ボルトアクションとは、銃身の後端を閉鎖している遊底(ボルト)に繋がったボルトハンドルを手動で操作し、弾薬の装填と殻薬きょうの排出を行う銃器の作動方式である。
- 構造が単純で信頼性・整備性が高く、堅牢、安価でも高い精度の物が作りやすい。
弾薬の装填や排莢をすべて手動で行うため、その動作に発射ガスの圧力などを使う自動式のような構造上の「遊び」が必要最低限で済み、「弾薬を変えたら火薬量の変化(ガス圧の不足)で次弾を装填できなかった」といったトラブルとは無縁なため、単純な構造も相まって極めて高い信頼性と精度(集弾率)を誇る。 - 極めて高い命中精度を誇る反面、一発ずつ装填・排莢を手動で行う必要があるため連射性能は著しく低く、近距離での撃ち合いや、一度に多数の目標を同時に相手にする場合は不利となる。
概要
1836年に当時のプロイセンで完成したドライゼ銃(ドライゼツントナーデルゲヴェーア)がボルトアクション銃の始祖的な存在である。ドライゼ銃は紙製薬きょうの単発式であったが、当時の主流であった前装式(銃口から再装填を行う)銃よりもはるかに発射速度が優れていた。加えて、従来の前装式は棒立ちの状態で装填を行わなければならなかったのに対し、ドライゼ銃は伏せたまま装填できたため、圧倒的な戦術的優位性を得ることができた。
その後、金属製薬きょう、マガジンからの再装填による連発化等の改良を経て、19世紀末にはボルトアクション機構はほぼ完成を見た。その後第二次世界大戦頃まではボルトアクション式の小銃は歩兵部隊の主力火器として広く用いられたが、大戦中に普及した自動小銃や突撃銃などに押され、第二次世界大戦後は各国で主力歩兵銃の地位を譲ることになった。
現在でも猟銃など民間向けの銃器や、狙撃銃・対物狙撃銃など、連射速度よりも精度や堅牢さが求められる分野では、しばしばボルトアクション式が用いられている。
FPS等のゲームでは、ボルトアクション独特の操作がゲームのディテールを高めるためしばしば再現されている。
主なボルトアクション銃
第二次大戦機までの軍用小銃
- ドライゼ銃(プロイセン→ドイツ)
- Gew98~Kar98k(ドイツ)
- モシン・ナガン(ロシア帝国・ソビエト連邦)
- 三八式歩兵銃(日本)
- リー・エンフィールド(英国)
- スプリングフィールドM1903(米国)
現代の狙撃銃
類似の機構
レバーアクション
銃の用心金(トリガーガード)を兼ねるレバーで排莢、再装填を行うもの。ウィンチェスターライフルが有名。
ボルトアクションとほぼ同時期の発明品であり、操作はボルトアクションより手軽。ただし部品点数が多く精度や信頼性が低い、強力な弾薬が使用できない、伏射の姿勢ではボルトアクションより使いづらい、などの欠点から、狙撃用として生き残ったボルトアクションと異なり、自動小銃の時代を待たずに急速に淘汰されてしまった。
ポンプアクション
左手を添えるハンドグリップを往復させて排莢、再装填を行うもの。
操作性は手動装填式では一番であり、頑張ればセミオートの自動小銃を超える速度で連射できるらしい。その手軽さを買われ、散弾銃の装填機構として現在でも広く用いられている。左手でがしゃこん、といえば、現代においては散弾銃の代名詞である。
一方でレバーアクション同様、発射精度ではボルトアクションに敵わないため、ライフル用の装填機構としてはほぼ廃れた状態にある。
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関連項目
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