ベングリオンとは。
- イスラエルの国父と言われる、イスラエル初代首相ダヴィド・ベン=グリオンのこと。
- イスラエルの都市テルアビブにある国際空港『ベングリオン空港』のこと。元ネタは1。
- イスラエルの戦車『ショット』及び『ショット=カル』に対し、当時の西側メディアが勝手につけた通称。
元ネタはやっぱり1。
以下、この項目では3.について述べる。
ねんがんの、せんごだい1せだいせんしゃをてにいれたぞ……あれ?
イスラエルは建国後世界中から中古戦車を買ったりスクラップと言う名目で買ったり敵国から盗んだり(←実話らしいです……)して機甲戦力を整えた。そんな時イギリスの当時の主力戦車であるセンチュリオンが、次期戦車チーフテンへの更新で大量に放出されると言う情報をキャッチした。センチュリオンといえば当時の西側最強戦車。これは買いだ! とばかりにイスラエルはとりあえず60両ほど購入してみた。
ところが。こいつはとんでもない駄々っ子だったのである。
- 燃費悪すぎ。エンジンは航空機用エンジンを転用したガソリンエンジン。200kmも走りません。ついでによく燃えますorz
さらに砂漠では吸気フィルターが詰まってすぐオーバーヒートを起こします。 - せっかくの英国ご自慢の20ポンド砲があたらない。目標との距離が長いと急速に散布界が広がる(=着弾位置がバラける)。砂漠でアウトレンジ(敵より遠いところから弾を撃って攻撃する)出来ないとまずい。
- ブレーキが過熱してベーパーロックやフェード現象を起こす。ぶっちゃけ、下り坂だと止まらない。
とまぁ問題だらけの戦車だったのである。あまりのアレっぷりに戦車兵の中には乗車拒否を起こす奴まで出る始末。
さぁどうするか。イスラエル機甲師団の父であり、後にメルカバ戦車を生み出すイスラエル・タル将軍とイスラエル陸軍開発陣の苦闘が始まる。
とりあえず生中戦車砲。
アウトレンジ出来ないと独立したばっかりのシリア軍のいい的だ。そう考えた将軍たちはとりあえず主砲を英国本国と同じロイアル・オードナンス(王立造兵廠)製『L7A1』105mmライフル砲[1]に交換する事にした。L7A1はそもそもセンチュリオンの主砲更新用に作られた大砲で、当然イスラエル所有のセンチュリオンにもすんなり収まった。改修済みの戦車は『ショット』(ヘブライ語で『鞭』)と命名され、ゴラン高原に居座るシリア軍のIV号戦車(!)やらT-54やらをその鞭でしばき倒し、第三次中東戦争を勝利に導いた。
こんどこそ、ねんがんのだい2せだいせんしゃを、てにいれたぞ!……あれ?
はい、そこ数字が違うと言うな。第三次中東戦争後、センチュリオン改めショットは大改修を受けることになる。
- エンジンがボロ。燃費悪くて航続距離ないしガソリンエンジンだからよく燃えるし!
→エンジンをM48[2]と同じアリソン社製ディーゼルエンジンに交換。燃費も上がって燃えにくいし砂漠でも平気。さすが世界の鉄火場で酷使されているアメリカ製。ついでに先に配備されたM48スーパーシャーマンと部品が共通化できて兵站の負担も減る。しかしエンジンが前よりでかくなって入らな……傾けたら入っちゃった[3]。エンジンルーバーは車体後上部をばっさり切って面積の広いものに交換したらM60ぽくなった。 - 下り坂で止まらないブレーキをなんとかしろ
→油冷式ドラムブレーキに交換。砂漠でも冷え冷え。よく止まります。
こうして改良の結果、第1世代どころか第2世代戦車としての能力を手に入れたセンチュリオンは『ショット・カル』と名づけられ、第四次中東戦争やレバノン内戦を戦い抜いている。幸いな事にセンチュリオンはこうした魔改造を受け入れることが出来るだけの余裕を持った車内容積を持っていた。そもそもの良好な足回り、優秀なサスペンションとキャタピラを所有していたセンチュリオンは戦後第一世代戦車として最も早く出現したにもかかわらず、このショットの活躍で最優秀戦車と言われるようになる。余談だが南アフリカのセンチュリオン改造戦車『オリファント』はショット・カルそっくりの改造を受けているが、これもイスラエル指導の下と言われている。
『他国が戦車を売ってくれなかったらどうする? たとえ他国の戦車を買えても、使えなければ意味がない』
こうしてイスラエルはセンチュリオンの改修経験を元に、自国開発の、自国にあった戦車を製造することを決意する。そして生まれたのがその名も『戦車』……メルカバである。
寿命? 破壊されるまでですよ(ドヤァ
ショット・カルはその後も砲塔を改修したり爆発反応装甲『ブレイザー』を装着したりして1980年代まで主力戦車の位置にあったが、メルカバの出現によりさすがに1945年生まれのショット・カルは第一線を退いた。
しかし。
どこかのJR西日本ではないが兵器を長持ちさせることに定評があるイスラエルである。退役した後も砲塔を外していろんな用途に使用した。姿は変われどもセンチュリオンは21世紀の今もイスラエルで現役である。おいっ!
- ナグマショット / ナグパドン
ショット・カルの砲塔をはずした兵員輸送車。ナグマショットは旧砲塔部、つまり車体上部からしか人間が出入りできないため工兵専用輸送車となった。ナグパドンはナグマショットに前述のブレイザーを装着したもの。 - プーマ
上のナグマショットをさらに改修した工兵用車両。一部は『カーペット地雷除去システム』なるものを持ち、FAE(燃料気化爆弾)弾頭ロケットで地雷をなぎ払った後ロードローラーで地雷を押しつぶす対地雷車両になっているんだとか(英語版ウィキペ様の記述より)。 - ナグマホン(別名ミフレシェット)
前述のナグパドンと名前が似ているが別物。ナグマショットを改修した兵員輸送車、というより占領地警備車両。ウィキペ様の写真を見たらわかるが、かなりキモい。別名がヘブライ語で怪物って言うのも納得である。こんなの道路走ってたら逃げ出すわ!
関連動画
ベングリオンのはないけどオリファントはあるのな(苦笑)
関連商品
人名のほうのベングリオンさんの研究書。
プラモもあるでよ。
関連コミュニティ
関連項目
脚注
- *74式戦車でおなじみ。戦後西側第2世代戦車の標準装備である。
- *M48は初期型のA1とA2はガソリンエンジンだったが先述の中東戦争でやっぱりよく燃えてディーゼルエンジン化された(M48A3)。マガフの項目も参照。
- *実際はそれでも入らなくて車内をちょっと切ってエンジン室を広げている。
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