「シャングリラ? そうね、どこかしら」
ホーネットとは、ブラウザゲーム『艦隊これくしょん~艦これ』に登場する、第二次世界大戦時のアメリカ海軍所属ヨークタウン級航空母艦3番艦〈USS Hornet,CV-8〉をモチーフにしたキャラクター(艦娘)である。
デザイン:コニシ CV:ファイルーズあい
そう、私がHornetよ。覚えておいて。
2020年6月末から行われた2020年梅雨&夏イベント『侵攻阻止!島嶼防衛強化作戦』の後段作戦最終面(E-7)の突破報酬として実装された艦娘。実装日は後段作戦の開始日である2020年7月11日。
アメリカ正規空母としては、サラトガ、イントレピッドに続く3人目となる(護衛空母のガンビア・ベイを加えるなら4人目)。ヨークタウン級では末妹の彼女が艦これでは先陣を切って実装された形になる。
侵攻阻止!島嶼防衛強化作戦の最終ボスは南太平洋空母棲姫であり、ホーネットの深海棲艦姿を見ることができる。
左肩に担いだガンケース型飛行甲板が目立つ。右手には探照灯や四連装機銃の付いたライフル型艤装を持っている。また右側に艦橋を模した構造物を備えている。
ロングの金髪の持ち主。ノースリーブのワイシャツにネクタイを締め、その上からフライトジャケットを羽織り、大胆なスリット入りのタイトスカートを纏う。おみ足にはストッキング着用。全体的にタイトなイメージだが、中破時にはやはりアメリカ艦、結構なものをお持ちなことが判る。何とは言わないが。
性格は生真面目で、不埒なことをした提督には艦爆隊を発艦させる。提督爆撃勢のニューカマーである。翔鶴にはどこか通じるところがあると親しみを感じているらしく(後述)、お昼には五航戦姉妹を誘い、サンドイッチを振る舞っている。史実では最後の止めをさした側の秋雲や巻雲にもモデルを頼まれて応じていたりと遺恨は持っていない模様(流石に夜中に探照灯で照らすという行動に出た秋雲には怒っているが、これは当然だろう)。他に、自分を曳航しようとしたノーザンプトンやビッグEこと姉のエンタープライズにも言及している(実装はよ)。
性能的には、尖ったところこそないが全般的に高い。改の時点で赤城改二とほぼ同等のステータスを持つ(スロット数こそ赤城改二の5スロットに対しホーネット改は4スロットだが、合計の搭載機数はほぼ同じだったりする)。将来的に改二の可能性も残されていることを考えると、さらに強化の可能性がある。
2020年9月10日発売の月刊コンプティーク10月号では翔鶴と表紙を飾り、鎮守府を案内されている構図が披露された(ついでにノースリーブ姿も)。実装から2か月というスピード採用である(同様のケースは2018年4月号表紙の瑞鶴改二甲の決戦装束と深海鶴棲姫があるが期間限定グラフィック・深海棲艦であり、自艦隊に加わっているケースとしては最速)
←ノースリーブいいよね
艦これアーケードでは2021年4月15日より開始の『発令!「艦隊作戦第三法」』にて実装される。
ブラウザ版当該イベント時には未実装であったが艦歴にもあるとおり、艦隊作戦第三法のE-2は空母ホーネットから発艦したB-25による首都空襲の迎撃が作戦モチーフとなっている。ブラウザ版では空母ヲ級であったボスが南太平洋空母棲姫に代わっている。
USS CV-8 Hornet、出撃します。第十六任務部隊、前へ。
時は1938年。欧州では不運急を告げ、太平洋方面でも日本がロンドン軍縮条約から脱退し、いよいよきな臭さが増していた頃である。
日本の脱退により、「加盟国が脱退したときは、残った加盟国の軍艦保有条件を緩和する」というエスカレーター条項が発動し、アメリカは4万トンの空母保有枠を新しく得た。
これ幸いと、軍は設計部に新型空母の設計を依頼するが……
軍首脳部「新型空母作りたいから、すごいの頼む」
設計部「今、すごい新型戦艦[1]の設計してるから手が回りません。5年待て」
軍首脳部「あ、そうなの? それじゃ、それ終わってからヨロ」
という流れになった。
