ボカロP とは、VOCALOID[1]をはじめとする歌声合成ソフトウェアや音声合成ソフトウェアをボーカルとした楽曲を制作するミュージシャンやボカロに関連する絵師・動画師・動画投稿者・その他活動者を指す言葉である。
ニコニコにおけるP名文化とボカロP
そもそも、ボカロPの「ボカロ」はVOCALOID、「P」はプロデューサー(Producer)に由来している。
ボカロPをはじめ動画投稿者に「(名前)P」というP名を付ける文化はアイドル育成ゲーム「アイドルマスター」でのプレイヤー名に由来しており、そのアイマス関連動画をニコニコ動画に投稿していたニコマスPを経てニコニコ動画中心に広がった文化である。
特にボカロPは「自ら一貫して楽曲・イラスト・動画などを制作する」というキャラクターのプロデュース活動とも言える創作活動である(この観点による創作はボカロブーム初期において顕著だった)ことから、「制作全体を統括する人物」という意味で動画投稿者を「プロデューサー(P)」と呼称することは親和性が高かったと考えられる。
P名は動画の作風・ハンドルネームなどから視聴者がコメントや動画タグなどで自然発生的に(勝手に)付けられることが一般的であり、そのボカロPを示す「あだ名」のような性格がある。したがって最初から自らを「~P」と名乗ることは少ない。ただ、その投稿者が気に入って公式に名乗っていく例は多く存在する。なお、現在でもP名が付与される例はあるものの、元々のハンドルネームで活動する場合が多くなっている。
なお、一番最初にP名を付けられたボカロPは「ワンカップP」であり、2007年9月3日投稿の「初音ミクが来ないのでスネています」内のコメントによって付けられた[2]。
昨今、VOCALOIDの他にもUTAU、CeVIO(CeVIO AI)、VOICEROID[3]、NEUTRINO、SynthesizerVなど、非VOCALOIDのボカロ曲[4]制作に使われるソフトウェアが増えてきているものの、これらのソフトウェアを包括する概念がなく、また呼び方としてデファクトスタンダードとなっているために特定のソフトウェア名で登録商標である「ボカロ」を冠した「ボカロP」が非VOCALOIDソフトウェアを用いての制作がメインの投稿者であっても便宜的に呼称されている[5]。ただしあくまでVOCALOIDは略称のボカロを含めてヤマハの登録商標であり、「VOCALOID™」関連名称 / 商標 / ロゴ に関する使用規約において普通名称であるかのような誤認や混同を招くような表示は避けるよう定められている。
ボカロ曲の作風の変遷とボカロP
VOCALOIDの発売以前は歌ものの自作曲を世に発表する手段として、自ら歌唱する(シンガーソングライター)、もしくは歌手に歌唱を依頼するといった方法しかなかった。それがVOCALOID2 初音ミクの発売以降は自ら歌わなくとも楽曲制作をDTM上で自己完結してニコニコ動画など動画共有サイトへ投稿する革命が起きたのである。
この「革命」によって、なかなか自分の音楽活動を表現できる機会に恵まれなかった隠れた才能がボカロを通じて発掘されだし、現在のボカロP発ミュージシャンが多く輩出することとなる。
ボカロブームの黎明期と2007年~2008年にかけて、そのキャラクター性を主体としたカバー曲やオリジナル曲を投稿するボカロPが主流であった。
そんな中でメルトショックを引き起こした、ryoの「メルト」やkzの「packaged」などに代表されるようなキャラクター性を飛び出した楽曲を制作するボカロPが出現する。
2009年に活動を開始したハチは2010年にかけて「マトリョシカ」などで界隈の大きな影響を残す。さらに同時期には畳みかける歌詞と高音・スピード歌唱に代表される「ボカロ曲らしさ」がボカロP wowakaによって確立された。
2011~2012年頃、更なる「ボカロ曲らしさ」の進化を進めたボカロP kemuやトーマの活躍、黒うさPの「千本桜」の大ヒット、じん(自然の敵P)、小説化・メディアミックスを進めていくボカロPが登場し、より広い層にボカロ曲が聴かれるようになった。
2013~2016年頃。これらのメディアミックスの流れや前線で活動していたボカロPの活動の落ち着きから、これまで高速ボカロックが支配的だったボカロ界隈にポップス系の楽曲の人気が表面化してくる。このころの活動で人気を集めたボカロPにはヨルシカのメンバーn-bunaやOrangestarが挙げられる。
2017年前後。初音ミクが10周年を迎え、メジャーデビューなどでボカロから離れていた有名ボカロPのニコニコ動画への帰還が相次ぎ、低調気味であった界隈が再び盛り上がりを見せる。
2022年現在、大ヒットし紅白歌合戦出場も果たしたような米津玄師(ハチ)やYOASOBIのAyaseなど、ボカロ発のミュージシャンが日本のJ-POPの表舞台に出るようになり、ボカロ界隈に注目が集まるようになった。さらにマジカルミライやプロジェクトセカイなどで行われる楽曲コンテストの盛り上がりや2020年から行われているThe VOCALOID Collection(ボカコレ)などの投稿祭の盛り上がりもあり、ボカロPの活躍や発掘の機会が増加している。
