である。ここでは1について記載する。
概要
14世紀にヨーロッパでパンデミックを起こしたことで悪名高い。
感染者の皮膚が内出血により黒くなるため黒死病とも呼ばれる。その他の主な症状は、発熱、脱力感、頭痛など。
中世において、もっとも恐ろしい病気の一つであり、甚大な数の死者を出した。
ネズミやノミを媒介に広がる動物由来感染症で、感染ルートや臨床像によって腺ペスト、肺ペスト、敗血症型ペストに分けられる。
現在は抗生物質により治療が可能で、日本では1929年にペスト患者3名、1930年にペストネズミ24匹を出して以来、ペスト菌は検出されていない。それでも世界的に見ればいくつかの地域では散発的に発生し続けている。
日本の感染症法では最も危険度が高いとされる一類感染症に指定されている(エボラ出血熱や天然痘などと同じカテゴリー)。また、ペスト菌は生物兵器として使用された際に甚大な被害が可能性があることから炭疽菌やボツリヌス菌などと同様に研究施設では厳重な管理が求められる。
ペストの種類
ペストの種類によって感染経路や症状が大きく異なる。
腺ペスト
主にノミに刺されたときや、ネズミやウサギなどの哺乳動物に触れた際に傷口や粘膜から感染する。人から人への伝染は稀。
高熱を出し、リンパ節が炎症を起こして腫れるため激痛を伴う。重症化するとより重篤な敗血症型ペストや肺ペストに進行し、未治療の場合の致死率は30~60%以上である。
敗血症型ペスト
ペスト菌が血液の流れによって全身に広がり、敗血症を起こした状態。
皮膚の各所に出血性の発疹ができ、手足が腐って黒く変色する。黒死病と呼ばれるのはこのタイプである。
未治療の場合は多臓器不全やショック、意識障害を起こし、ほぼ100%死亡する。
肺ペスト
稀だが、最も危険なタイプのペスト。致死率・感染力ともに非常に高く、インフルエンザや新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のように人から人に容易に伝染する(飛沫感染)。
出血を伴う重度の肺炎、気管支炎を起こす。主な症状は高熱、頭痛、嘔吐、下痢、激しい咳、血痰(または喀血)、呼吸困難など。進行が非常に早く、大至急治療しなければほぼ100%死亡する。
ペストの流行史
542年、記録に残る最初のペストの大流行がエジプトで起こる。当時の東ローマ帝国皇帝の名にちなんで「ユスティニアヌスの疫病」と呼ばれていた。
1330年、モンゴル軍が西ヨーロッパへの侵略を開始し、ペストをヨーロッパに持ち込む。
1665年、「ロンドンの大疫」が発生するも、一年後のロンドン大火災で下火に。
1721年、フランスにおける第二の大流行が治まるも、中東では依然として感染者が後を絶たなかった。
1900年、シドニーとサンフランシスコでペストが9年間流行し、多数のネズミの駆除と共に終息した。
1994年、インド西部のスラトで肺ペストが流行し、およそ800人が死亡した。
関連動画
関連静画
関連リンク
関連項目
- ペスト医師
- ペストマスク
- ケオピスネズミノミ
- 731部隊
- ハーメルンの笛吹き男……ペストの暗示という説がある
- 細菌
- 感染症
- 天然痘
- サル痘
- ニコニコ大百科:医学記事一覧
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