ポストモダン(Postmodern)とは、近代(モダン)という大きな潮流となっていた時代が終わった後に生じる次(ポスト)の時代のことである。
概要
一般的に、哲学・思想、文学・芸術、建築において「ポストモダン」という言葉が使用されることが多い。
フランスの哲学者ジャン=フランソワ・リオタールは『ポストモダンの条件』(1979)の中で、これまでの科学はみずからを正当化するために「大きな物語」としての哲学を必要としてきた。このような「大きな物語」に準拠していた時代を「モダン」、そしてそれに対する不信感が蔓延した時代を「ポストモダン」と呼んでいる。したがってリオタールの定義によれば、ポストモダンとはこうした科学の基礎づけとしての「大きな物語」が失われた時代だということになる[1] 。
ここでは、簡単にポストモダンについて記述するため、ポストモダンに関してきちんと理解を深めたい方はポストモダンに関して書かれた専門書を一読することをおすすめする。
ポストモダンはフランスを中心に発達した概念で、モダニズムに対して批判的態度を取る運動を「ポストモダニズム」(Postmodernism)と言う。
ポストモダンの時代に関しては、様々な解釈が挙げられるが、一般的には、先進国に見られる、高度な資本主義経済と、高度な情報化社会で、そのような社会における、先行き不透明な現状と、その現状の中で社会等に絶望的感情を抱く状況を指す。
主な批判対象
- 近代⇔現代
- 啓蒙主義/啓蒙のプロジェクト
- 主体⇔間主観性/間テクスト性
- 理性⇔感情、身体性
- 文化⇔文化相対主義
- 本質主義⇔構成主義、脱構築
- 共同体/国家
- 性/ジェンダー⇔フェミニズム、クィア理論
- 進歩史観・歴史主義⇔複雑系
- 権威主義⇔懐疑主義
- 普遍主義⇔多元主義、通約不可能性、当事者主義
- 大きな物語(普遍的な説明が出来るとする理論のこと。宗教的価値・政治的価値などイデオロギーについてのことを指す場合が多い)⇔小さな物語
ポストモダン建築
建築においては、モダニズム建築に対する批判的態度に基づいて「ポストモダン建築」が提唱された。
モダニズム建築とは、機能性と合理性を強調し、装飾を排除した、俗に言う「禁欲的な箱」のことを一般的に指し、これに対する反動という形でポストモダン建築が起こるようになってきた。
ポストモダン建築においては、過度な合理性からの脱却や装飾性の復活が見られたが、一方で過度な装飾性や、周囲との調和を無視したかのような奇抜なデザインが見られるようになり、それゆえにポストモダン建築に対する批判と見直しが生まれ、一時的な流行にとどまった。
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関連項目
脚注
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