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ポビドンヨード（Povidone-iodine）とは、消毒薬である。販売名はイソジン®など。
概要
ポビドンヨードは、ポリビニルピロリドン（ポビドン）とヨウ素（ヨード）の錯化合物である。特異な匂いを有する暗赤褐色の粉末で、一般に10%水溶液剤として利用される中水準消毒薬。多くの細菌・ウイルスに対し速効性の抗微生物作用を示し、さらにメチシリン耐性黄色ブドウ球菌（MRSA）のような耐性菌をも殺菌する一方、皮膚や粘膜に対する刺激が弱い。そのため、手指の消毒、含嗽（うがい）、手術部位や創傷部位の消毒などに汎用されている。ただし、芽胞には効きにくい。また、金属腐食性があるため手術器具の消毒には不適。経口摂取を想定して製造販売されているものではないため、放射線被曝による甲状腺障害の予防などを目的として飲用しないこと。
1956年、アメリカのShelanski H.A.らによって開発された。1961年、明治製菓株式会社が医薬品製造販売承認を取得し、ポビドンヨードはイソジン®の名で販売開始された。2016年、イソジン®の商標権を持つオランダのムンディファーマ株式会社の要請により明治はイソジン®の商標の利用を取りやめ、以後はムンディファーマより販売を委託された塩野義製薬株式会社とシオノギヘルスケア株式会社がイソジン®を販売している（ただし、一部の商品はポビドンヨードを含まない）。一方、明治は商品名を改めたうえで内容が同一の各種薬剤（うがい薬、きず薬、ハンドウォッシュなど）を販売継続していたが、現在はそれも健栄製薬に承継された。ちなみに、販売名のIsodine®（イソジン®）の由来は、Isotonic（等張の）、Povidone-iodine。ただし、海外での商品名は主にBetadine®（ベタダイン®）。
| 名称・規格 | 用途 | 使用方法 | |
|---|---|---|---|
| 一 般 用 医 薬 品 |
イソジン®うがい薬 | 含嗽（うがい） | 1日数回、2～4mLに約60mLの水を加え、うがいする。 |
| イソジン®うがい薬P | 含嗽（うがい） | 1日数回、2～4mLに約60mLの水を加え、うがいする。 | |
| イソジン®うがい薬C | 含嗽（うがい） | 1日数回、水で薄めずに約15～20mLを口に含んで、うがいする。 | |
| イソジン®のどフレッシュ | 咽喉の炎症や不快感の除去 | 1日数回、適量をのどの粘膜に噴霧（スプレー）する。 | |
| イソジン®ウォッシュ | 消毒（手洗い） | 手に適量取り、少量の水を加え泡立たせ、流水で洗い流す。 | |
| イソジン®きず薬 | 消毒 | 切り傷、擦り傷、火傷、とびひ、おできなどに塗布する。 | |
| イソジン®軟膏 | 消毒 | 切り傷、擦り傷、火傷などに塗布する。 | |
| 医 療 用 医 薬 品 |
イソジン®ガーグル液7% | 含嗽（うがい） | 1日数回、15～30倍に希釈し、うがいする。gargle（ガーグル）はうがいすることを意味する。 |
| イソジン®液10% | 消毒 | 手術部位の皮膚・粘膜、創傷部位、熱傷皮膚面、感染皮膚面に塗布する。 | |
| イソジン®フィールド液10% | 消毒 | 手術部位の皮膚に塗布する。エタノールを含むため、創傷部位や粘膜には用いない。 | |
| イソジン®スクラブ液7.5% | 消毒（手洗い） | 手指や皮膚に適量取り、少量の水を加え泡立たせ、流水で洗い流すか、ガーゼで拭き取る。scrub（スクラブ）はごしごし洗うことを意味する。 | |
| イソジン®パーム液0.5% | 消毒（すり込み式手指消毒） | 手のひらに適量取り、乾燥するまで手指にすり込む。palm（パーム）は手のひらを意味する。 | |
| イソジン®ゲル10% | 消毒 | 皮膚・粘膜の創傷部位、熱傷皮膚面に塗布する。 | |
| 産婦人科用イソジン®クリーム5% | 消毒 | 外陰部や腟内に塗布または注入する。 | |
| イソジン®シュガーパスタ軟膏 | 褥瘡および皮膚潰瘍の治療 | 患部を清拭し、直接塗布するか、軟膏をガーゼにのばして貼付する。 |
以上のように、さまざまな分野で使用される薬剤であるが、テレビCMなどの効果もあって一般家庭では含嗽剤（うがい薬）としての知名度が高いと思われる。ただし、2018年現在、ポビドンヨードによるうがいが水よりも効果的であるという確かな科学的根拠は存在しないようだ。それどころか逆に「ポビドンヨードでうがいをするよりも水でうがいをしたほうが風邪予防に効果的であった」と解釈できる研究結果が2005年に発表されている[1]。
なお、日本薬局方収載の薬品名は「ポビドンヨード」だが、いくつかの新聞記事、病院のウェブサイト、自治体のウェブサイト、学術論文、学会発表などで「ポピドンヨード」との表記が散見される[2]。
関連動画
明治がイソジン®を販売していたころのテレビCM。現在は健栄うがい薬®。
関連静画
関連リンク
関連項目
脚注
- *Satomura K, Kitamura T, Kawamura T, et al. Prevention of upper respiratory tract infections by gargling: a randomized trial. Am J Prev Med 29: 302-307, 2005.
- *参考："ポピドンヨード" -"ポビドンヨード" - Google 検索
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