ペンギンを蒸す機械とは、ペンギンを中に入れて高温にする機械である。「ペンギン釜」とも。
※機械の動作の仕組みまで書くとかなりグロテスクになってしまうため、その部分についてはクリック・タップで表示できるようにしています。
概要
正式には「スティーム・ダイジェスター(Steam digester) 」、あるいは単に「ダイジェスター」と呼ばれる圧力鍋のような機械のうちの1つである。
スティーム・ダイジェスターは17世紀に開発された。骨を脆くする調理用大型機械として、ペンギン以外の肉に多く使われていた。この機械は、後の蒸気機関の発明にも影響を与えることになる。
しかし、一部の地域では、かつてペンギンやアザラシ、オットセイなどの動物から油を採るためにもダイジェスターが使われていた。これが「ペンギンを蒸す機械」と呼ばれている。
タスマニア島の南東約1400kmのところにある、オーストラリア領のマッコーリー島にペンギンを蒸す機械の残骸がある。
ペンギンからは「ペンギン・オイル」と呼ばれる油をとることができる。それに目を付けた人類が、19世紀末から20世紀初頭にペンギンの油を採るためにマッコーリー島のペンギンを乱獲し、蒸して油を精製した。採れた油は灯油や石鹸などに使われた。
16年間で約500万羽のペンギンが犠牲になったといわれ、生態系に重大な影響を及ぼした。
羊と同じように網で集め、あらかじめ棍棒でペンギンを殴り殺しておく。そして、そのペンギンたちの死骸を中に入れ、温度を上げていく。内部は非常に高温になるため、風呂場やサウナどころの話ではなく、ペンギンの肉体が崩壊する。
Then the men get amongst them with stout waddies and kill them all. After the blood of the massacred cools they are thrown holus bolus into a large digester, ...(中略)... The mass is then boiled by the injection of steam, and under the influence of the heat the birds gradually become disintegrated, the oil rises to the top, and the bones, beak, feet, etc. sink to the bottom. The oil is then run off, the residue cleared out, and another lot of penguins is ''digested''.
そして、猟師たちはペンギンたちの中に入り、頑丈な棍棒で全て殺してしまう。 虐殺されたペンギンの血が冷めると、ペンギンたちの死骸は大きなダイジェスターに一気に放り込まれる。
その後、蒸気の噴射により死骸が蒸され、熱の影響でペンギンたちは徐々に分解される――油は上部へ、そして骨、くちばし、脚は下部へ沈む。その後に油を流して、残留物は綺麗に取り除かれ、そして別のペンギンたちが"digest(消化)"されていくのだ。
Otago Daily Times "Penguin oil factory fails to make 'impression on their numbers' "(2013/09/06)
訳は英語素人の編集者による
中のペンギンの様子についてはここをクリック/タップ。文章のみだが動物に対する残虐な表現があるため閲覧注意。
オーストラリアのタスマニア州政府もかつてペンギンからの油の採取を推奨していたが、1919年に野生生物の保護の声が高まり、ペンギンの捕獲は禁止された。
現在は稼働せず、ペンギンを蒸すことも行われていない。マッコーリー島にはロイヤルペンギン、キングペンギン、イワトビペンギン、ジェンツーペンギンが生息しており、ペンギンの群れが機械の残骸周辺に集まることもある。
この島以外にペンギンを蒸す機械が存在するのかどうかは不明だが、インターネット上ではマッコーリー島の機械が最も有名となっている。TBSのテレビ番組「THE世界遺産」の2013年5月19日放送の回(参考)で「ペンギンを蒸す機械」として取り上げられ、日本ではこの名称が広まっていった。
なお、マッコーリー島や南米のフォークランド諸島にはペンギン等の脂肪を茹でていた釜が残っているようだ(参考:フォークランド)。これはトライポット(try pot)と呼ばれており、マッコーリー島ではダイジェスターの導入以前に使われていたもので、現在はこちらも残骸となっている。
関連リンク
- Australian Antarctic Division: Leading Australia’s Antarctic Program "This week at Macquarie Island: 3 May 2019
- Otago Daily Times "Penguin oil factory fails to make 'impression on their numbers' "(2013/09/06)
- ペンギンを蒸す機械を動かしたときの内部の様子の記述がある。
関連静画
関連項目
- オーストラリア
- ペンギン
- 圧力鍋
- ファラリスの雄牛
- 内部が高温になる点で共通するが、こちらには蒸気がないほか、中に入れる対象が異なる。
- イノシシを粉にする機械
- ジャンヌが負傷した場所
- 同じ番組に登場したテロップ。
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