ベイマックス(原題:Big Hero 6)とは、ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオ製作のCGアニメーション映画(ディズニー映画)である。
概要
2014年12月20日公開(日本)。本国アメリカでは2014年11月07日公開。同年10月23日、 第27回東京国際映画祭のオープニング作品として、世界で初公開された。ジョン・ラセターは、日本へのラブレターとして、東京で世界で初めて公開することにとても意味があると語っていた。
上映時間は102分。2Dのほか、3D上映もなされた。
日本ではウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパンが配給した。
監督はドン・ホールとクリス・ウィリアムズ。
ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオ製作としては54作品目。初のマーベルコミック原案である。
同時に、長編映画として初めて「日本」をテーマにした。東アジアではムーランに続き、2作品目。初の日本人主人公作品、日本を題材にした世界観となっている。
またマーベルコミックが原案の為、それまでの童話等を元にしたファンタジーでもSFでもない近未来を扱っている事。主人公達が発明品を武器に活躍すること等々、それまでのディズニー映画とは大きく異なる作品となっている。
前作のアナと雪の女王では重要な要素であったミュージカルもなく、文字通りスーパーヒーロー映画を見ている感覚で楽しめるだろう。
原作はマーベルコミックの『ビッグ・ヒーロー・シックス』。日本を舞台に日本人ヒーロー6人が活躍するという内容だが、知名度は低く、日本に至っては原作登場人物の一人であるシルバー・サムライがゲームやアニメに顔見せした程度の認識。
ただしあくまで原案な為に原作の基本設定と登場人物のみが流用されている本作は初見でも問題なく視聴できる。
あらすじ
謎の事故によって最愛の兄タダシを失ってしまった、14歳の天才少年ヒロ。
幼い頃に両親を亡くしたヒロにとって、唯一にして最愛の存在であった兄の死は余りにも耐え難く、彼は深く心を閉ざしてしまう。
そんな彼の前に突如現れたのは、空気で膨らんだ白くて大きな体を持つベイマックス。
彼は、亡きタダシが人々の心とカラダを守るために開発したケア・ロボットだった。
大きすぎる心の傷を負った少年と、傷ついた人を癒すために作られたロボット──その出会いは、宿命だった。
「どのくらい痛いですか?」「泣きたい時は泣いていいのですよ」
ベイマックスの献身によって、ヒロは少しずつ元気を取り戻していく。
兄の死に疑問を持つヒロは手がかりを追うが、何者かに襲われ辛うじて難を逃れる。
世界の脅威となる巨悪の存在に気づいた彼は、兄のために戦う決意をするが、彼の味方は戦闘能力も戦闘意欲もゼロの、優しすぎるケア・ロボットしかいない。
だが、ヒロはまだ気づいていなかった。兄タダシがベイマックスに託した、驚くべき“本当の使命”を…。
主な登場人物
- ヒロ・ハマダ (CV:ライアン・ポッター 吹替:本城雄太郎)
主人公。架空都市サンフランソウキョウに住む14歳の少年。
高校を飛び級で卒業するほどの天才だが、ロボットによる違法な賭け試合に参加したりと遊び呆けていた。両親を3歳の時に亡くし、唯一の味方で理解者であった兄タダシによって大学への進学を勧められていたが、謎の爆発事故により兄を失ったことで引きこもってしまう。
ロボット工学において天才的な才能を有しており、彼の発明品が物語に大きく関わる事となる。
原作での名前は「タカチホ・ヒロ」。東京都世田谷区出身。映画とは違いベイマックスを作り上げた張本人。
- ベイマックス (CV:スコット・アツィット 吹替:川島得愛)
ヒロの兄タダシが開発した、心と体を癒やすために生まれたケア・ロボット。
風船のような白い体には空気が詰まっており柔らかく、数多の医療データからスキャンした人物の体調や感情を判断することが出来る。AED機能も持つ。人を傷つけることを禁じられており、当初は戦闘意欲や戦闘能力も持っていなかったが、ヒロの手によって空手と飛行能力を得ることとなる。
