ボバ・フェットとは、映画『スター・ウォーズ』シリーズに登場するキャラクターである。
演:ジェレミー・ブロック(エピソードⅤ、Ⅵ)
ダニエル・ローガン(エピソードⅡ)
テムエラ・モリソン(『マンダロリアン』『The Book of Boba Fett』)
概要
主に旧三部作――『エピソード5』『エピソード6』で活躍する。
銀河を股にかけて活躍する名うての賞金稼ぎで、契約を必ず達成することから、ダース・ベイダーやジャバ・ザ・ハットなどからも厚い信頼を得ている。
伝説の戦士集団であるマンダロアの装甲服(マンダロリアンアーマー)で身を包み、ブラスターやワイヤー、ジェットパックなどを駆使して戦う。
この装甲服は父であるジャンゴ・フェットゆずりのもので、いわば旧型。こびりついた傷と汚れが、彼が数々の修羅場を潜り抜けてきた猛者であることを言外に示している。
ほかには、縦に立ったままのようなユニークな姿勢で飛ぶ宇宙船<スレイブI>を駆る。
居住性を犠牲にして、機動性やハイパードライブの性能、攻撃能力などを可能な限り高めた宇宙戦闘機で、銀河最速と言われたミレニアム・ファルコンでさえ振り切れないほどの高い性能を持っている。
素性や過去はほぼ一切が不明だが、新三部作でかつて銀河最強の賞金稼ぎとして知られたジャンゴ・フェットのクローンであることが明らかにされた。
敵側のキャラクターで、しかも物語の主軸にはほぼ絡まないのだが、メインキャラクターを食いかねないほどの支持を集める、シリーズでも屈指の人気キャラである。
主な活躍
エピソード2 クローンの攻撃
ジャンゴの息子として、彼と共に行動している。息子と言ってはいるが、ボバには母親はおらず、惑星カミーノのクローン技術で作られたジャンゴのクローンである。他のクローン・トルーパーには成長を加速する処理が行われているが、ボバには行われておらず、ジャンゴの純粋なクローンである。
子供ながらに既に、賞金稼ぎとして宇宙を生き抜く術と心構えを身に着けており、オビ=ワンと戦う父を宇宙船の武装を用いて援護したり、戦いにも積極的に参加する。
ジャンゴとは互いに「親子」と認めており、父として愛情を注いでくれた彼を心から慕い、尊敬している。
終盤、ジオノーシスでのジェダイと独立星系連合の大乱戦において、メイス・ウィンドゥの前にジャンゴが敗れ首を刎ねられるところを目撃。戦いが終わった後は、頭が入ったままの父のヘルメットを持ったまま、ひとりでたたずんでいた。
クローン・ウォーズ
父親の商売仲間である賞金稼ぎ達によって養育されていたボバは、父の仇を取るためにクローン・トルーパーの養成施設に潜入し、メイス・ウィンドゥの命を狙う。
ホリデー・スペシャル
シリーズ初登場。
未知の休眠ウイルスに感染してしまったルークとソロを助けるべく、チューバッカと共闘するが、実はこの時すでに、ベイダーから彼らをとらえる依頼を受けていた。
捕まえるためにいったん接近しただけのはずだったのだが、チューバッカと共に見事に治療薬を手に入れてしまい、結局は彼らを手助けした形になった。正体がバレたあとには、いつか再会し今度は本当に捕まえにくることを宣告して姿を消した。
記念すべき初登場作品だが、現在はパラレルワールド扱い。やたらとクオリティが低いアニメパートでの出演。
エピソード5 帝国の逆襲
マンダロアの装甲服を身に纏い、素性不明の賞金稼ぎとして銀河で活躍している。
ジャバ・ザ・ハットによって賞金がかけられたハン・ソロを追うと同時に、ダース・ベイダーの依頼にも応じ、帝国軍が見失ったソロ一行を追跡、クラウドシティで彼を罠にかけることに成功する。その後、カーボン凍結で氷像と化したソロをジャバの元まで輸送し引き渡した。
投棄された大量のゴミにまぎれて逃げるミレニアム・ファルコン号を、ただひとり見破って追跡したり、逆に敵の尾行を察知して先手を打ったりと、頭が切れることがわかる描写が多かった。
エピソード6 ジェダイの帰還
冷凍されたソロをジャバに引き渡し、そのままジャバの宮殿に滞在している。
ルークとソロ、チューバッカの処刑ショーにも同行したが、反撃を開始したルークを仕留めようとしたところ、ソロの攻撃で偶然ジェットパックが誤作動を起こし、怪物サーラックの口に転落し丸のみにされた。
父のジャンゴもジェットパックの故障が死の原因であり、親子そろってジェットパックによって命を奪われる結果となった。
複雑な人気
ホリデースペシャル放映後、「『エピソード5』以降にも登場します」というアナウンスと共に、先だってフィギュアが発売された。
すると、スタイリッシュさと無骨さが同居する魅力的なデザインと、「銀河を股に掛けた賞金稼ぎ」というロマンあふれる設定が当時のファンの期待を集め、『エピソード5』公開前なのに瞬く間に大人気になった。
しかし、『エピソード5』の蓋を開けてみれば、ぶっちゃけそんなに活躍してなかった。
では『エピソード6』で本領発揮かと思えば、確かに序盤から堂々登場したものの、実に間抜けな展開で早々に退場した。
