ペルシアンナイト(Persian Knight)とは、2014年生まれの日本の競走馬。黒鹿毛の牡馬。
安平町・追分ファーム生産、栗東・池江泰寿厩舎所属。
馬主はG1レーシング(2010年設立の、追分・白老ファーム生産馬を中心に募集する一口クラブ)。
主な勝ち鞍
2017年: マイルチャンピオンシップ(GⅠ)、アーリントンカップ(GⅢ)
馬名の意味は「ペルシャの騎士」。Persian Nightではない。
なお、サーサーン朝ペルシア帝国における騎士の称号は「アスワラーン/Aswaran」とのこと。
叙任に至るまで
父*ハービンジャー、母オリエントチャーム、母父*サンデーサイレンスという血統。
父のハービンジャーはGⅠ勝利こそ2010年キングジョージのみだが、それを圧倒的パフォーマンスで勝利した優駿で、引退後輸入され社台スタリオンステーションで種牡馬入り。本馬は3年目の産駒である。
母のオリエントチャームは現役時代芝で4勝を挙げ準オープンまで出世した。
母の全兄に*サンデーサイレンス系のダート王であるゴールドアリュールがおり、祖母*ニキーヤから広がる牝系にはダートと障害で重賞を勝ったソロルや、ダートの重賞を勝ったゴールスキーなどがいる。
アスワラーンの蹄跡
2歳
栗東の池江泰寿厩舎へと入厩し、8月の小倉芝1800mでデビュー。単勝1.5倍の1番人気に支持され、川田将雅を背に中団から進め、スローからの前残りを狙う2頭を差し切って3馬身差の勝利を収める。
次に東京のアイビーS(OP)へ出走。ここではソウルスターリングを僅かに抑えて1番人気となったが、スタートが今ひとつでソウルスターリングの少し後ろにつける。直線に入って脚色はほぼ変わらず、そのまま2着に惜敗する。
続く中京のこうやまき賞(1勝クラス)では秋山真一郎に乗り替わるも一本被りの人気となり、3コーナー辺りから早めに仕掛けて直線をそのまま押し切って2勝目を挙げる。
3歳春
明け3歳となりシンザン記念へと出走。ミルコ・デムーロに乗り替わり、同厩のアルアインを抑えて1番人気となったが、若干出負けしてそれでも押し上げて中団につけ、直線で馬群を割って伸びるが更に外からキョウヘイの強襲にあい3着となる。
続いて当時2月開催で皐月賞の有力ステップであったアーリントンカップへ出走。雨が降りしきる重馬場だった前走と異なり今回は晴天の良馬場。相手はキョウヘイやミラアイトーン、ディバインコードなどがいたが単勝1.9倍と圧倒的人気に支持された。
レースでは道中中団後方を追走し、3, 4コーナーから外に回して直線入口では大外。手応えは良く追い出されると一気に内の各馬を交わして2着レッドアンシェルに3馬身差を付けて重賞初制覇を果たす。
続いて皐月賞に出走。ここではフラワーSで5馬身差をつけて圧勝したファンディーナが1番人気で、本馬は4番人気。レースはスタートがあまり良くなくて最後方からとなったが、向こう正面でインから上がっていき、直線では最内から突き抜けようとしたが、坂を登り切ったところでもう一枚腰を使ったアルアインにゴール前交わされ2着となった。
続く日本ダービーでは戸崎圭太に乗り替わる。レースでは道中中団からレイデオロが上がっていったのに対応して一緒に先団に取り付き、直線に入って粘ってはいるも他馬の脚が勝り8着となる。
3歳秋
夏休みの後、マイル路線に焦点を絞って富士Sに出走。1番人気エアスピネルと差の無い2番人気に推されたが、台風21号(翌日の菊花賞がえらいことなった原因)の影響で不良馬場と化し、レースでは好位から進めるも直線でいまいち伸びを欠いて5着となった。
続いて大一番のマイルチャンピオンシップへ出走。ミッキーアイル、ロゴタイプ引退やサトノアラジンが天皇賞(秋)へ行った事もありマイル路線は混戦となり、京都マイルで良績を残すイスラボニータが1番人気で、続いてエアスピネル、レッドファルクス、そしてペルシアンナイトが人気。ミルコ・デムーロはレッドファルクスをクリスチャン・デムーロに任せてペルシアンナイトへ継続騎乗。
レースは大外枠から抑えて最後方を追走。マルターズアポジーが緩み無く刻んで馬群は比較的縦長、直線に入って京都外回り故馬群は更にばらけたところ、その間を縫うように上がる。先に抜け出したエアスピネルがゴール板に飛び込もうとした所で外から強襲。ハナ差差し切ってGⅠ初勝利となった。
