ペスト医師単語

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ペスト医師とは、

  1. ペスト患者を治療する医師のこと。特に中世~近世のヨーロッパで、ペストが流行した際に患者らの治療に当たった者たちをすことが多い。
  2. 英語圏のホラー創作サイトSCP Foundation」(SCP財団)に投稿された「SCP」のひとつ「SCP-049 - Plague Doctorexit」。「Plague Doctor」とは上記1.の「ペスト医師」を意味する英語であり、SCP財団日本支部でも「ペスト医師」と翻訳されている。exit
  3. ゲームLobotomy Corporation」に登場する「アブノーマリティ」のひとつ「O-01-45 - Plague Doctor」。

本記事では上記の1.について記載する。

概要

ペスト(死病)は中世~近世のヨーロッパでたびたび大流行し、そのたびに非常に多数の死者を出した。その流行の際に患者らの治療に当たった医師がペスト医師である。

ペスト流行地の自治体に雇用された存在だった」「腕の悪い二流の医師やそもそも元々医師ではない者たちまで混じっていた」「治療に当たっては瀉血が中心だった」「のくちばしのようなマスクに代表される、奇妙な衣装を身に付けていた」などと言われることもある。

かしこれらはそれぞれ「ある時代の、ある場所の」ペスト医師の特徴を説明したものでしかないことに注意が必要である。中世~近世と広い時代範囲で、そしてヨーロッパ全土と広い地域範囲で活動した存在であるので、「ペスト医師とはこういったものだ」とは一概にりがたい。時代や場所が違えばその活動形態や性質は全く異なっていた。

衣装

「ペスト医師の姿」として有名なものとして、「のくちばしのようなマスク」が挙げられる。

このようなマスクは17世紀の医師シャルル・ド・ロルム」(Charles de Lorme)の記述に登場しているのが最初期の例のようで、彼がこのマスクの発明者であるとの説もある。もしそうならば、この時代以前のペスト医師はこういったマスクは付けていなかった可性が高い。

シャルル・ド・ロルムの著作に「香りのよいものを詰めたくちばしのような形のマスクをして、それを通して息をする」といった意味の記述があるとのこと。「病気は悪い空気すなわち「瘴気」から起きる」という「瘴気説」に基づいて考案された、現代で言う防マスクのようなものだったようだ。「コート」「モロッコ革の靴・帽子手袋」「眼鏡」などについての記述もあるという。

18世紀の版画などで、こういった衣装を身に付けたペスト医師の姿が記録されている。「帽子を被り、眼鏡ゴーグル)付きののくちばしのようなマスクをつけ、コートをまとい、を持っている」という姿で描かれることが多かった。この衣装がその後いつ頃までにれたのかは不明。

活動記録の例

『Loimologia』

非常に具体的なペスト医師の活動記録として、1665年のロンドンでのペスト大流行の際に患者らの治療に当たった医師「ナサニエル・ホッジズ」(Nathaniel Hodges)が当時の治療についてまとめた書籍『Loimologia』(正式名称『Loimologia, or, An historical account of the plague in London in 1665 : with precautionary directions against the like contagion』)がある。これは現在でもInternet Archiveで全ページを参照することができるexit

この書には剤に関する記述があるが、「A Compound Anti-pestilential Decoction」(抗疫煎じの合剤)、「An Alexiterial Water」(解)、「A Treacle Water」(糖蜜)、「A Diaphoretick Oil」(発油)、「An Alexipharmick Vinegar」(解)、「The famous Sir Theodore Mayerne's Electuarium de Ovo」(高名なるサー・テオドール・マイエルヌのタマゴ剤)など、実際に効果がどれほどあったかはともかく様々な剤を用いて治療に当たっている[1]。少なくともこの時代のロンドンのペスト医師の治療は決して瀉血一辺倒というわけではなかったことが伺える。

また隔離や検疫の重要性を説いたり、「葬は禁止すべきであり、あらゆる集会もまた然り」と警告するなど、衆衛生的な内容も含んでいる[2]