この扱いの悪さはファンの怒りを買い、ジョージ・ルーカスは長年にわたって弁解に苦労することになった。ルーカス自身は、ボバが人気キャラになるとは全く予想しておらず、人気の高さも甘く見ていたという。
このようにボバは、実は本編でほとんど活躍してないのに、外見や設定の魅力で人気キャラまで上り詰めた特異なキャラクターである。
旧三部作完結後、スピンオフ小説やコミック、果ては同人作品においても、「実は生きていた」という設定が乱立している(だいたい、「装甲服のおかげでサーラックに消化されずに済んだ」「豊富な武装を用いて強引に脱出した」などという理由付け)。
活躍が少なく素性も不明だった分、ファンが想像する余地の大きかったボバは、外伝作品や二次創作において高い人気を博すこととなった。
ベイダーと対決し互角に戦ったり、ソロの輸送中に現れた大量の追っ手とチェイスを繰り広げたりといった、本編の裏で起こっていた戦いから、ソロを再び追い詰めたりあるいは共闘したりといった、『エピソード6』以後の出来事まで、その活躍は幅広かった。
後に制作された『エピソード2』においては、ファンの期待に応えるためか、ほぼ同じ姿をしたジャンゴと、オビ=ワン・ケノービの一騎打ちがしっかりと描かれた。
ジェットパックなどを駆使してジェダイと渡り合うジャンゴは、かつてファンが想像・期待したボバの姿そのままであり、何かと評判の悪い『エピソード2』の中にあって、人気も評価も高い名シーンのひとつとなった(ジャンゴの悲惨すぎる退場シーンはやっぱり不評だったが)。
また現在、『エピソード7』に始まる新たな三部作とシリーズの間隙を埋めるサイドストーリーが制作されているが、その中の一つが、ボバを主人公としたスピンオフムービーであると報道されている。
正式な発表はもちろんまだないが、もしかしたら、今度こそボバの雄姿を存分にみられる日が来るのかもしれない。ただし、監督に起用されていたジョシュ・トランクがルーカスフィルムによって早々に解雇されるなど、前途は多難な様子。[1]詳しくは後述するが、結局、この話は流れてしまった。
そして、奴は帰ってきた
このままボバの出番は無いと思われたが、「ローグワン」の最新トレーラーでカークーンの大穴から這い出し、スレーブ1でタトゥイーンから飛び立つ姿が描写された事で、復活するのは確実だろう。
取り消し線で消された部分は2015年後半から出回った映像が元ネタであるが、この映像はファンメイドの非公式のものである。そもそも、スピンオフ作品『ローグワン』はエピソード3とエピソード4の間に位置するものであり、エピソード6でカークーンの大穴に落とされたボバ・フェットの復活とはどう考えても時間軸が合わない。また、『ローグワン』の初の予告映像が流されたのは2016年4月のことであり、それ以前から出回っていた動画はやはり公式のものではないことが分かる。
動画を公式と勘違いしたファンには気の毒であるが、逆に言えばそれだけのクオリティを持った映像作品が作られてしまうほどの人気をボバ・フェットが持っていることの証明でもある。
スピンオフ映画製作中止と連続ドラマ『マンダロリアン』
2018年10月に、ボバ・フェット主役のスピンオフ映画の制作中止が発表された。
ディズニーによる、スター・ウォーズ続三部作とスピンオフ作品を交互に毎年公開していく計画は破たんし、スピンオフ作品は『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』で打ち切りとなってしまい、ボバ・フェット主役のスピンオフ作品も中止となってしまった。
その代わり、ディズニーはボバ・フェット関連作品としてスター・ウォーズ初の実写連続ドラマ『マンダロリアン』をネット配信サービスで2019年11月から公開することを発表した。同作は『ジェダイの帰還』の5年後を舞台とし、ボバ・フェットと同じくマンダロアの装甲服に身を包んだ賞金稼ぎが登場する。ボバ本人ではなくその後継者となる人物だという。
そして2019年から配信された『マンダロリアン』シーズン2ではボバ・フェットのマンダロリアン・アーマーがまず登場し、とうとうボバ本人も登場した。演じたのは『クローンの攻撃』で父親ジャンゴ・フェットを演じたエムエラ・モリソンである。
「ボバ・フェット/The Book of Boba Fett」
2021年12月29日にはボバ・フェット主役の『ボバ・フェット/The Book of Boba Fett』の配信が開始された。
今作ではジャバ・ザ・ハット亡き後の闇社会で活躍するボバの姿が描かれる。
関連動画
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関連項目
- サムス・アラン - 銀河を股に掛けた賞金稼ぎと言えば、こちらの方がなじみ深い人もいるかもしれない
- キャプテン・ファルコン - 同上
脚注
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