軍首脳部「あー、でもそんなに間空けてもなぁ。それじゃ、その間は今あるやつを追加建造しておくか」
というわけで、新型空母[2]の設計が終わるまでの場つなぎ的に、ヨークタウン級空母を1隻追加建造することになった。
こうして、〈USS Hornet,CV-8〉は1939年9月にバージニア州ニューポート・ニューズ造船所にて起工、1940年12月に進水、1941年10月10日に就役した。就役は真珠湾攻撃のわずか2ヶ月前というタイミングで、ギリギリ開戦に間に合った形になる。「ホーネット」はスズメバチの意味で、アメリカ海軍では由緒ある名前で、彼女が6代目になる。ちなみに姉妹艦の1番艦〈ヨークタウン〉のハルナンバーがCV-5、2番艦〈エンタープライズ〉がCV-6なのに3番艦の〈ホーネット〉が一つ飛んでCV-8なのは、間のCV-7に〈ワスプ〉[3]が入ったため。
開戦後も〈ホーネット〉は大西洋側で慣熟訓練を続け、それは1942年1月末まで続いた。そして2月頭には、陸軍の爆撃機B-25を〈ホーネット〉から発艦させるという訓練が行われたが、それが何を意味しているか、その時点では乗組員達は知らなかった。
同年3月、パナマ運河を越えていよいよ〈ホーネット〉は太平洋に乗り出す。整備後、そのホーネットに改めてB-25が16機搭載され、ドーリットル中佐を始めとしたそのパイロット達も乗り込み、4月2日、〈ホーネット〉は出港した。
4月18日、太平洋上にてB-25全機を発艦させることに成功した〈ホーネット〉はそのまま真珠湾に帰投する。一方、B-25はそのまま日本本土に爆撃を加えた後、中国大陸に抜けていった。部隊長に因んでドーリットル空襲と名付けられたこの作戦は成功に終わり、記者会見でルーズベルト大統領は、陸軍爆撃機がどこから出発したのかいぶかしがる記者達に「シャングリラからさ」と煙に巻いた。その意味がわからず「空母シャングリラから発艦」などと書いた新聞記者もいたようだが、その翌年から建造された空母には「シャングリラ」と命名され、本当に空母シャングリラが誕生している。
真珠湾にて補給整備を行った後、〈ホーネット〉は姉妹艦である〈ヨークタウン〉、〈エンタープライズ〉と共にミッドウェー海戦に臨む。ところが、この海戦では〈ホーネット〉は色々な要因が重なったとはいえ重要な局面に参加できず、最後にようやく損傷して離脱する重巡〈三隈〉を追いかけて撃沈することしか出来なかった。おまけに、姉妹艦の〈ヨークタウン〉が〈飛龍〉の攻撃隊に猛攻を受けて大破、離脱中に追撃を仕掛けた〈伊168〉に撃沈されてしまったこともあり、白い目で見られてしまう。
ところがその後、〈エンタープライズ〉が損傷、〈サラトガ〉は〈伊26〉の雷撃で大破、〈ワスプ〉が〈伊19〉の雷撃で撃沈となり、太平洋で活動出来る正規空母が気が付くと〈ホーネット〉1隻のみ、という状況になってしまった。しかしアメリカは後に語り継がれる手際で〈エンタープライズ〉を復帰させ、なんとか2隻体制に持ち込む。一方の日本は、ミッドウェーで一航戦、二航戦を失った後、〈翔鶴〉〈瑞鶴〉〈瑞鳳〉による新生一航戦を編成し、さらに新生二航戦の〈隼鷹〉が参戦でき(相方の〈飛鷹〉は修理中のため不参加)、正規空母2隻+軽空母2隻の4隻体制を整えた。
こうして、1943年10月26日、最後の機動部隊同士の決戦と呼ばれる南太平洋海戦が勃発。〈ホーネット〉から出撃した攻撃隊は〈翔鶴〉を大破させたが、それと入れ替わるように、日本の攻撃機隊がアメリカ艦隊に襲いかかった。この攻撃機隊は雷撃の神様こと村田少佐(当時〈翔鶴〉飛行隊長)が率いる部隊で、たまたまスコールに〈エンタープライズ〉が隠れてしまったため、残る〈ホーネット〉に一斉に襲いかかった。
