バイパー(Viper)とは、ヘンリースが発売するヨーヨーの名である。
ハイパーヨーヨーでの名前は「ハイパーバイパー」。
概要
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長らくジャグリング用品を製造販売しているヘンリースが、ディアボロの技術を活かして作ったヨーヨー。
1997年頃に初期型が発売された後、何度かモデルチェンジを経て現在も発売され続けている。
最大の特徴は、アルミ製ハブにゴム製のボディをはめこんだ、ディアボロにそっくりな見た目。
他のヨーヨーのように「ヨーヨー本体にゴムリングをはめ込んである」のではなく、ボディそのものがゴムであるため、衝撃吸収力はダントツ。キャッチしても痛くないし、地面に激突させても壊れない。
また、当時はたいへん珍しかった、ボディのネジ部分を締めたり緩めることでストリングギャップ(溝幅)を調整できる機構を搭載していた。
90年代は、ほとんど唯一のオフストリング機として市場を独占した。2000年代には「ヨーヨージャム・アクエリアス」や「ダンカン・フライングパンダ」などが登場し、トーナメントモデルはそちらが主流となった。
大会での主役は他機種に譲ったものの、バイパーはジャグリング用品のヘンリースらしく、鮮やかな色使いでとても人目を引く見た目である。そのため、パフォーマーからの評価は依然として高い。
2020年代現在、他社オフストリング機はポリカーボネートやデルリン製が主流となり。ラバーリムボディはトーナメントモデルとしては絶滅した。
しかし、練習中に落としても大きな音がしない、手に当たっても痛くない等の理由、そして何より本機自体に対するノスタルジーにより一定の需要はあり、2022年に本機をモデルとした「リワインド・バイパーリミックス」が登場した。
オフストリングモデルとしての歩み
オフストリングトリックの創始者は、スピンタスティクス社長・デイル・オリバーである。
彼はヨーヨーからストリングを外してプレイするという前代未聞のプレイスタイルを作り出したが、使っていたヨーヨーは、自社のタイガーシャークだった。
当時「ギャッピング」と呼ばれていたオリバーのプレイは、自社でも発売しているディアボロの動きにヒントを得たものだが、その頃にちょうどディアボロのような見た目のヨーヨーが発売された。バイパーがオリバーのプレイスタイルに最適であることに気づくのに、時間はかからなかった。
様々な技が研究され、最終的にはデイヴ・シュルトらによってまとめられた。
バイパーがハイパーヨーヨーとして発売されると、コロコロコミックはバイパー専用トリックとしてオフストリングを盛んに取り上げ、デイヴ・シュルトやジョン・ゲイツらからなる「チーム・ハイパーバイパー」を結成するまでになった(『超速スピナー』に登場する「チーム・バイパー」とは異なる)。
バイパーとそのプロモーションが日本人プレイヤーに与えた影響は大きく、90年代後半には多数の日本人プレイヤーがオフストリングを嗜んだ。
2000年には長谷川貴彦をリーダーとするチーム・オフストリングが世界大会チーム部門で優勝。同年、三居弘典がX部門にて初代オフストリング世界チャンピオンに輝く。
その後は硬質ラバーリムモデルが、のちにポリカーボネートやデルリン製ボディが主流となり、軟質ラバーリムであるバイパーはトーナメントモデルからは身を引くことになる。
2010年のモデルチェンジ後は、見た目のインパクトからパフォーマンス用として利用されている。
モデル
バイパー(クラシック)
初代。ゴム製ボディ・可変ストリングギャップ・レスポンスシステムなしと、当時のヨーヨーの常識を覆す設計は、多くのヨーヨープレイヤーに驚きをもって迎えられた。
バイパーそのものの評価も高かったが、ヘンリースはジャグリング用品メーカーの性として、バイパーのラバーシェルを単品で販売していた。
すなわち、これを買って少し加工すれば、いろいろなヨーヨーをオフストリングモデルに改造することができる。
2000年代初頭はヨーヨーのMODS(改造)が隆盛を極めていた時代であるとともに、まともなオフストリング機がバイパーしかなかった。そのため、「この機種にラバーウイングがついていたらなあ!」と夢想するプレイヤーが後を絶たず、旋盤の心得のある者はひたすらバイパーシェルを削り続けた。
こうしたMODプレイヤーの創意工夫が、2000年代以降のオフストリング機の改良につながるのである。
前述のとおり、他社がオフストリング機を出すと、バイパーは他機種に比べてトラピーズ有効幅が狭いという点が問題となり、トーナメントモデルの座からは下りることになる。
しかし、その後もかなり長いこと「バイパーで○○ができる」がオフストプレイヤーのステータスとなっており、縛りプレイを兼ねての練習機としての需要はあった模様。
ハイパーバイパー
ハイパーヨーヨー版。性能はクラシックバイパーと同じ。
定価7500円(税抜)は第1期ハイパーヨーヨーでは最も高価なモデルであり、現在でも「ヨーヨーファクトリー・アクロナイザー」の8000円(税抜)に続いて2位である。
