ヘヴィファイトとは、甲冑を着用し、木(ラタン)製の武器で戦う戦闘ゲームである。
日本でも近年存在が認知されつつある。
概要
発祥はアメリカの団体「Society for Creative Anachronism」(通称SCA)とされる。
1966年に設立されたアメリカのバークレー大学のクラブで、17世紀以前の中世史・文化の勉強および研究を行っていた。その中で白兵戦を再現するため、フェンシングのマスクを着用して木製の剣と盾で戦う、スポーツチャンバラのような単純な競技を行っていた。
やがて本格的な活動が始まり、歴史研究や実践の他にも当時の料理や衣装の調理・製作、流行していた音楽やダンスの再現など、活動内容が充実。そうした中で研究の一環として甲冑の製作が始まり、実際に着用して戦闘を再現するようになる。こうした流れは当然のように加速し、アルバレストや投石機などの攻城兵器を作る剛の者まで登場した。
現在では会員総数は6万人を超えている。活動にはヘヴィファイトの他にも弓競技や乗馬のほか、中世における文化的活動の研究・再現も盛ん。
また地方支部や役員は架空の領土である「王国」および国王から任命された「役人」として扱われるなど、徹底的かつ大真面目に楽しむ仕様となっている。ちなみに日本は「ウェスト・キングダム(西方王国)」に含まれている。
なお、ヘヴィファイト以外にも「甲冑を装備して戦う」という競技は存在しており
- HMB(Historical Medieval Battle:国際大会『Battle of the Nations』が有名)
- BR(Battle Reenactment:大人数による歴史再現)
- HEMA(Historical European Martial Arts:武術としての剣術研究)
などの団体・ジャンルがあり、それぞれのスタンスで楽しんでいる。
一見危険そうなヘヴィファイトだが、実際には参加者の安全に相当の配慮を行っている。
甲冑の強度や近接武器の素材・重量などのルールが厳密に定められており、人体保護の為に史実よりも頑丈な強度になる事もしばしば。また甲冑の下に着用するクッション材やファウルカップなどで、重ねて怪我をしないよう配慮している。
一般的なヘヴィファイトではこういったレギュレーションを遵守した「17世紀以前のあらゆる地域における装備」の使用が認められている。この為バリエーションは極めて多彩で、十字軍やヴァイキング、日本の武士、何処かのゲームや映画で見たような戦士など、参加者は思い思いの甲冑を着用する。
(そして2018年秋、フロム・ソフトウェアのダークソウルシリーズに登場する上級騎士装備があーまーまにあ氏の手により現実のヘヴィファイトに耐えうる強度で作成される)
ただし装備は総じてお値段が高く、揃えるとなるとそれなりの出費が必要となる。(最安値で10万円前後と考えてよい)その為イベントにおいては甲冑のレンタルの他、参加者同士での貸し借りが行われる事もある。
海外のメーカーに発注をかけてフルオーダーでマイ甲冑を製作する人もあれば、レギュレーションを遵守して手作りで装備を作る人もあり、それぞれの好みがおおいに反映されている。
戦う形式も多様で、一対一で戦うトーナメント戦が最もポピュラー。
更に大きなイベントとなると多数の参加者による集団戦、特別に製作した砦を攻め、あるいは守る攻城戦などがある。特に集団戦では大きいものになると参加者3000人近くを数えるなど、大変な賑わいとなる。
海外での各種団体におけるイベントは文字通り「お祭り」で、壮麗な甲冑に身を包んだ参加者や、中世の風俗を再現した天幕では料理や酒が振る舞われ、演奏やダンスが披露される。
そもそもヘヴィファイトは「ガチ考察勢によるコスプレ」という一面もある。歴史上の大規模戦闘の再現はもちろん、村人や貴族、貴婦人に扮した人々が花を添えるなど、目で見て楽しめるイベントである。
日本においてはまだまだマイナーな競技であり、都市圏に活動が限られている。
しかし随時体験参加者やメンバーを募集しているので、興味が沸いたら調べてみるといいかも知れない。
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