この勝利でミルコ・デムーロと池江厩舎はマイルCS初制覇、そしてG1レーシングもその名に違わぬGⅠオーナーとなった。
4歳
年明け4歳は中山記念から始動。1番人気に支持されたものの、出遅れて最後方から終いの脚に掛けたが離れた3, 4番手で運んだウインブライト達には届かず5着に敗れる。
続く大阪杯では福永祐一に乗り替わる。レースは中団から進め、スワーヴリチャードが緩い流れに反発して最後方から一気にハナを奪う展開となり、本馬は直線に入って一旦前が詰まるシーンもあったもののすぐに切り返して外から一気に伸びるも、スワーヴリチャードには届かず2着。
3戦目の安田記念は川田に乗り替わって2番人気に支持されたが、直線に入って何度も進路が無くなる不幸もあって最後の最後に脚を使うだけで6着に敗れた。
秋初戦の富士SはGⅠ馬という事もあり59kgを背負い、直線で進路が狭くなってブレーキを踏んだこともあって再びの5着。
続くマイルチャンピオンシップはモズアスコット、アエロリットに次ぐ3番人気に支持され、レースでは最内枠から中団のインを取り切って終いの末脚とイン突きに掛け、それが成就する所で一緒に伸びてきたステルヴィオと最内で叩き合いとなるが、アタマ差及ばず2着となった。
その後モズアスコット、ヴィブロスと共に香港マイルへ遠征。国内オッズでは現地の最強馬Beauty Generationに次ぐ2番人気となったが、レースでは後方から直線で外に持ち出されて脚を伸ばすが、Beauty Generationほか前の馬を中々捉えられず5着となった。
5歳
明け5歳は金鯱賞から始動。上がり馬のエアウィンザーが1番人気で本馬は4番人気。レースでは中団好位に付けて直線でもジワジワ伸びてはいたが、ダノンプレミアム他上位3頭には少し離された4着となった。
続く大阪杯は3番人気に支持されたが、馬場は良馬場発表も雨の影響が残っており、道中は中団後方から徐々に押し上げていったが直線で鞍上が立ち上がる不利を受けてしまい、11着に敗れる。
次戦の安田記念はアーモンドアイとダノンプレミアムが注目を集めるも、池江師が過去最高のデキと吹いて怪気炎を上げていたが、スタート直後に大外のロジクライが内に斜行。ペルシアンナイトもその煽りを喰らってしまい、そのまま最後方から上がり3位の脚を使ったものの10着に敗れた。これにはレース後鞍上のミルコ・デムーロもノーコメントと激おこであった。
安田記念後は札幌記念へ出走。1歳下のGⅠ馬3頭と前年勝ち馬サングレーザーに次ぐも若干離された5番人気となり、レースでは中団から徐々にポジションを上げて外から差しを図るが今ひとつ伸びきれず5着。
続く毎日王冠ではアエロリットが緩み無く刻むペースを中団から追走し、直線でも馬場の2分処から伸びてはいたが前には届かず、後ろのダノンキングリーには交わされて人気通りの4着となる。
そして3度目のマイルチャンピオンシップ。短期免許で来日中のオイシン・マーフィーを鞍上に6番人気で出走。スタートは若干鈍く中団後方から進め、直線ではばらけた馬群の中を上がっていったものの、先に抜け出たインディチャンプとダノンプレミアムには届かず3着。
その後インディチャンプやノームコア、アドマイヤマーズと共に香港マイルへ出走。後方から脚を溜めてインに進路を求めたが、より外で立ち回る各馬の伸びが勝り5着となった。
6歳
明け6歳となり中山記念から始動。本馬含め9頭立てもGⅠ馬5頭というメンバーとなりその中で5番人気となる。レースでは出負けから中団後方に位置取り、直線では外から脚を使うものの前で立ち回ったダノンキングリー他には届かず5着。
その後ドバイターフ出走予定だったが、ドバイ輸送後に新型コロナウイルスの影響でドバイミーティング自体が中止となり、そのまま出走する事なく帰国。安田記念へと出走し、中団後方から進めたものの伸びを欠いて9着に敗れた。更にその後宝塚記念へと出走し、内目からそこそこ好発を決めて先団を見る位置を取るが、稍重のタフな阪神は厳しく4コーナーで失速。18頭立ての15着に敗れた。
