出すことはできなかった。1995年6月28日、喉頭がんによる病状の悪化が深刻化したため、安楽死となった。
なお、上述のスティールキャストはその後、地方移籍後に一時消息不明となったが、後に故郷の吉田牧場で余生を送っていることが判明し、2022年3月15日に吉田牧場にて31歳で天寿を全うした。
逃げ馬として
当時3200mという長距離で行われていた天皇賞・秋で、牝馬が馬身差では表現できかねる大逃げを打ち(「60mから70mぐらい」と実況されている)、なおかつ7馬身差で圧勝したというインパクトは今でも色あせてはいない。
後続がそろいもそろって牽制しすぎたという状況はあったにせよ、そういう状況を作り出すのも逃げ馬の戦術のうちであることは間違いないだろう。
今のところ子孫に彼女を超える逃げ馬は出ていない。しかしJRA史上に残る大逃げを決めた彼女こそ伝説の逃げ馬と呼ぶにふさわしいものであるだろう。
なお、プリテイキャストは2019年現在においても3200mの天皇賞を勝った最後の牝馬である。
血統表
カバーラップ二世 1952 黒鹿毛 |
Cover Up 1943 栗毛 |
Alibhai | Hyperion |
Teresina | |||
Bel Amour | Beau Pere | ||
Love Set | |||
Betty Martin 1948 鹿毛 |
Hollyrood | High Cloud | |
Mandy Hamilton | |||
Rhoda F. | Rhodes Scholar | ||
Notebook | |||
*タイプキャスト Typecast 1966 鹿毛 FNo.13-c |
Prince John 1953 栗毛 |
Princequillo | Prince Rose |
Cosquilla | |||
Not Afraid | Count Flee | ||
Banish Fear | |||
Journalette 1959 鹿毛 |
Summer Tan | Heliopolis | |
Miss Zibby | |||
Manzana | Count Flee | ||
Durazna | |||
競走馬の4代血統表 |
クロス:Count Fleet 4×4(12.50%)、Hyperion 4×5(9.38%)
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関連項目
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