ボカロPを応援する方法
ボカロ曲を聴いたり動画を見たりなどしていくうちに推しのボカロPができた場合、ボカロPを応援したり支援したりする方法を紹介する。
動画視聴
まずは動画を見よう。新作が出たら見に行くのはもちろん、ニコニコ動画のマイリストを使って過去作を巡回することでボカロPのモチベーションに繋がる。
次にコメントを残そう。冒頭での「うぽつ」や気に入ったところでの「ここすき」、最後での「888888」など簡単なコメントでも嬉しいものである。また動画視聴に慣れてきたら具体的なポジティブなコメントを残すのもやってみよう。
ニコニコ動画では良いと思った作品に押す「いいね」ボタン[6]や新作投稿時に通知がきて便利になる「ユーザーフォロー」、登録枠に余裕があれば「マイリスト登録」をするとより総合的に視聴面で推すことができる。
発信
その気に入った動画を共有機能を使ってTwitterなどのSNSで共有してみよう。それを見た新たな視聴者が生まれ、推しの輪が広がるかもしれないし、その感想がボカロPの目に留まるかもしれない。
またボカロPはTwitterをやっていることが多いため、ボカロPのアカウントをフォローすることはボカロPの応援に繋がるだろう。
更なる応援
ここまでは無料でできるボカロPの推し方を説明してきたが、有料でより応援できる方法を説明する。
ニコニ広告・ギフト
ニコニ広告を使うことでニコニコ動画上の広告欄にその作品を掲載することができる。また、ギフト演出を動画に送ることもできる。クリエイター奨励プログラム対象の作品ではニコニ広告・ギフトの量の他にも視聴数、コメント数、いいね数などが勘案され、クリエイターの収益に繋がるため、金銭的に応援することが可能である。
楽曲購入
楽曲の音楽配信を行っていたをリリースしたりしているボカロPも多い。特にボーマスやM3などの同人即売会で購入すればボカロP本人との交流ができるためおすすめである。
ボカロPになるには
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この項目は内容が少ないです。 調べものなどの参考にはなりますが初版制作者の知識不足により絶対的に内容が不足しています。 加筆、訂正などをして下さる有識者・協力者を求めています。 |
例えば、パソコンと楽曲制作に必要なDAWソフトなどが全部入っている「初音ミクNT」を買えば簡単に最低限の作曲環境は整うため、ボカロPになるために必要なものを揃えるハードルはかなり低くなっているといえる(なお、このハードルは使いたい歌声合成ソフトウェアによって異なる)。
これらの環境で楽曲を制作し、動画を制作し、ニコニコ動画などの動画共有サイトへ投稿すればボカロPである。ここまでの詳細な方法は下記リンクが詳しい。
また、ボカロPになるきっかけとして公式・個人両方で行われているボカロ曲投稿企画を利用するのも手である。
関連動画
関連生放送
関連リンク(兼参考文献)
- ボカロ曲の流行の変遷と「ボカロっぽさ」についての考察(1)初音ミク主体の黎明期からクリエイター主体のVOCAROCKへ - Real Sound
- ボカロ曲の流行の変遷と「ボカロっぽさ」についての考察(2)シーンを席巻したwowakaとハチ - Real Sound
- ボカロ曲の流行の変遷と「ボカロっぽさ」についての考察(3)kemuとトーマ、じんが後続に与えた影響 - Real Sound
- ボカロ曲の流行の変遷と「ボカロっぽさ」についての考察(4)n-bunaとOrangestarの登場がもたらした新たな感覚 - Real Sound
ボカロPになる方法
関連項目
脚注
- *以降、VOCALODのソフトウェア自体を指す場合は「VOCALOID」、VOCALOIDのキャラクター性も含めた概念として指す場合は「ボカロ」、VOCALOID以外のソフトウェアも含めた楽曲の歌声の合成に特化したソフトウェア群を指す場合は「歌声合成ソフトウェア」、読み上げ音声に特化したソフトウェア群を指す場合は「音声合成ソフトウェア」と呼称する。
- *参考文献 Flat, Real Sound, 2020/08/09公開, ”ボカロ曲の流行の変遷と「ボカロっぽさ」についての考察(1)初音ミク主体の黎明期からクリエイター主体のVOCAROCKへ
”,2022/06/30最終閲覧
- *音声合成ソフトウェアのVOICEROIDの声を歌唱させる「歌うVOICEROID」作品が投稿されることも多くなっている。
- *ここでは「ボカロ曲」を「歌声合成ソフトウェアもしくは音声合成ソフトウェアによる歌声をボーカルとして制作された楽曲」として広義的に使用する。
- *ニコニコ内での使用例「ボカコレルーキーランキング - ボカコレ公式 2021秋
」、NHKでの使用例「夜光音楽 - NHK
」
- *ボカロPのお礼メッセージが入っていることがある
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