なお当時のロンドン医師たちの多くはペストへの恐怖から、あるいは裕福な患者に付いていくためにロンドンから去ったと言われており[3]、ナサニエル・ホッジズのようにロンドンに踏みとどまってペストに立ち向かい患者の治療に当たったペスト医師らは重な存在であった。

関連動画

関連静画

関連ニコニコQ

関連項目

脚注

  1. *上記Internet Archive内の『Loimologia』、172-177ページ
  2. *上記Internet Archive内の『Loimologia』、203ページ
  3. *Holland, Bart K (June 2000). "Treatments for bubonic plague: reports from seventeenth century British epidemicsexit". Journal of the Royal Society of Medicine. 93 (6): 322324

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ペスト医師

10 ななしのよっしん
2019/11/14(木) 12:35:54 ID: +uhN5kELxg
ヤバくない?時既に遅しだが腺ペストの段階で防げなかったのだろうか。

北京で肺ペスト発生 感染強く致死性も
https://www.afpbb.com/articles/-/3254629exit
11 ななしのよっしん
2020/01/31(金) 12:18:11 ID: GWcPZ0pAtb
あのくちばしの付いたマスク欧州ペス地獄に陥れた悪魔徴だと思っていたが違ったとは
12 ななしのよっしん
2020/03/07(土) 01:35:47 ID: 02KUnn9FjL
瘴気=病原体含んだ空気と解釈すれば間違いではない。
ペスト面の香で中和できる代物じゃなかったが
藁とかフィルター概念は間違っていなかった。
重布=防護

当時の科学技術の限界仕方ないよね
でも発想は現代に生きている
13 ななしのよっしん
2020/03/22(日) 11:40:39 ID: /rC4W0e65u
ペスト医師だのそのマスクだの枝葉末節の記事はあっても肝心のペストそのものの記事はないあたりキモオタ感がある
やたらアニメの項だけは充実してる日本ウィキペディアみたい
14 ななしのよっしん
2020/04/07(火) 21:11:18 ID: WQ65Us/uUz
ニコニコ大百科に何めてんだお
15 ななしのよっしん
2020/12/07(月) 19:38:31 ID: tAPXbf5lOc
自分でペストの記事立てればいいのにね
16 ななしのよっしん
2021/05/15(土) 16:27:50 ID: oVAwmPLyPC
まあ、とにかくあのクチバシのついたマスクインパクトすごいよね。
見ただけで人を判断していいんだとしたら「コイツ、ぜってー悪いだろ!!」って思っちゃうやつ。
あれ被ったやつ、ベルセルクでモズグスの子たちに一人いたよね。
マスク的なものなんだとしたら、発想自体はそこまで突飛でもないのかな。
ただ、自分が何かの病気で寝込んでるとき、あれ被った人が診察に来たらぜってービビ
17 ななしのよっしん
2021/08/12(木) 22:21:28 ID: Z0t6IfpQ55
ペストそのものの情報なんて国立感染症研究所のページみればいいしなぁ・・・

18 ななしのよっしん
2021/09/05(日) 22:13:20 ID: HKr4tM7c3v
ニュース間緊急往診のナイトドクターだかファストドクターだかの人が防護着て自宅療養する人を診察してたがコレ思い出したな
全防護だが医療用だし診療もするしでガチガチではない
機動性と対応を両立した医療用具をまとめてるであろう大きなカバンを持っての住宅地の民家の前でポツンと立ってスマホで連絡を取る姿がシュールなようなカッコいいような不思議な気分だった
不謹慎かもしれんが事態が落ち着いたらRPGジョブキャラで出てもいいかもと思ったな
今のゲームならアークナイツ主人公はちょっと近いか
19 ななしのよっしん
2021/10/01(金) 17:32:28 ID: oy+gBIFFLK
ペストもコロナネズミが元 (コウモリは飛)