ハイパーヨーヨーのオフストリングモデルは、他に「ハイパードラゴン」にオフストリングプレイタイプボディをつけたものしかない。
ハイパードラゴンはただでさえ強度が低い機種で、オフストリングなどしたら落とした途端に爆発四散するという致命的な欠陥があった。したがって、バイパーは現在に至るまで事実上唯一のオフストリングモデルとなっている。
前述の通り、日本人プレイヤーにオフストリングを普及させるフラグシップモデルになった。
これ以外にも、「バタフライシェイプ」「顔面に当たっても痛くない」という特徴からシュート・ザ・ムーンの練習機としても使われていた。
バイパー(AXYS)
最初のモデルチェンジ。ヘンリースのヨーヨーは、これ以降2010年のフルモデルチェンジまで、軸回りの仕様をAXYSシステムに統一した。
軸・ギャップ調整機構・ベアリングが一体化しており、これを交換すればボールベアリング・プラスティックベアリング・木製固定軸と好きな軸回りにすることができる。
固定軸にしてどうするんだと思うかもしれないが、ディアボロには「エレベーター」などの固定軸でしかできないトリックがあるため、ディアボロメーカーでもあるヘンリースとしては当然の選択肢であったと考えられる。
画期的な仕組みではあったものの、トラピーズ有効幅は旧バイパーと同じであったため、これをオフスト機として使用するのはかなり渋いチョイスという評価にとどまった。
相変わらずシュート・ザ・ムーンの練習機としては密かに評価が高かった。
バイパーNEO
2010年に完全モデルチェンジが行われ、近年のトレンドに沿った仕様になった。
トラピーズ有効幅は59mmと一気に倍になり、レスポンスシステムはシリコンパッド、ベアリングは大径のDサイズ、ボディ形状はストリングが当たりづらいステップ形状。
現在のオフストリング機では主流の機能が揃っていながらも、形状と性能は「バイパー」であり、バイパー愛好家の「こんなバイパーがあったらいいのに!」というリクエストに見事に応えた形となった。
ただし、直径は以前と変わらず65mmで、オフストリング機としては小さめである。
バイパーNEO XL
バイパーNEOの巨大シェルバージョン。
「マイクロディアボロ」に使われる79mmラバーシェルを使用しており、現在のオフストリング機の主流と同じサイズになった。
バイパーには元からマイクロディアボロのシェルが無改造でつくようになっていたが、これを公式化したものといえる。
鮮やかな見た目からストリートパフォーマーの支持を得ており、路上や公園のパフォーマンスではよく見るモデルである。
最大の特徴は重量。106gという重さは、金属リム搭載機種である「ヨーヨージャム・レクストリーム」の89gを大幅に上回る。これより重い機種は、人間が扱えるものでは「C3ヨーヨーデザイン・BTH」(220g)ぐらいしかない。これはスリープレコード専用機なので、まともにトリックができるヨーヨーとしては本機がぶっちぎりの重さである。
それだけにに抜群の安定感を誇り、ラバーリムで公式戦に向かないことを除けば、オフストリング機として優秀なヨーヨーとなった。
オンストリングで用いると腕を痛めるおそれがあり、推奨されない。
バイパーフラックス
バイパーNEOのFLUXシステム搭載モデル。
軸の部分がヨーヨーとは独立して回転するようになっており、ヨーヨーファクトリーの機種に当時ついていた「ハブスタック」と同様、ハブ部分を持ってストリングを引くだけで、簡単にヨーヨーを回せるようになっている。
オフストリングの基本である「フォワード・パス・マウント」ができなくとも、お手軽にオフストリングの雰囲気を味わうことができる。
派生機種
コブラ
廉価版。AXYSバイパーのプラスティックベアリング版。
ハブはアルミからプラスティックになっている。
AXYSシステムを取り替えれば、バイパーとほぼ同等の性能になる。
ボールベアリングにするなら素直にバイパーを買えばいいような気もするが、コブラはラバーシェルが専用の透明なものであり、見た目の美しさに惹かれるプレイヤーも多い。
そして、例によってコブラのラバーシェルも単品販売されていた。こちらは、プラスティック用染料を使うと鮮やかな半透明カラーになるという特徴があり、やはりMODプレイヤーにいじくられることになった。
後期モデルでは、シェルが最初から半透明カラーになったものも発売されている。
バイパーリミックス
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https://twitter.com/rewind_shibuya/status/1502809182982004742
ヨーヨーストア リワインドとSUS YOYO MECHANICSが共同開発した「バイパー」の新モデル。
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