ペドリ(Pedro González López,2002年11月25日 - )とは、スペインのサッカー選手である。
スペイン・ラ・リーガのFCバルセロナ所属。サッカースペイン代表。
概要
カナリア諸島のテグエテス出身。フルネームはペドロ・ゴンサレス・ロペス。カナリア諸島はダビド・シルバ、フアン・カルロス・バレロンといった名MFを輩出した場所であり、この地に根付いている創造性やテクニックといった文化を受け継いでいる選手である。町の広場には郵便配達人だった大叔父のアントニオ・ゴンサレスの銅像が建っている。
家族は筋金入りのバルセロナファンで、祖父はテグエスでのバルサのサポータズ・クラブを創設するほど。そんな家庭環境もあって物心ついたときにはバルセロナのファンになっていた。父親はレストラン経営に携わるまでは3部リーグでプレーしていた。2歳年上の兄の影響もあって幼くしてボールを蹴り始め、3歳の頃には地元のUDテグステでプレーするようになる。当時から非凡な才能を発揮しており、特別な才能を持った少年という評価を受ける。
14歳のときカナリア諸島最大のクラブであるCDテネリフェからの誘いを断り、近くの町のクラブであるフベントゥ・ラグーナでプレーする。15歳の頃には大人に混じって地域リーグ(5部相当)でプレーするようになり、飛び級で活躍するペドリの活躍を聞きつけたレアル・マドリードから誘いを受け、入団テストを受けるが不合格となっている。
ラス・パルマス
2018年にUDラス・パルマスの下部組織へと入団。そこでトップチームのペペ・メル監督が才能に惚れ込み、1年後の2019-2020シーズンには当時16歳にしてプロ契約を結ぶ。2019年8月18日のウエスカ戦でセグンダ・ディビジオンのピッチに立ち、プロデビューを果たす。そして、デビューしたばかりのルーキーだったにも関わらず、9月2日、憧れのバルセロナに2020年7月1日より加入することが内定する。9月19日のスポルディング・ヒホン戦でプロ初ゴールを記録し、そのまま主力として定着。結局ペドリは36試合に出場し4得点7アシストを記録。プレー時間が16歳にしてチーム最多だったという事実がいかにメル監督からの高い評価を受けていたがを物語っている。
バルセロナ
2020年8月20日、正式にFCバルセロナの一員となり、2年契約で移籍金は500万ユーロ。背番号は「16」。プレシーズンでロナルド・クーマン監督から評価され、2020-2021シーズン開幕戦のビジャレアル戦で途中出場し、プリメーラ・ディビジオンでのデビューを飾る。徐々にプレー時間を増やすと、10月21日のフェレンツバローシュ戦では移籍後初となるUEFAチャンピオンズリーグでの初ゴールを記録。11月9日のラ・リーガ第9節ベティス戦ではリーガでの初ゴールを決める。17歳ながらアンドレス・イニエスタを思わせるプレー判断とオフ・ザ・ボールの質の高さ、卓越したボールコントロールによって2020年11月あたりの時期にはバルサの中盤に欠かせない存在へとなっていた。中心選手として過密日程の中で公式戦52試合出場とフル稼働したことでシーズン終盤にはコンディションを落とし、クーマン監督はシーズン最終節を前に休暇を与え、故郷のカナリア諸島へ戻らせるという異例の措置を取っている。
EURO2020、東京オリンピックとフル稼働状態から休む間もなく2021-22シーズンの開幕を迎え、ラ・リーガ開幕から2試合にスタメンで出場。だが、疲労の蓄積を考慮して第3節グラナダ戦から9月の代表ウィークの間ようやくオフが与えられる。ところが、9月15日に左足大腿四頭筋を負傷。前半戦を棒に振るほどの長期離脱を強いられる。もっともこの離脱期間に肉体改造に努め、復帰戦となった2022年1月12日のスーパルコパ・デ・エスパーニャ準決勝レアル・マドリード戦ではフィジカルアップした姿を見せ、高いパフォーマンスを見せる。3月18日UEFAヨーロッパリーグラウンド16 2nd legガラタサライ戦では、PA内での巧みなキックフェイントで2人をかわしてのゴラッソによる同点ゴールを決め、逆転勝利に貢献。4月3日ラ・リーガ第30節セビージャ戦でも、ガラタサライ戦と同じようなゴラッソによる決勝ゴールを決め、文字通り1人で試合を決める働きを見せている。4月16日にまたも左足肉離れで戦線離脱となり、実質シーズンで稼働したのは3か月程だったが、その間に見せたインパクトは絶大だった。
2022-23シーズンは自身の憧れの存在であるアンドレス・イニエスタが付けていた背番号「8」を背負うことになる。前のシーズンに悩まされた怪我から復帰し開幕から主力としてピッチに立つと、ラ・リーガ第3節バリャドリード戦でシーズン初ゴールを決めると、2022年10月9日の第8節セルタ・デ・ビーゴ戦では決勝ゴールを決め、チームのリーガ7連勝に貢献。首位を走るバルサの攻撃の中心として高いレベルのプレーを披露していたが、2023年2月16日のUEFAヨーロッパリーグ マンチェスター・ユナイテッド戦で右足ハムストリングを負傷。2か月間の長期離脱を余儀なくされてしまう。戦線復帰後の5月16日には、自身にとってキャリア初のビッグタイトル獲得となるラ・リーガ優勝が決定。
2023-24シーズンは、2023年8月20日のラ・リーガ第2節カディスCF戦でシーズン初ゴールを決めるが、その試合後に右大腿直近の前部を負傷。2か月ほど戦線を離脱。
スペイン代表
