ボーイバンドとは、ポップミュージックを歌う男性グループ歌手のことである。
男性(ほぼ)5人組、自分で作詞作曲をしない、楽器の演奏もしない、メンバーはオーディションで選出、歌って踊るだけ、なのが特徴。そして数年で解散する儚いグループが多いことも特徴。
要はアイドルグループである。何故アイドルと呼ばないかについてはアイドルの項目を参照。
歴史
原型から1980年代まで
元々は19世紀後半に流行した理髪店でアカペラを歌う少年たちのグループが原型。
1960年代になるとポップ・ミュージックの世界に5人組バンドや歌手たちが続々登場。メンバーはそれぞれ特徴があり、様々な需要に対応できたため10代の女の子たちに絶大な人気を誇る。そしてジャクソン5が登場し、メンバーのマイケル・ジャクソンの可愛らしさとメンバーのセクシーさがボーイバンドの要素に含まれていく。ほぼ同時にデビューしたザ・ビートルズも同様の売り出し方をしている。
1970年代になるとスコットランドのグループ、ベイ・シティ・ローラーズが登場。イギリス、アメリカ、日本にまで人気は飛び火し、メンバーの服装(タータンチェック)を模倣するファンが続出し10代のアイドルとして絶大な人気を誇った。アメリカでもパワー・ポップ・バンド、ラズベリーが登場し彼らは全員楽器を演奏していたが、批評家からは「たかが子供のバンド」という扱いで、バンドという扱いにはならなかった。
1980年代アメリカで誕生したグループ、ニュー・エディションはそれまでロックをベースとしていたポップスにR&Bの要素を混ぜて大ヒット。彼らの人気は1990年代まで続き、その後のアメリカンボーイバンド全盛期に繋がる。一方ヨーロッパではノルウェーのバンドa-haがデビュー。こちらはダンスミュージックをポップスに取り入れ、世界的にヒットを飛ばす。
ボーイバンドの誕生と終焉
1990年代に入り、今までの歴史が結実する。ニュー・エディションは自らのジャンルを「ボーイバンド」と命名。彼らのマネージャーが顔立ちが整い、それぞれ被りのない個性を持った5人の少年を集めてグループ、ニュー・キッズ・オン・ザ・ブロックを結成。ニュー・エディションとは比べ物にならないほどのブームとなる。
彼らのあまりの世界的人気に危機感を覚えたイギリスの音楽業界も対抗策を講じ、イングランドからはテイク・ザット、アイルランドからはボーイゾーンをデビュー。
イギリスでは同時にオアシスとブラーのバトルで有名なブリットポップムーブメントが起きており、世界的にはブリットポップのみが有名であるがイギリス国内ではブリットポップとボーイバンドのバトルが同規模で発生していたのである。
イギリス側の反撃に対しアメリカ側も続々と新しいボーイバンドをデビューさせる。その中でも最も有名になったのがバックストリート・ボーイズとイン・シンクである。こちらも世界的な人気となり、アメリカでは双方のファンの間で抗争が起きるほど10代のファンたちはボーイバンドに熱狂的になっていた。
こうして世界の音楽チャートはボーイバンドに占拠され、80年代のハードロックやディスコサウンドを好む大人たちや90年代のグランジを愛する人たちからは煙たがられるものの、ボーイバンドブームは頂点を迎える。
2000年代、ボーイバンドブームは終焉を迎える。90年代に権勢を誇ったグループは皆20代後半になり、セクシーなダンスを踊り甘ったるいラブソングを歌うだけの偶像として生きることを窮屈に感じ、多くのボーイバンドが解散していった。代わりに楽器を演奏し作詞作曲も出来、容姿も整った若いバンドが幾つも誕生。オルタナティブ・ロックやパンクのルーツを持つバンドが新たなボーイバンドとして形容され始めることとなった。
現代に生き残ったボーイバンド
一方イギリスを中心としたヨーロッパではボーイバンドの人気は下がることがなかった。バックストリート・ボーイズ、ウェストライフ、ボーイゾーンは未だに安定した人気を誇り、特にテイク・ザットは1996年に一度解散したが2005年の再結成後のほうが人気が高くなるという事態まで起きている。また高視聴率のオーディション番組X Factorから誕生したボーイバンド、ワン・ダイレクションやJLS、オーディションで結成されたザ・ウォンテッドは本来のボーイバンドとして定義されるグループで、全米1位を獲得するなど再び世界的なブームとなりつつある
ジャニーズやK-POPなど、いわゆる日本でアイドルと呼ばれている男性のみのグループも英語圏ではボーイバンドと定義される。でも多分TOKIOは違う気がする。
二次元・2.5次元のボーイバンド
「ボーイバンド?聞いたこと無いよ?」と思う人も多いだろう。日本の音楽界では馴染みのない言葉ではあるが、ボーイバンドの定義に当てはまるグループはたくさんいるのである。それがたとえ二次元であろうとも声優であろうとも、歌って踊る男性グループならば全てボーイバンド。
つまり、「アイマス2」のジュピターも「うたの☆プリンスさまっ♪」のST☆RISHもVOCALOIDユニットバナナイスも、皆ボーイバンドなのである。ね、簡単でしょう?
特徴
10代の人気を得ることを目的としたバンドのため、可愛い系・不良少年系・イケメン系とそれぞれの好みに合わせられるようにグループ内でイメージが別れている。
歌は作曲者と作詞者から提供されたものを歌うが、容姿を重視したためそんなに歌が上手くないメンバーも出てきてしまう。その場合は音程調節用のオートチューンを利用しカバー。あくまでCDの売り上げとメディア露出を目的とするボーイバンドだからこそのものであり、ライブに行ったらズコーだったなんてのはよくあることであった。
作詞作曲や楽器演奏の能力が無いことが多いボーイバンドのメンバーたちだが、中には例外もいる。テイク・ザットのゲイリー・バーロウ、イースト17のトニー・モーティマーの2人は良質な楽曲を作ることで結成時から有名であった。またファイブは全ての楽曲を自分たちで制作しており、これらイギリスのボーイバンドはソングライティングに長けていることが多かった。
90年代のボーイバンドは歌って踊れるアイドルたちであったが、現在は流行を取り入れ様々なジャンルに渡って存在している。パンク・エモ・エレクトロなど、ボーイバンドは様々なジャンルに散らばった。
10代向けの音楽という趣旨で生み出されたジャンルのため、基本的に批評家からの受けは悪い。コアな音楽雑誌では完全スルーだったりレビューが散々だったりというのは当たり前のこと。ただ流行り廃りが激しいジャンルのため、批評してもすぐに解散してしまう可能性が高いのもまた事実である。
ボーイバンドの一覧
※大百科に記事があるボーイバンドのみ記載します
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対象ミュージシャンが多すぎるので、それぞれの記事を参照してください。
関連項目
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