ポリアモリー(英:Polyamory)とは、同時に複数の人と交際する恋愛関係。当事者全員が合意した、誠実で継続的な関係をいう。「複数」を意味するギリシア語の poly と「愛」を意味するラテン語の amor を合わせた造語[1] 。英語で、非一夫一婦制を指すノン・モノガミーの一種。
概要
近年、アメリカで実践する人々が増えており、当事者同士が交流するポリアモリーのNPO法人「ラビング・モア」という団体がある。
団体のFAQには、ポリアモリーとは「誠実に、倫理的に、そして関係者全員の完全な知識と同意を得て、一人以上の人とのロマンチックな恋愛」とある。その関係は、開放的で、献身的で、グループ外の者とは関わらず、序列はなく、長期的である。またいわゆるフリーセックス(愛のないセックス、乱交)とは異なり、一夫一婦婚同様に、不倫は許されないが、スウィング(スワッピング)と連続性があるともしている[2] 。
団体によれば、全人口のうちバイセクシュアルは2%であるのに対して、ポリアモリー傾向のある人を母数とした場合は40%であるという。
類似の概念として、モノガミー(多重婚)があるが、必ずしも婚姻関係を結ばない点で異なる[3] 。
ポリアモリーの形として大きく分けて7つ、オープンマリッジ、オープン・リレーションシップ、グループマリッジ、ポリフィデルティ、トライアッド、ヴィー、クワッドがある[4]。
- オープンマリッジ:夫婦間以外で性的関係を持つことに対し、両者で合意している結婚
- オープン・リレーションシップ:性愛パートナーを互いに限定しない、と両者でが出来ているカップル
- グループマリッジ:三人以上の者が結婚と似た形式で暮らすスタイル
- ポリフィデルティ:性的関係をグループ内に限定することを約束した、三人以上の第一パートナーからなる性愛スタイル
- トライアッド:三人からなる性愛スタイルであり、全員が第一パートナー関係、全員が第二パートナー関係、二つの第一パートナー関係と一つの第二パートナー関係の場合がある
- ヴィー:三人からなる性愛スタイルであるが、一人の人物に二人のパートナーがいて、その二人に性愛関係がない
- クワッド:四人からなる性愛スタイルであるが、全員がパートナー関係にある場合もない場合もある
自由と自己の規律に基づく
倫理的な意味では、近代化と自由化の原理の基づくとされている。現代は、かつての家と家の関係を中心とした封建的制度から解放されて、パートナー同士互いの意思により、一夫一婦婚を通じて、家族を作ることが標準的とされている。
しかしながら、ジェンダーバイアス(男らしさ・女らしさ、性的役割)から解放されていないと感じた人たちの中から、より自由な恋愛を享受するために、複数のパートナーと関係を結び、より公平な家族を作る実践がなされてきた。それがポリアモリーとされている。
ただし、自由意志に基づいているとしているポリアモリー実践者同士でも、偶然によりパートナーの一人が他のパートナーと関係を持つことに嫉妬してしまうことも報告されており、必ずしも意志と感情が一致するとは限らない。そこには葛藤も生じる[5] 。
公にして活動している人
アメリカ
日本
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関連リンク
参考文献
関連項目
脚注
- *ポリアモリー コトバンク 2019年4月4日閲覧
- *What is polyamory? Loving More 2019年4月4日閲覧
- *ポリアモリーとは?〜モノアモリーとは違う、新しい愛の形〜 RainbowLife 2017年11月27日
- *「いわゆる「ポリアモリー」が民法90条の定める「善良な風俗」に反するか否かについての試行的考察」,武田昌則『琉大法學』 (99), 2018年
- *「意志による「愛」と意志の限界にある「愛」--米国におけるポリアモリー実践の事例から」『くにたち人類学研究』5、深海菊絵、2010年
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