プリピャチ(Прип'ять)とは、ウクライナ北部にある市である。
概要
ウクライナ・キエフ州北部にあり、近くを流れるプリピャチ川からこの名がつけられた。ベラルーシとの国境からは16km。南に4km下った所にチェルノブイリ原子力発電所がある。事故発生当時、ウクライナはソビエト連邦に組み込まれており、V・I・レーニン共産主義記念チェルノブイリ原子力発電所という名称だった。
住民の大半は原発関連の従業員とその家族で、独身者や子供が多かった。49,360人・13,414世帯と人口は多く、当時は最新鋭のエネルギーと認識されていた原子力を積極的にソ連が推していた事もあり、近代的な建築物が揃った「未来都市」でもあった。
集合住宅や病院といった設備が整い、遊園地や屋内プール場、スポーツ競技場なども備えられていた。その一方、国家機密に関わる為に地図にも書かれない「閉鎖都市」でもあった。
しかし1986年4月26日未明、原子力発電所4号炉が爆発事故を起こす。世に言う「チェルノブイリ原発事故」である。爆発によって漏れた放射性物質が流失。放射性物質はプリピャチのみならず近辺国はおろか、ヨーロッパ各地に拡散した。
翌日には重大な事故である事が知れ渡り、14時に避難開始。市民は僅かな私物や貴重品を持って強制退去させられ、その後数か月にわたって帰還は許されなかった。最終的に住民は東に50km離れたスラブチッチ市やキエフに移住を余儀なくされた。今後900年以上は人が生活できないとされているが、ごく一部の人は近隣の集落に残り生活をしている。
現在でもチェルノブイリ・プリピャチ周辺地域は放射性物質により汚染されている為、立ち入り制限区域指定がなされている。
その一方、ウクライナの地元ツーリストがプリピャチの見学ツアーを開催しているので、ロシア語を学びガイガーカウンター(レンタルで約1,000円)を持って行けば、プリピャチを歩き回る事が可能。
ただし参加する前に「見学中やそれ以後の健康に関してはすべて自己責任でお願いします」という旨が記載された書類にサインしなければならない。それさえ覚悟すれば、ポストアポカリプスや廃墟のマニアにとっては垂涎のスポットと言える。
植物に飲み込まれつつある市街の様子や、朽ちた観覧車を擁する遊園地などはとみに有名。なおこの遊園地、開園は5月1日を予定していたが直前になって事故が発生、一度も稼働しないまま廃墟となっている。
近年ではSNSの影響で観光スポットとして人気が高まり、2018年には推計6万人が同地を訪問している。ただし上記の自己責任が必ず伴うことは忘れてはならない。
2012年、当時の住人のインタビューや事故前後の再現映像、現地の映像を記録した映画『プリピャチ』が公開された。
2019年5月6日、HBO制作のテレビドラマ『チェルノブイリ』が放送。全5回。
第4話ではプリピャチで除染作業に当たる兵士の姿が描かれており、ウォッカをがぶ飲みして作業にあたり、避難に際して見捨てられたペットの「駆除」を行うなど、陰惨な描写がなされている。
「S.T.A.L.K.E.R.」シリーズや「Call of Duty 4: Modern Warfare」などといったゲームにおいて、廃墟と化したプリピャチがプレイエリアとして登場する。特に、S.T.A.L.K.E.R.シリーズの第三作「S.T.A.L.K.E.R. Call of Pripyat」では、実際の街並みが可能な限り再現されている。
近年ではドン勝こと「PLAYERUNKNOWN'S BATTLEGROUNDS」(略称:PUBG)に、プリピャチの屋内プールによく似た施設が登場している。
余談
町全体が放射線で汚染されている影響か、奇妙な生物が目撃されている。
有名な例として1995年に緑色のムック(露名:ムッカァー)の様な生き物が2体目撃された。この生き物は頭に小さい回転翼の様な物が生えていたらしい、また”ガリガリ”という謎の音も出していたと目撃者は証言しており、色は深い緑色で全体を覆う毛はボサボサだったという。
そのうちの1体は「びゅーてぃほー」というスコットランド訛りに似た響きの鳴き声を上げていたらしい。その見た目はムック(ムッカァー)やモリゾー(露名:ムォリゾォ)に似ていたと、目撃者の商人ザカエフさんは語る。ザカエフさんはプリピャチで湯豆腐を売る仕事中にこの生き物に襲われ、左腕を食われたそうである。
しかし1ヶ月後、そこには元気に駆け回るザカエフさんの姿が!!!
「あんな怖い生き物は始めて見た、もうあそこで仕事はしないようにするよ」と、笑いながら話したザカエフさんであった。
※この「余談」の項は「Call of Duty 4: Modern Warfare」関連のネタである。
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