カーネギーメロン大学のロボット工学部が開発中の「柔らかいロボット」から着想を得た。
なお可愛らしい顔は、新宿・花園神社の鈴を下から見上げた際の様子から創造された。
原作ではヒロが作り上げた人造生命体。ヒロの保護者兼親友兼ボディーガード。普段はガタイの良い中年男性の姿をしているが、戦闘時にはドラゴンやロボットのような形状に自在に変形できる。しかし本作ではヨチヨチ歩きのほうが親しみやすい、ということで赤ちゃんの動きを採用し、大幅な設定変更が加えられた。
- ゴー・ゴー (CV:ジェイミー・チャン 吹替:浅野真澄)
タダシの友人であり、科学オタク部所属。
電磁サスペンションを専門に扱い、運動神経抜群で運転センスも高い。自身の発明品を利用したパワードスーツ装着時には手足の車輪によって縦横無尽に駆け回る。
原作では栃木県宇都宮市出身の元暴走族。本名「タナカ・レイコ」。逮捕されたのちは自身の身体をエネルギー化して突撃する特殊スーツのテストパイロットをしていた。
- ワサビ (CV:デイモン・ウェイアンズ・Jr. 吹替:武田幸史)
タダシの友人であり、科学オタク部所属。
レーザー誘起プラズマを研究しており、緊急時でも几帳面であり神経質。自身の発明品を利用したパワードスーツ装着時には両腕のレーザーブレードであらゆるモノを切り刻む。
原作では「ワサビ・ノー・ジンジャー」という名の寿司職人。本名かどうかは不明(直訳すると「ワサビはショウガではない」になるが、「しょうがないからワサビ」というダジャレという説もある)。二刀流の達人でもある。
- ハニー・レモン (CV:ジェネシス・ロドリゲス 吹替:山根舞)
タダシの友人であり、科学オタク部所属。
科学のエキスパートで様々な薬品を調合可能。常に前向きでテンションが高い。パワードスーツ装着時には様々な性質を持つボールを生成可能なカバンを活用する。
原作では元東京理科大学院生で、マーシャルアーツの達人であり、内閣秘密調査室のスパイ候補生だった。パワーパースと呼ばれるカバンから自分が考えうるあらゆる道具を取り出すことができる。本名は「ミヤザキ・アイコ」。
- フレッド (CV:T・J・ミラー 吹替:新田英人)
タダシの友人であり、科学オタク部所属。
怪獣をこよなく愛し、着ぐるみを着るほどのマニア。マイペースで別の意味でもオタクっぽい。驚異的なジャンプ力と火炎放射能力を持つ怪物型パワードスーツで暴れ回る。
上記三名の渾名を考えた張本人であり、その為かフレッドのみ本名。
原作ではアイヌの子孫。物理的干渉が可能な怪物型のスタンド幻影を操る能力を持つ。
- ロバート・キャラハン教授 (CV:ジェームズ・クロムウェル 吹替:金田明夫)
タダシたちの教授。 - アビゲイル・キャラハン(CV:ケイティ・ロウズ 吹替:植竹香菜)
キャラハンの娘。キャラハンが開発していた、瞬間移動装置のテストパイロットを務めていた - アリステア・クレイ (CV:アラン・テュディック 吹替: 森田順平)
大企業の社長。科学の発展よりも自己の利益を優先し、汚い手を使い出世してきた実業家。 - モチ
ハマダ家が飼育している三毛猫。 - ヤマ(CV:ポール・ブリッグス 吹替:立木文彦)
巨漢の男。ロボットファイトの親分。
舞台
架空の街、サンフランソウキョウ(サンフラン奏京、奏京府、旧京山[1])を舞台としている。サンフランシスコ(アメリカ合衆国カルフォルニア州)の地形上に、日本の東京を組み込んだ街となっている。
なおこの街を製作するため、ディズニーは新ソフト"Hyperion"を開発した。
モデルと思われる場所・建造物
- 秋葉原
- 東京都心ビル群
- 神楽坂 - カーチェイスが行われた。
- 東京工業大学 - サンフランソウキョウ工科大学が建造物、敵のツバメマークが校章に極似。
- 国立新美術館 - サンフランソウキョウ工科大学の建造物。
- 上野東京国立博物館本館と東京国立博物館法隆寺館 - ヒロのプレゼン会場。
- 東京スカイツリー - ヒロのプレゼン中に登場。
- 旧岩崎邸庭園 - フレッドの豪邸。
- 東京駅 - 警察署
- 中央線
主題歌