飛行甲板に続けざまに250kg爆弾を3発直撃し、大破炎上して空母としての能力を失ったうえに、右舷から魚雷2発を受け、浸水によって動力を失ってしまい、〈ホーネット〉は航行不能に陥った(しかし、〈ホーネット〉もただ打たれ続けたわけでもなく、直掩機や対空攻撃により村田隊は8割が撃墜され、村田少佐も未帰還となった(一説では、搭乗していた艦攻が損傷により帰投不能となったため、〈ホーネット〉に体当たりを敢行したとも。なお、艦攻が体当たりしたこと自体は記録に残っているが、これが村田機かどうかは不明である)。
第一次攻撃が終わった後、重巡〈ノーザンプトン〉が曳航しようとするも曳航策が千切れてしまい、失敗。そこにさらに日本の航空隊の第二次攻撃が続き、やむなく〈ノーザンプトン〉は離脱。ついに総員退艦命令が下された。
その後、アメリカ艦隊は〈ホーネット〉の放棄を決め、配下の駆逐艦(シムス級駆逐艦〈マスティン〉と〈アンダーソン〉)に雷撃処分を行わせるが、〈ホーネット〉が沈む前にさらに日本艦隊が接近してきたため、駆逐艦は撤収した。
一方の日本側は、〈ホーネット〉が放置されているのを発見。艦隊参謀の宇垣少将は「事情許さば拿捕曳航されたし」と命じ、第10駆逐隊の〈秋雲〉と〈巻雲〉が様子を見るため接近した。その際のエピソードについては秋雲(艦これ)と巻雲(艦これ)の各記事を参照されたし。
最終的には〈秋雲〉と〈巻雲〉の雷撃によって、〈ホーネット〉は10月27日午前1時35分、サンタクルーズ諸島沖に沈んだ。
1943年1月13日、除籍。
〈ホーネット〉の艦生はわずか1年と短く、そしてアメリカ海軍で最後に撃沈された正規空母となった(これ以降、ガンビア・ベイのように護衛空母の撃沈例はあるが、正規空母はない)。しかし、ドーリットル空襲や南太平洋海戦での勇戦に対して、4つのBattleHonor(名誉勲章)が授与された。また、建造中だったエセックス級4番艦は当初〈キアサージ〉と名付けられていたが、その名を受け継ぐため改名された。これが8代目の「ホーネット」となる〈USS Hornet,CV-12〉である。
時は流れ、2019年2月12日、ポール・アレン氏の率いる調査チームがソロモン諸島沖の深さ5330mの海底に沈む〈ホーネット〉を発見した。
敵もなかなかやるわ。関連動画、直しておかないと。
ふうん、良い関連静画ね。悪くはないわ。
均整の取れた姿と中の人ネタゆえか筋トレする絵も散見。あれだけ大きい航空甲板と艦載機(B-25を艦載した史実も含めて)持っていて三食キッチリ用意しているので納得いく構図である。
Information? 大事よ、何よりも。
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- 戦艦:アイオワ(艦これ) / コロラド(艦これ) / サウスダコタ(艦これ) / ワシントン(艦これ)
- 空母:サラトガ(艦これ) / ホーネット(艦これ) / イントレピッド(艦これ)
- 護衛空母:ガンビア・ベイ(艦これ)
- 重巡洋艦:ヒューストン(艦これ)
- 防空巡洋艦:アトランタ(艦これ)
- 軽巡洋艦:ヘレナ(艦これ)
- 駆逐艦:フレッチャー(艦これ) / ジョンストン(艦これ)
- 護衛駆逐艦:サミュエル・B・ロバーツ(艦これ)
- 秋雲(艦これ) / 巻雲(艦これ)
- 翔鶴(艦これ) / 瑞鶴(艦これ)・・・時報・季節限定ボイスで言及。翔鶴とは表紙担当
- コニシ(絵師) コニシ艦隊 ※上記翔鶴・瑞鶴も担当
- ファイルーズあい…南太平洋空母棲姫
2020年梅雨&夏イベント【侵攻阻止!島嶼防衛強化作戦】 新規実装艦娘 | |||||||||
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脚注
- *のちのアイオワ級
- *のちのエセックス級
- *こちらもロンドン軍縮条約絡みで、〈ヨークタウン〉や〈エンタープライズ〉の建造後、建造枠が中途半端に余り、それを使い切るために、ヨークタウン級をスケールダウンした空母を設計・建造した。
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