概要
くちばしに付いた伸縮自在な袋(咽喉嚢)が特徴の鳥類。獲物の魚をとるときにはこの袋を使って回りの水ごとすくい取り、水だけを排出する。
複数の種があり、日本でメジャーなのはモモイロペリカン。といっても自然に生息してはおらず、世界で初めて人工孵化および飼育・繁殖に成功したものである。
そのうちの一羽が「カッタ君」で、山口県宇部市のときわ公園で飼育されていたのが、人に慣れていた為近隣の施設や学校、幼稚園に飛来しては子供と交流する姿が話題となり、宇部市の実質的なマスコットになっている。
種類によっては全長170cm、翼を広げたときの大きさが3mを超えるものもおり、人より大きくなる。
なんとなくのんびりしたイメージがあるが、意外と性格は激しく大食漢。
魚だけには飽きたらず、ハトを食らい、鴨のひな鳥を襲い、寝ている犬を食おうとする。そしてシャチに食われ、コヨーテに食われそうになる。
人との関係は深く、歴史をひもとくと、鵜と同じように魚を取って持ち帰るよう訓練されていた事が判明している。
反面、ペリカンの肉は臭みが強く、食用には全く適していない。くちばしの袋を加工した財布や小物入れを作る程度。採取できる脂には薬効があり、古くはインドなどでも使われていた。
またペリカンは子育ての際に自らの胸に穴をあけ、そこから流れる血で雛を育てるという伝説があった。我が身を犠牲にするほどの愛の深さから、キリスト教ではイエス・キリストの象徴とされているが、現実は大きく異なり、ペリカンの子育ては過酷を極めるものである。
ペリカンは複数の卵を生むが、巣立つのは基本的に1羽だけ。袋に貯めこんで魚などの獲物を雛に与えるペリカンだが、複数羽雛が居ると日に日に食欲を増していく子供を養いきれなくなる。
これにより雛の間では、ある程度育つと骨肉の争いが始まる。遅れて生まれてきた雛は兄姉達に執拗に攻撃され、しまいには巣から落とされる。こうなるともう親鳥はその雛を出来損ないと見なし育てなくなる。つまり末っ子はまず生き残れない。
弱者を淘汰した後は、次に同時期に生まれてきた兄弟姉妹同士での争いが始まる。そして最後に勝ち残った者だけが巣立ちを迎える。しかし巣立ってから1年以上生き残れるのはわずかな個体だけなのである。
稀に大漁だと餌が十分行き届き、複数巣立つこともあるらしい。が、あくまで例外中の例外である。
「なんで殺しあうくらいなら何個も卵も生むんだ?」と疑問に思うかもしれないが、複数産み落とすのは雛にもしものことがあった時の保険のためである。
余談
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関連項目
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