IAのStoryは、既に2005年にリリースされていた楽曲である。ただし英語バージョンは未発表だった。今回は日本語版限定の主題歌として採用された。
楽曲と作品には「大切な人がいついなくなってしまうか分からないから、この瞬間を大事にしていきたい」「兄弟愛を描いている」という共通点がある。(IAも家族に妹を持つ)
Fall Out Boyは、アメリカ合衆国の4人組ロックバンド。
なお米国版予告編BGMに採用された楽曲は、Greek Fireの"Top of the World"である。
その他
- またしても[2]、日米における宣伝方法の差異が話題に。
予告編では、日本版が心温まるロボットと少年との絆を描いた感動映画とされた。しかし原版(米国版)では原作を彷彿させるバリバリのロボットアクション映画という、ほぼ真逆の宣伝方法が採られた。
映画名も、米国版は原作アメコミと同じ"Big Hero 6"だが、邦題はキャラクター名「ベイマックス」。
これに対し、映画鑑賞後「感動路線ではなく、バリバリのロボットアクション映画だった」と捉えた観客を中心にギャップの声が聞かれる(タイトル詐欺、予告詐欺、広告詐欺など)。
ただし米国版で物語上の感動的要素が省略されている、というわけではない。
- 概要の記載通り、当作品には「日本への恩返し」が込められているという。物語・キャラクターの要素にはドラえもん、トトロ、鉄人28号やマジンガーZ、ロックマンエクゼ、ピカチュウの要素があると指摘する声もある。またベイマックスをトトロに見立てたオマージュイラストも発表された[4]。
- 中国大陸版と韓国版では、日本的な要素を含む図画・設定を一部変更している。サンフランソウキョウ中の日本語表記が英語に置き換えられ、キャラクター名も変更された[5]。なお、香港版と台湾版に変更点はない。
残念ながら政治的意向によるものと推測される。
- アナと雪の女王、シュガーラッシュ、塔の上のラプンツェルのスタッフが製作に関与している
- 2015年8月16日、スクウェア・エニックス発売(ディズニー提携)のアクションゲーム「キングダム ハーツⅢ」へのキャラクターとサンフランソウキョウのステージ採用が決定した。カリフォルニア州アナハイムで開催されたディズニーのイベント"D23 Expo 2015"にて。ゲーム内での物語は、映画の続編内容となる予定である[6]。
関連動画
関連サイト
- ディズニー公式サイト
- ベイマックス - Wikipedia
- ベイマックス - ピクシブ百科事典
- Big Hero 6 - ピクシブ百科事典
- Big Hero 6 (film) - Wikipedia
- Big Hero 6 - Disney Wiki
- Big Hero 6 - IMDB
関連項目
脚注
- *Jiù jīng shān。中国語。ただし政治的意向が働き、本来の中国語名である、旧金山(Jiù jīn shān)に戻された。
- *前作・アナと雪の女王において、Frozenを”アナと雪の女王”、Let It Goを”ありのままで”などと意訳したことが、やりたい邦題と捉えられた。特にLet It Goでは日本語翻訳は”自信たっぷりな自立した女性”であるが、原作英語版は”仕方がないから吹っ切れている(少し後ろめたい)印象”を与えた。しかも日本語翻訳のLet It Goは映画作中内容と異なるイメージを抱かせたために、観客に大きなギャップを与えた。また日本版は女性向けだと強く宣伝したが、米国版では老若男女万人向け映画という印象を持たせた。
- *【映画】ベイマックス・日本語上映版とアメリカ上映版の違い【ネタバレ感想】(ブロマガ:ゆきをはのり塩食べたい・2015年1月4日)
- *宮崎駿監督に敬意を込めて、『ベイマックス』で『となりのトトロ』のオマージュ!(2015年1月14日)
- *大ヒットアニメ「ベイマックス」、中国語版・韓国語版では“日本要素”が削除されていた件について(高口)(2015年6月30日)
- *【速報】『キングダム ハーツIII』に『ベイマックス』のワールドが登場することが明らかに!(ファミ通・2015年8月17日)
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