プロサイクリングマネージャー(英題:Pro Cycling Manager)とは、
フランスのゲーム開発会社Cynideが制作している自転車ロードレースシミュレータである。
2006年に発売された「Pro Cycling Manager 2006」以降、毎年リリースされている。
最新作は「Pro Cycling Manager 2015」。
欧州を中心に人気のスポーツ「自転車ロードレース」を題材にしたHDゲームとしては、
現状では唯一と言っていいシリーズである。
略称として日本では「プロサイ」、海外ではPCM○○(○○は発売年、PCM2013、PCM13など)で呼ばれることが多い。
本記事では、以下PCMと記載する。
なお、動画タグでは「Pro_Cycling_Manager」の表記が多く使われている。
概要
PCMは、プイレヤーが自転車チームの監督となり、選手に指示を出しながらレースの勝利を目指すシミュレーションゲームである。
レースシーンは3D描画で表現され、周囲の景観や集団で走る選手たちの迫力は年々進化。最新作になるほど相応のPCスペックが要求されるが、その要求を満たす価値はある。ヨーロッパの公道をワラワラと駈ける自転車集団は、初見なら驚くだろう。
シミュレーション要素は見た目だけでなく、チームの運営・経営をする「キャリアモード」にもある。選手の育成や契約、スポンサー探しなどの要素も加わったPCMの本編であり、延々と楽しむことのできる、終わりのないゲームモード。
ハマすぎて気づいたら朝・・・なんてことにならないように。
更にPCM2015では自分が1人の選手となり、ロードレーサー選手としてのキャリアを楽しむ「サイクリストモード」が追加された。(海外で発売されているPS3、XBOX360版等はむしろこちらのモードしかなかったので、ある意味モードの逆輸入である。)自分で選手としての素質や脚質も決められるので、下部のコンチネンタルチームのエースとなり、チームをツール・ド・フランスに導くもよし、流浪の選手として世界のトップチームを渡り歩くもよし、アシストに人生を捧げ仲間の優勝を影から支えることもできる(能力が高いと無条件でエースにされますが...)
面白いの?難しくない?
日本ではいまだマイナースポーツで、ちょっと見ただけではルールを理解しにくい自転車ロードレース。観戦歴が浅い人は、PCMをプレイしても途中で脱落してしまう人も多いようだ。その上PCMのゲーム内にはチュートリアルがない(2008には存在)。さらに2009年以来、日本語にローカライズされた作品がリリースされておらず、PCM2013では”日本語説明書付き”なるものが発売されたものの、本編は海外と同じ完全英語(または欧州各言語)版である・・・。
と、なかなか最初のハードルは高いのは事実。
ただし使われる英語はGoogle翻訳でも十分に対応できるレベル。長い文章を読むようなゲームではないので、”動かし方”さえわかれば遊べてしまう。
そして題材であるロードレース自体も、中には100年以上の歴史を持つレースが存在している競技である。
面白く無いはずがない!
『英語だから』『自転車よく知らないから』でやめてしまうのはもったいないゲームである。
どんな風にレースするの?
PCMでは1レースに数10~200人以上が参加する。
自分のチームはだいたい6~9人程度で構成される。
ルールブック的には個人競技のスポーツなので、一言で表現すると
と言える。まさにレース。
しかし現実的には一人でこれを成し遂げるのは困難を極める。
なぜなら風(空気)の抵抗があるから。
例えば200Kmのレースを走る間(約6時間)、常に風の抵抗を受けながら走るのはあまりに無策である。
そこで・・・
①アシストと呼ばれる選手に先頭を走ってもらい、風よけとして集団を牽引をしてもらう。
②最後に温存していたエース選手で、勝利(一位)を狙う。
というやり方で戦うことになるのである。
ただ、①を自分のチームだけで行うのも嫌なので・・・
ⅰ他のチームと協力して順番に牽引する
ⅱ他のチームが引くのをひたすら付いていく
といった選択肢も生まれる。
特にⅱでは敵チームの消耗を誘うという、この競技における攻撃手段である。
いかにして、「敵が引かざるをえない状況を作るか」は最も重要な駆け引き要素。
これがロードレースにおける戦いであり、戦術である。
時に協調し、時に敵を裏切り、しかし体面は紳士を繕い、スキあらば容赦なく攻撃し・・・
ロードレースではこれを分単位、時に秒単位で考え、行動を起こす必要がある。
幸いなことにPCMはゲームなので、好きなときに時間を止めて、お茶をしながらじっくりプレイすることも可能なのでご安心を。
具体的にどうやって操作するの?
言語の壁で説明書などを熟読するのが困難な方もいるだろう。もし読めたとしても、テキストだけではわかりにくい操作もある。そもそも戦術については説明書に記載などはない。
そういうあなたに以下の動画をオススメする。作品によって多少マイナーチェンジはあるものの、基本はすべて共通していのでいずれも参考になる。
有志の方たちの解説を見れば、格段に早くステップアップができるはずだ!