2019年から各年代のスペイン代表としてプレー。U-17スペイン代表として2019年11月に開催された2019 FIFA U-17ワールドカップに出場。準々決勝5試合全てでプレーしている。
将来を嘱望されていたが、2021年3月に飛び級としてフル代表のメンバーに選出される。3月25日、2022 FIFAワールドカップ欧州予選のギリシャ戦において途中出場を果たし、歴史上6番目の若さとなる18歳120日でのスペイン代表デビューを果たす。3月28日のジョージア戦では初スタメンを飾り、フル出場するが、試合中相手からの悪質なタックルを受けヒヤリとする場面があったが事なきを得ている。
2021年6月に開催されたEURO2020のメンバーに選出。初の国際舞台での大きな大会となったが、ルイス・エンリケ監督はペドリを主力として起用。初戦からスタメンとしてプレーすると、チームメイトでもあるセルヒオ・ブスケツと共に中盤を支配し、質の高いボールポゼッションをもたらす。準決勝のイタリア戦までの6試合をほぼフル稼働し、代表でも欠かせないキーパーソンとなる。スペインのベスト4進出に貢献した働きぶりは世界中から高く評価され、大会の最優秀若手選手賞とベストイレブンに選出される。
EURO2020で奮闘する最中、東京オリンピックに出場するU-24スペイン代表のメンバーにも選出される。流石に所属するバルセロナから抗議が出るが、スペインの法律上招集に応じなければならないため、EURO2020終了後、休む間もなくオリンピック出場のため遠い日本へ向かうことに。東京オリンピックでもチームの中心として奮闘し、EUROに続いて決勝までの全6試合をスタメンとして出場し、チームの銀メダル獲得に貢献する。
2022年11月には、2022 FIFAワールドカップ・カタール大会に出場。バルセロナでもチームメイトであるセルヒオ・ブスケツ、ガビと共に全試合で中盤の一角を務める。ラウンド16のモロッコ戦は120分間をフル出場するが、チームはPK戦の末に敗れ、初めてのワールドカップはベスト16止まりとなる。
個人成績
シーズン | 国 | クラブ | リーグ | 試合 | 得点 |
---|---|---|---|---|---|
2019ー20 | ラス・パルマス | セグンダ | 36 | 4 | |
2020ー21 | バルセロナ | ラ・リーガ | 37 | 3 | |
2021ー22 | バルセロナ | ラ・リーガ | 12 | 3 | |
2022ー23 | バルセロナ | ラ・リーガ | 26 | 6 | |
2023ー24 | バルセロナ | ラ・リーガ |
個人タイトル
プレースタイル
トップ下、センターハーフ、ウイングなど様々なポジションでプレーできるが、最も得意としているポジションは左のインサイドハーフ。中盤のゲームメーカーであり、ゴールに繋がるパスを出す選手であり、自分でドリブルで仕掛けることもできる。プレースタイルそのものやストロングポイントはバルセロナのレジェンドであるイニエスタに似ている。
基礎技術のレベルが非常に高く、ボールコントロールに長けている。ワンタッチ目でしっかりボールを止めて、ツータッチ目で優位な状況を作るという一流のMFなら当然持っている能力を高い強度の試合の中でもミスすることなくこなせる選手である。狭いスペースであっても巧みなコントロールで相手の選手をかわすことができ、相手の動きを最後まで見ながら動きに応じてボールをコントロールできたり、相手選手を複数人ひきつけて味方選手にスペースを作る場面もみられる。
ドリブルに関しては、緩急で相手をかわすイニエスタと比べるとスピードを活かした推進力で抜こうとする傾向がある。そのため、1人で持ち運んでカウンターの起点となることも多い。ドリブルをしながら様々な選択肢を準備できており、相手をかわす方向と次にパスを出す相手を頭に入れている。視野も広いため、逆サイドへのロングボールも選択肢に入っている。
何よりイニエスタの再来と呼ばれる点は、プレー選択肢を常に間違えないところで、無理と判断すれば受けたパスを後方に返して、動き直しからパスコースを作り、前へ運ぶ最良の選択肢を見つけるためこの作業を繰り返すことができる。加入してすぐにバルセロナの戦術にフィットできたのもこの能力が高いためだと言われている。
守備でも貢献度の高いプレイヤーであり、フィジカルコンタクトは特別得意としているわけではないが、スペースを的確に埋める能力が非常に高く、構造的に問題になりやすいメッシの後方を埋める役割も担っている。
エピソード
- 前述したように祖父がサポーターズクラブを立ち上げ、父親が現在会長を務めるほど家族ぐるみの筋金入りのバルセロナファン。子供の頃からのアイドルはプレースタイルが似ているアンドレス・イニエスタ。ちなみに父親が好きな選手はイニエスタが憧れの選手としてたびたび名前を出しているミカエル・ラウドルップ。
- そのイニエスタへの憧れが強すぎるのか21歳時の10年後どうになっていたいかというファンからの質問に対し、「僕はずっとハゲでいたいと思っているんだ。なんでかは分からないけどね」と答えている。31歳の時に彼がどうなっているのか様子を見てみようじゃないか。
- サッカーの他に好きなスポーツはバスケットボール。
関連動画
関連項目
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