その後札幌記念へと出走。ここで大野拓弥に乗り替わり、ラッキーライラックやノームコアが人気となる中6番人気となるも、レースでは中団後方の最内から直線に入ってスムーズに直線へ持ち出され、先に脚を使ったノームコアには届かずもラッキーライラックは交わして2着に入線。およそ12戦ぶりとなる重賞連対を果たす。
そして富士Sに出走し、緩み無い流れに乗って中団から脚を使うが、より決め手を発揮したヴァンドギャルド他3頭には届かず4着となる。
4度目のマイルチャンピオンシップに出走し、レースはレシステンシアが馬場の割に緩く逃げた事もあって決め手比べとなり、最後方から上がり2位の脚は使うがより前にいる馬も同じ上がりを使い、7着。
秋4戦目は有馬記念へと出走。初の2500m戦となり、いつも通りに中団あたりから運び、最後は上がり2位の脚を使って0.6秒差の7着に入る。
7歳
年明け7歳となっても現役続行。金鯱賞から始動し、中団後方から脚を溜めるも重馬場に伸びを欠いて8着、続く大阪杯も重馬場で、鞍上の大野が前日の落馬で乗り替わりとなり、レースでもスタート後隣の馬とぶつかる不利もあって色々スムーズさを欠いて10着となる。
次に中京開催の鳴尾記念へ出走し、中団から運ぶが快調に飛ばすユニコーンライオンに離された4着。
その後、3回目となる札幌記念へと出走。横山武史を鞍上に迎え、果敢に好位を確保。前半は緩いも後半から速くなって持続力を保ったまま雪崩れ込むという小回り平坦らしいレースとなり、これがハマったかソダシから0.1秒差の3着に入り込む。
続いて天皇賞(秋)へ出走。レースが古馬GⅠにしてはスローの流れとなり、末脚が求められる中最後方から追い込んで7着となる。
その後チャレンジカップへ出走。別定最重量57kgを背負い、岩田望来に乗り替わり、レースでは中団後方から4コーナー辺りから動いて外から脚を伸ばし、ソーヴァリアントには突き放されたもののヒートオンビートとアタマ差の3着に入る。
そして年末の有馬記念へと出走。好位を取ってレースを進めるが流石に最後は脚を伸ばせず、14着となった。
その後
引退後は馬事公苑で乗馬となり、同年6月に東京競馬場で誘導馬デビューを果たした。2023年4月には自身がGIを制した京都競馬場へ転勤となり、以後、同地で引き続き誘導馬として勤務している。
その後自身が勝ったマイルチャンピオンシップの2023年の誘導を務めた。
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騎士道物語のカバー裏
- 同期で同厩のアルアインとは腐れ縁で、お互いマイルも中距離もこなす関係かレースで互いに相まみえる事8回、うち着順が1つ違いが4回ある。なお、アルアインの全弟のシャフリヤールとは走る機会は無かった。
- 舌をぺろぺろとよく出す癖があり、そこからオーナーとファンからは「ぺるぺる」の愛称で親しまれている。
血統
*ハービンジャー 2006 鹿毛 |
Dansili 1996 黒鹿毛 |
デインヒル | Danzig |
Razyana | |||
Hasili | Kahyasi | ||
Kerali | |||
Penang Pearl 1996 鹿毛 |
Bering | Arctic Tern | |
Beaune | |||
Guapa | Shareef Dancer | ||
Sauceboat | |||
オリエントチャーム 2002 鹿毛 FNo.9-h |
*サンデーサイレンス 1986 青鹿毛 |
Halo | Hail to Reason |
Cosmah | |||
Wishing Well | Understanding | ||
Mountain Flower | |||
*ニキーヤ 1993 鹿毛 |
Nureyev | Northern Dancer | |
Special | |||
Reluctant Guest | Hostage | ||
Vaguely Royal |
クロス:Northern Dancer 5×5×4
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