選手の能力・脚質
PCMでは次のように選手の能力が表現される。選手たちの個性を決定づける大切な項目である。覚えると単純に攻略をする上で重要なのはもちろんだが、PCM動画をさらに楽しむ助けにもなる。
項目は適度に多いので、最初は下の表を片手にプレイor動画をみながらゆっくり覚えるといいだろう。
FL | 平坦を早く走る能力。 選手の重要な能力の一つで、基礎中の基礎といえる。 勝負を決する能力にはなりにくいが、中盤までの道のりで体力を温存できたり、 集団を牽引するアシストにとっては不可欠な能力である。 |
HIL | 丘陵を登る能力。PCMでは距離の短い登坂で必要になる。 一般的に距離の短くて斜度のキツイ坂を『激坂』とも言う。 |
MO | 山岳を登る能力。長い距離の登坂で必要になる。 標高数百m以上の山が登場するレースでは、この能力が勝負を決する。 ステージレースでも敵にタイム差をつける重要な能力である。 |
DH | ダウンヒル、下りの能力。山岳コースの下りでより足を休めやすくなるので割と役立つ。 選手によって得意不得意が極端なのも特徴。 ダメな人は本当にダメ、デキる人は超高速で下ることもできる。 勝負を決するほどの差をつけにくいのが難点。 |
SP | 平坦でスプリントをしたときの速度。PCMでのスプリントとは、 ゴール前で行う全力のダンシング(立ち漕ぎ)のことを指し、ゴール付近でなければ選手に指示できない。 平坦ではこのSPとACCがスプリントに必要とされ、これらが高い選手をスプリンターと呼ぶ。 |
ACC | 選手の加速力。スプリントをした時などに重要となる。 平坦でのスプリントはもちろん、山岳スプリントでも必要になる。 |
TT | タイムトライアル(以下、TT)での能力。TTは一定の距離を一人で走り、そのタイムを競う形式。 一般のロード形式のレースとは大きく異り、得意不得意はかなり大きい。 真の走る力が試され、長時間を高い出力で走りきれる能力と忍耐が試される。 |
PRL | プロローグでの速さを表す。プロローグとはステージレースの初日に開催される短いTTのことを指す。 TTが得意な選手は総じて高いが、一部にはPRLだけが高い選手もいる。 |
STA | スタミナ。持久系スポーツのロードレースに必要不可欠である。 PCMの最重要項目の一つで、特に200Km以上のレースや連戦が続くステージレースで効果を発揮する。 スタミナが減ると本来の力が発揮しづらいので、他が高くてもSTAが低い場合は注意。 逆に短距離のレースでは効果を体感しにくい。 |
RES | レジスタンス。心拍計隣にあるの黄色いバーが減りにくくなる。 黄色い心拍が続く高速巡航で体力を温存できる。 やや効果を体感しにくく、有名選手も低めに抑えられているので、 海外ファンの間でも存在意義に疑問があがっている謎能力。検証がひつようか。 |
REC | ステージレース開催中の回復力。翌日に持ち越す疲れを軽減することができる重要な能力。 1日だけのレースでは効果はなし。特に10日ちかいのレースになるとこの能力による差は顕著になる。 ツール・ド・フランスのような大会に挑むなら他の能力が低くとも、見るべき価値がある。 ただしあくまでも翌日の疲れが軽減されるだけで、蓄積した疲労は減らない。 PCM2013では疲れシステムに変更があったため、要検証。 |
COB | 石畳をはしる能力。一部のレースに配置された石畳ゾーンで、心拍数の上昇を抑える。 得意不得意が凄まじく、2,3の差があるだけで雲泥の違いを生む。 石畳のクラシックレース(ツール・デ・フランドル、パリ~ルーベなど)は難度が高いので、 初心者は気にしなくても問題ない。 |
FTR | CPUが操作する時のアタックをする頻度。プレイヤー操作時には効果はない。 選手をエディットしたり、架空の選手を創作する際に攻撃性を表す値として活用しよう。 高くしすぎると早めのアタックで自爆することも多いが、能力が高い選手の場合は大きな差で逃げ切ることもある。 |
MOD・改造
PCゲームのご多分にもれず、MODや専用のエディタを使うことでさらに深く楽しむことができる。PCM本体には毎作データベースエディタが同梱されており、選手の新規作成、能力変更ぐらいであれば簡単に行うことができる。(画像系のエディットやキャリアモードのお金や契約などを変更するには、有志の別エディタが必要になる。)
MODについてはPCM.dailyからリリースされているExpantion Packが特に有名。事実上、世界のファンコミュニティの中で最高品質のPCM用MODを毎回制作している。容量はかなり重たいものの(PCM2013用は13GB以上!、更にPCM2015を最新の2016年データに変更するものにいたっては、26GB!もあり、もはやゲームが2つ3つは作れるレベルのデータ量である。)、これを適用するだけでゲームの価値が2倍以上になると言っても過言ではない。ぜひ利用したい。
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関連項目
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