ボランティア(volunteer)とは、他の個人や組織に役に立つために自発的に行う、(主に)無償の奉仕活動、または活動を行う人のこと。
概要
語源と意味
現代の日本において、「ボランティア」という単語はほとんど「無償の(報酬のない)奉仕活動」の意味で使われる。
もとは、ラテン語のvoluntarius(自発的な)および中期フランス語のvoluntaireからきており、軍事的な文脈で使用されていた。
現在でも英語のvolunteerには志願兵の意味があり、志願制度のことを"Volunteer military"という。この際の兵士は無償では働いておらず、通常の給料が与えられている。
つまり、元々の単語の意味合いをたどると無償労働の意味は含まないが、自ら志願するという意味は含まれていることになる。
歴史
キリスト教の教義では他人への奉仕、隣人愛が重要な理念の一つとなっている。また、欧米には「ノブレス・オブリージュ」という観念があり、社会的地位のある者、経済的に富む者は奉仕や慈善活動をする義務がある、という考え方が根強い。
1844年に、イギリスのジョージ・ウイリアムズらによってYMCA(キリスト教青年会)が設立された。この組織はボランティア活動や生涯教育活動の草分けとされている。
1863年にはスイス人実業家アンリ・デュナンの提唱により赤十字社が設立された。この組織は、戦争や大規模災害が発生した際に中立的な立場で人道的支援を行う国際団体である。
20世紀に入ると、国際ロータリー、キワニス・インターナショナル、ライオンズクラブなど、多くの社会奉仕団体が設立された。
日本では、1965年にODA事業の一環として青年海外協力隊が発足した。こちらは生活費が支給される有償ボランティア事業である。
1995年に阪神淡路大震災が発生した際には100万人以上のボランティアが活動を行い、ボランティア元年と呼ばれた。1月17日は「防災とボランティアの日」となっている。その後、1998年に特定非営利活動促進法が制定され、現在では40000団体以上のNPO法人が活動を行っている。こちらも、広義のボランティア活動と捉えられる。
2011年に東日本大震災が発生し、地震、台風などの自然災害時のボランティアの重要性が見直されている。2019年時点でも被災地支援のボランティアが不足していることが度々指摘されている。
意義
日常的に自治会、町内会で地域の清掃活動を行うこともボランティアに含まれる。こちらは地域のコミュニティを活性化させる効果もある。
若者にとっては自身のスキルアップのための自己啓発の側面も持っている。また、大学入試や就職活動でのアピール材料とするために行われる、ある意味で利己的な活動としての側面も持っている。
高齢者にとっては定年後の自身の社会参加のための場所として、高齢化社会の日本でますます注目が高まっている。
あくまで自発的な意志に基づいて行うものがボランティアであるが、2020年の東京オリンピックにおいては、組織委員会がボランティア学生の確保に苦戦するなか、「中高生枠」として都内の学校に強制参加を求められることが判明し、議論となっている。
また、近代オリンピックは1984年のロサンゼルス五輪を機に商業主義が拡大する中、ボランティアの名目で人員を募集することそのものの正当性についても問われている。
ニコニコボランティア
東日本大震災の復興支援の一環として、2011年4月27日には、ボランティア募集情報を集めた「ニコニコボランティア」がニコニコ動画内に開設されていた。(現在はリンク切れ)
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関連項目
関連リンク
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